痛恨の敗局【瀬川晶司六段編】(2)序盤でつかんだリード

痛恨の敗局【瀬川晶司六段編】(2)序盤でつかんだリード

ライター: 大川慎太郎  更新: 2020年01月15日

前回のコラムはこちら:【瀬川晶司六段編】(1)どうしても勝ちたかった一局

第29期竜王戦ランキング戦6組準々決勝 VS近藤正和六段戦

近藤さんは奨励会が1年先輩です。昔から仲良くしてもらっていて、私は「コンちゃん」と呼んでいます。近藤さんは私のことを「セガーちゃん」と呼びますね。

仲良くなったきっかけは覚えていませんが、私が高校を卒業して一人暮らしを始めてから、よく遊ぶようになりました。一緒にパチンコに行ったり、ある時は麻雀をやったり。

近藤さんとはこの対局までに公式戦を7局指していて、対戦成績は私の6勝1敗。6連勝中でした。いつも同じような展開なんですよ。序盤でこちらがが優勢になって、終盤で追い込まれる。近藤さんは昔から終盤が強い。だから序盤のリードで逃げ切れるかどうかがポイントなんですよね。もし序盤で失敗したら目も当てられないことになってしまいますが、本局はうまくいきました。

haikyoku_segawa1_03.JPG

受けに回って優位を得る

角交換になり、先手は▲5八銀(第3図)と上がって引き締めてきました。先手陣を見ると盤面右辺にスキがあるので△2八角と打ちたくなりますが、それは▲4一角が厳しい。次の▲3二角成△同飛▲4三飛成が受けにくいのです。かといって▲4一角に△3三金と受けても、▲6三角成△同銀に▲2五銀で飛車交換を強要されていけません。

そこで本譜は第3図で△5二金と上がりました。高美濃囲いを崩すようですが、先手の手を殺しにいっているのです。これで4三の地点が補強されたので、先ほどの強襲の筋はありません。

【第3図は▲5八銀まで】

先手は▲2六角から強引に飛車交換に持ち込んできましたが、△3八角から先に桂得できたのが大きく、私が指せる形勢です。

▲4一飛と打たれてまずいようですが、△6一飛(第4図)が読みを入れて打った一手。▲同飛成△同銀に再度の▲4一飛にも△3一飛と自陣飛車を放ちました。この辺りはかなり深く読んでいます。ものすごく怖かったのですが、読み抜けがなければよくなるだろう、と。実際、先手に厳しい攻めはなく、こちらがうまく指せていました。

【第4図は△6一飛まで】

しかし......。(続く)

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※写真はすべて2015年7月31日 第74期順位戦C級2組3回戦 瀬川昌司五段 対 上村亘四段戦で撮影(段位は当時)
撮影:常盤秀樹

*【瀬川晶司六段編】(3)「油断による見落とし」へ続く(2020年1月下旬公開予定)

痛恨の敗局

大川慎太郎

ライター大川慎太郎

出版社退社後、2006年より将棋界で観戦記者として活動する。著作に『将棋 名局の記録』(マイナビ出版)、『不屈の棋士』(講談社現代新書)などがある。趣味は音楽鑑賞、サッカー観戦。映画、海外ドラマも好きで、最近はデヴィッド・フィンチャー監督の「マインドハンター」に度肝を抜かれた。

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