ライター渡部壮大
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。
ライター: 渡部壮大 更新: 2020年06月03日
緊急事態宣言が解除され、滞っていた対局が再開され始めました。マイナビ女子オープンは13期目にして初のフルセットに。王座戦は決勝トーナメントが進行中です。
【第1図は△4三飛まで】
第1図は第13期マイナビ女子オープン五番勝負第4局(▲西山朋佳女王△加藤桃子女流三段)。先手中飛車から軽快に動き、西山女王がリードを奪いました。自陣飛車で粘る姿勢を見せた後手ですが、▲5二歩が「と金の遅早」です。以下△8九歩成▲5一歩成△9九と▲4一とで、金駒をはがせる形になりました。先手の攻めが厚い形になり、以下は押し切っています。
マイナビ女子オープン中継ブログより
【第2図は▲7八香まで】
第2図は第68期王座戦挑戦者決定トーナメント(▲佐々木慎六段△丸山忠久九段)。先手の四間飛車に後手が急戦を仕掛けました。図で△7一歩が「金底の歩岩よりも堅し」です。これで9一竜の利きをシャットアウトし、後手玉に対する脅威がなくなりました。実戦は以下▲9三竜△6五桂から後手が押し切っています。
【第3図は△2四同歩まで】
第3図は第68期王座戦挑戦者決定トーナメント(▲行方尚史九段△佐藤天彦九段)。このところ流行の力戦調の矢倉戦に。2筋を突き捨て、ここから▲2三歩△同金▲2五歩△同歩▲同飛△2四歩▲8五飛△6八歩▲8二飛成と、飛車を大きく使ってさばきました。「飛車は十字に使え」です。▲2三歩△同金の「金は斜めに誘え」の効果も大きく、竜を使った横からの攻めが厳しくなっています。以下も難しい戦いが続きましたが、攻めに専念することのできた先手が競り勝ちました。
【第4図は▲4三歩まで】
第4図は第92期ヒューリック杯棋聖戦一次予選(▲谷合廣紀四段△片上大輔七段)。三段時代から研究者としても知られていた谷合四段がデビューしました。午前中のデビュー戦を勝ち、迎えた2局目は東京大学の先輩片上七段と対戦。中盤は優位に進めていましたが、攻めを与えて逆転。▲4三歩と垂らしたものの、次の▲4二歩成が詰めろにならないのが痛いところ。△4六香が「要の金を狙え」の攻めで、俗手ながら厳しい寄せになっています。以下▲4二歩成△4七香成▲同金に△5七竜で、先輩が貫録を見せました。
【第5図は▲1七玉まで】
第5図は第3回AbemaTVトーナメント予選Bリーグ(▲佐々木大地五段△渡辺明三冠)。予選Aリーグに続き、勝った方が予選通過の一局となりました。図は終盤戦で飛、馬、角が利いていてどこから攻めるか難しいところですが、△1四歩が「端玉には端歩」です。以下▲2七飛△2四歩と難しい応酬が続きましたが、最後は渡辺三冠が勝ち、予選通過を決めています。
ライター渡部壮大
監修高崎一生七段