初の女流王将獲得、初の二冠へ。里見女流六冠に西山女王が挑戦した第41期女流王将戦三番勝負を振り返る

初の女流王将獲得、初の二冠へ。里見女流六冠に西山女王が挑戦した第41期女流王将戦三番勝負を振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2019年11月07日

注目対局プレイバック

女流王将を保持する里見香奈女流六冠と、挑戦者の西山朋佳女王による今期霧島酒造杯女流王将戦は頂上決戦に相応しいカード。両者は並行する女流王座戦五番勝負でも顔を合わせており、最強の女性を決定する八番勝負だ。春先のマイナビ女子オープンは3勝1敗で西山が防衛しており、それ以来の対戦となる。

これまでは持ち時間が25分で切れたら40秒の早指しだったが、前期より三番勝負に限り持ち時間が3時間で行われるようになっている。

第41期女流王将戦三番勝負第1局

第1局は恒例となっている宮崎県都城市の霧島創業記念館「吉助」にて。相振り飛車から後手が先攻したが、先手も猛反撃に出て激しい攻め合いとなった。第1図から竜を見捨てて▲7三香が鋭い。△4一金に▲6二銀と叩き込んで一気の寄せを図った。以下は後手に反撃の手番を与えず押し切り、西山が先勝

【第1図は△5一金引まで】

第41期女流王将戦三番勝負第2局

第2局からは東京の将棋会館にて行われた。今度は先手の里見が居飛車を明示し、西山の振り飛車を迎え撃つ。西山の三間飛車に里見は左美濃から穴熊へと組み替えて作戦勝ちに。第2図は大駒の働きに差がある分先手ペースだ。ここから▲9五歩が後手陣の弱点を突いた端攻め。香を持たれると▲3四香の田楽刺しがあるところも後手としては痛い。実戦は△8三歩と受けに回ったものの、▲6五歩△同桂の交換を入れてから▲6六角と引いて、好位置で角が安定している。端を破って駒得に成功した里見が圧勝し、決着は第3局へ

【第2図は△3六歩まで】

第41期女流王将戦三番勝負第3局

第3局は西山が初手▲7八飛で三間飛車宣言。対する里見は第2局に続き、居飛車で迎え撃った。戦型は先手の角交換振り飛車に、後手は銀冠の持久戦。左辺で大さばきをして第3図は終盤の入り口だ。後手からは△5四馬や△6七歩成があり、後手の銀冠穴熊は遠く見えるが、▲2五歩が腰の入った攻めだ。△同歩なら▲2四歩△同銀▲2二歩で▲3四桂を狙えば良い。実戦は△5四馬の両取りで反撃をしたが、手厚く▲4五銀と受け、△7二馬にやはり▲2四歩△同銀▲2二歩が急所を突いている。以下も熱戦が続いたが、里見の粘りを振り切って西山が制勝した

【第3図は△6六歩まで】

西山の女流王将獲得は初。二冠となるのも初だ。これで女流棋界のタイトルは里見が五冠、西山が二冠に。現在進行中の女流王座も獲得すれば出場可能なタイトルをすべて揃えることになるが、里見が意地を見せられるか注目の戦いは続く。

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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