藤井七段を獲得したのはどのチームか? 第3回AbemaTV早指しトーナメント事前特集~運命のドラフト選抜~

藤井七段を獲得したのはどのチームか? 第3回AbemaTV早指しトーナメント事前特集~運命のドラフト選抜~

ライター: 相崎修司  更新: 2020年04月10日

第3回AbemaTVトーナメントの参加者を決める、将棋界初のドラフト会議が2020年4月4日にAbemaTVで放映された。

第3回AbemaTVトーナメントは昨年末時点におけるタイトル保持者及び順位戦A級在籍者の12名をチームリーダーとして、フィッシャールールによる早指し戦を1チーム3名による団体戦を行う形式だが、そのチームメンバーをドラフトで行うことになったのだ。プロ棋界における団体戦は相当に例がなく、無論、ドラフト会議も史上初の試みである。

なお、羽生善治九段をリーダーとするチームはAbemaドリームチームと題して、AbemaTV社長の藤田晋氏が総監督としてドラフトに参加した。

ドラフトの結果は以下の通りである(左から1番目がリーダー、2番目が1巡目選抜者、3番目が2巡目選抜者)。

チーム豊島 豊島将之竜王・名人、佐々木勇気七段、斎藤明日斗四段
チーム渡辺 渡辺明三冠、近藤誠也七段、石井健太郎五段
チーム永瀬 永瀬拓矢二冠、藤井聡太七段、増田康宏六段
チーム木村 木村一基王位、行方尚史九段、野月浩貴八段
チーム康光 佐藤康光九段、森内俊之九段、谷川浩司九段
チーム三浦 三浦弘行九段、本田奎五段、高野智史五段
チーム久保 久保利明九段、菅井竜也八段、今泉健司四段
チーム天彦 佐藤天彦九段、斎藤慎太郎八段、阿部光瑠六段
チーム広瀬 広瀬章人八段、青嶋未来五段、黒沢怜生五段
チーム糸谷 糸谷哲郎八段、高見泰地七段、都成竜馬六段
チーム稲葉 稲葉陽八段、佐々木大地五段、山崎隆之八段
Abemaドリームチーム 羽生善治九段、鈴木大介九段、三枚堂達也七段

注目のドラフト1巡目

ドラフト開始時点で注目されたのはやはり、藤井聡太七段がどのくらいの支持を集めるかということだった。第1回、第2回トーナメントの優勝者であり、フィッシャールールでの実績は群を抜いている。ドラフト会議の実況を務めた戸辺誠七段と藤森哲也五段は、藤井七段に対する票の集まり具合に加えて、その裏をかいた場合、誰を指名するかということにも言及していた。

ところが、ふたを開けてみると1巡目で重複があったのは意外なことに? 2組だけだった。藤田総監督と永瀬二冠が藤井七段を指名したのと、佐藤天九段と稲葉八段が佐々木大五段を指名した例のみである。

抽選の結果、永瀬二冠と稲葉八段が当たりくじを引いた。くじの結果を知った瞬間の永瀬二冠について「普段あまり見せない笑顔を見せた」と藤森五段。永瀬に限らず、棋士は普段対局に勝った直後でもまず笑顔を見せることはないので、ドラフトの勝利によってこぼれる笑顔というのは貴重なものかもしれない。

藤田総監督と佐藤天九段による再度の入札では、それぞれ鈴木九段と斎藤八段が指名され、1巡目が終わった。

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運命のドラフト2巡目

続いて2巡目の指名に。こちらでも2組の重複があった。永瀬二冠と三浦九段が増田六段を指名し、佐藤天九段と広瀬八段が黒沢五段を指名した。そして抽選の結果、永瀬二冠と広瀬八段が当たりくじを引くことに成功した。再度の強運を見せた永瀬二冠はまたしても表情を崩す。「普段ストイックでほとんど笑わない永瀬さんが、満面の笑みですよ」とは戸辺七段。

再度の入札で三浦九段は高野五段を、佐藤天九段は阿部六段を指名し、12チームすべてのドラフトが完了した。

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各リーダーによるドラフトの感想

豊島
「佐々木七段は駒が躍動していく将棋なので1巡目に、斎藤四段は未知数ですが21歳と若いので。あとは2人とも指宿(前期竜王戦第6局予定地)に自費で来てくれたというのもあります」

渡辺
「同門で固めましたが、近藤君はこの大会でも実績があり、石井君も若手有望株。優勝を狙えるメンバーをそろえたかなと思います」

永瀬
「若い2人ですが、実力も確かで、自分はクジ運がいいんだなと(笑)。ベストメンバーを選べたと思うので、精一杯頑張って結果を出したいです」

木村
「お互いに言いたいことを言えるメンバーを指名しました。仮にうまくいかなかったときは控室で殴り合いが始まるのではないかと。お互いを高め合って臨みたいです」

佐藤康
「実績的には断トツのお二人を選ばせていただきました。将棋だけでなく人間性も素晴らしく、年齢でも断トツでも強いんだよと言うところを見せたいと思います」

三浦
「タイトル戦に出た勢いをかって本田五段を指名しました。2巡目は阿部六段も考えたので、天彦さんと被る可能性もありましたね。個人的には永瀬さんのところがずるいと思います(笑)。ご自身が強いのに自分が勝たなくても勝てそうなメンバーをそろえたので。私もいいメンバーを引けたので頑張ります」

久保
「唯一の振り飛車党として、振り飛車党でチームを組もうと考えていました。1巡目はトップを走っている菅井八段を。2巡目は他の人にもしたかったんですけど、(本人から)猛烈なプッシュをうけまして(周りから笑いが起こる)、心意気を買いました。おっさんがおっさんを選んでもしょうがないと思ったんですけど、アマチュア時代に早指しで鍛えていることもあり、期待しています」

佐藤天
「普段、指したことがない人ともやってみたいと思っていまして、くじは外しましたが、いいメンバーがそろったと思います。早指しの強い、穏やかで楽しめるチームになったのではないでしょうか」

広瀬
「メンバーも構想通りで、くじも経験できたので、個人的には満足しています。私が麻雀番組も見ていることから、麻雀も強い曲者の2人を選びました」

糸谷
「経験者と若手をそろえたかったですね。髙見七段は経験者で粘り強く戦う、エースを張れる人材です。2巡目は(本人の)プッシュもありましたが、粘り強く戦うタイプでもあるかなと思います」

稲葉
「1巡目はまさか抽選になるとは思わなかったですけど、くじ運がよかったですね。そして山崎八段は早指しが得意ですし、こういうイベントがあると事前に練習をするタイプです。私も経験がないので、一緒に練習して本番に臨みたいですね」

藤田総監督
「AbemaTVトーナメントをみていると、このルールでの終盤はスポーツのように速い決断、度胸が必要だと思うので、鈴木先生は相当に強いのではないか。この舞台での鈴木将棋をみたいなと。もう一人は切れ味の鋭い若手が欲しいと思っており、三枚堂先生が取れて良かったです」

第1回目の放送は、AbemaTV将棋チャンネルで4月11日(土)19時から「チーム豊島 vs. チーム久保」戦が放送される。ぜひ、放送をお楽しみください。

■ドラフト切り出し 完全無料視聴!

チームリーダー登場!「ドラフト会議」
https://abema.tv/video/episode/288-23_s10_p80

1巡目発表!「ドラフト会議」
https://abema.tv/video/episode/288-23_s10_p90

2巡目発表!「ドラフト会議」
https://abema.tv/video/episode/288-23_s10_p100

*次の記事はこちら:史上初の団体戦、第3回AbemaTVトーナメントのルールは? ~4月11日放送、予選A組1回戦・チーム豊島VSチーム久保)事前特集~

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第3回AbemaTVトーナメント 特設サイト
AbemaTV将棋チャンネル 第3回AbemaTVトーナメント

AbemaTVトーナメント

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2024年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、棋王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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