勝負は最終局に。10期目を目指す里見倉敷藤花VS初タイトルを狙う伊藤女流三段、第27期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負を振り返る。

勝負は最終局に。10期目を目指す里見倉敷藤花VS初タイトルを狙う伊藤女流三段、第27期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負を振り返る。

ライター: 渡部壮大  更新: 2019年11月29日

里見香奈倉敷藤花が防衛して大台の10期目に載せるか、伊藤沙恵女流三段が7度目の挑戦で初タイトルを獲得するかの勝負となった第27期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負。両者は倉敷藤花戦三番勝負では2年ぶり2度目の対戦で、前回は里見が2連勝で防衛している。

第27期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負第1局

第1局は鳥取県米子市「皆生温泉 華水亭」にて。出だしで駆け引きがあり、伊藤の振り飛車に後手の里見が5筋位取りからの急戦と、クラシックな戦型となった。

【第1図は▲3六香まで】

難解な中盤戦だったが、うまく里見が抜け出して優勢となった。ここから角を逃げずに△2六銀が寄せを目指した好手。▲3五香に△4七銀成▲同銀△5六馬とさわやかに踏み込んで寄せきった。里見が防衛に向けてまず1勝。

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白星発進の里見倉敷藤花

第27期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負第2局

第2局は恒例となっている岡山県倉敷市「倉敷市芸文館」にて。本局はすんなりと相振り飛車へ。里見は美濃囲い、伊藤は矢倉での戦いとなった。

【第2図は▲6八飛まで】

攻め合いとなっている形だが、ここから伊藤が得意の受けで局面をまとめる。第2図以下△6六歩▲同飛△5二銀▲7七桂△7五金▲6九飛△4六歩▲同金△1六歩▲2五桂△6六香で攻めの継続が難しい。後手は端を破っており、確実な攻めが約束されている。手数は掛かったものの手堅い指し回しを見せた伊藤が以下は押し切った。シリーズは1勝1敗となり最終局へ。

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タイに戻した伊藤女流三段

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第2局は、午後から対局場を芸文館ホールに移して、公開して行われた

第27期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負第3局

第3局は第2局の翌日に同所で行われた。振り駒で先手となったのは伊藤。第1局と違い、里見もすんなりと飛車を振って相振り飛車へ。

【第3図は▲8六角まで】

本局では里見が伊藤のお株を奪う攻め駒を責める受けを見せた。図から△8四香▲7八香△6五銀▲同銀△8五香▲6四銀△8六香と進めて駒得に成功。形勢は難しいものの、その後は駒得が生きる展開になって差が開いた。最後は一気に寄せきって里見が制勝。シリーズを2勝1敗で制した。

伊藤は悲願の初タイトルならず。里見は倉敷藤花を10期目の獲得。タイトル通算では38期となった。

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伊東香織倉敷市長から大山名人杯を受け取る里見倉敷藤花

*画像は大山名人杯倉敷藤花戦中継ブログより

注目対局プレイバック

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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