「棋士もファンも楽しい企画を」棋士会の中村九段×遠山六段対談【棋士会対談・後編】

「棋士もファンも楽しい企画を」棋士会の中村九段×遠山六段対談【棋士会対談・後編】

ライター: マツオカミキ  更新: 2019年10月25日

棋士会の中村九段×遠山六段対談

「棋士会のことを、もっと知ってほしい!」という棋士会の持ち込み企画、会長・中村修九段×副会長・遠山六段の対談後編です。主催イベントの企画を考える中村九段が対談当日の朝ひらめいたという新しいアイディアの話や、棋士会のTwitterアカウントが予想外の盛り上がり方をしている話など、棋士会の裏話満載でお届けします。

*中村九段×遠山六段対談前編はこちら

「棋士もファンも楽しい企画を」中村九段の企画術

――これまで棋士会で活動してきて、印象に残っていることはありますか?

中村 大変だったことで記憶に残っているのは、2泊3日で3カ所を周るチャリティイベントをした時ですかね。例年1泊2日で東北に行くのを年2回ほど実施していたんですが、その年だけ1回しかできそうになかったから、無理矢理2泊3日に。

遠山 その時は、誰が参加していたんですか?

中村 私と郷田真隆九段、久保利明九段、佐々木勇気七段などでした。連日打ち上げがあるのですが、2次会、3次会と遅くまで飲みすぎて‥‥。

遠山 次の日もイベントがあるのに(笑)。

中村 そうなんですよ。地元の人も飲み会をとても楽しんでくれるので、調子に乗って‥‥。携帯電話をどこかに忘れる棋士もいれば、切符をなくしちゃう棋士もいて、終盤はボロボロでしたね。それ以来、2泊3日はやめようと思いました(笑)。

遠山 なんだか棋士の修学旅行みたいですね。10月の仙台と日立でのイベント、今からドキドキしてきました(笑)。

kishikai_interview_2_01.jpg

――イベントの内容は、どうやって決めているんでしょうか。

中村 大枠は現地の担当者が決めてくれるので、向こうからの要望でクイズ大会をしてほしいとか、トークショーをしてほしいなどがあれば、そういった希望の中での企画を準備する形です。

遠山 中村九段は、おもしろい内容の企画をするのが好きですよね。京急将棋まつりも中村九段が企画されていますが、毎年必ず一ひねり二ひねりあるというか。過去にイベントで実施した企画の中で、ご自分の中でも「コレは!」と思ったものって、ありますか?

中村 京急将棋まつりでは、目隠し将棋を京急の駅名や横浜DeNAベイスターズの選手名でやりましたよね。例えば「3五歩」って言うところを「3五●●駅」といった具合で。あれは気に入っていて、何年か続けました。出演者も、楽しんでくれて。

遠山 普通の目隠し将棋でも盛り上がりそうなところを、あえて駅名や選手名で(笑)。

中村 普通にやっても、おもしろくないですからね。あ、12月のクリスマスフェスタは、ゲームコーナーでダーツをやりたいな。ダーツが当たったら、詰将棋クイズ答えられるとかさ。今朝テレビを観てて、神社でダーツをして真ん中に当たると特別なお守りをもらえるって言ってて、「コレだ!」と思って。

遠山 いいですね、私はダーツ好きなのでやりたいです。若い子たちが強そう。

――この話、記事に載せてしまって大丈夫ですか? クリスマスフェスタのイベント告知は、まだですよね。

中村 全然大丈夫ですよ。まだアイディア段階なので、結局やらないかもしれないし(笑)。

遠山 この対談を読んでくださった方は「クリスマスフェスタでダーツをするのかどうか」にも注目していただければ(笑)。中村九段との打ち合わせは、いつもこんな感じで喋りながら進めていますよね。

中村 そう、喋んないと忘れちゃうんですよ、私。すみませんね、もう。でもこんな感じで、将棋と何かを掛け合わせて、ファンの方々が楽しんで参加できるものは何かないかなという視点で、日々考えています。‥‥いや、日々ってほどではないか。少し大げさに言いました、すみません(笑)。

kishikai_interview_2_02.jpg

遠山 中村九段は、イベントの企画を考える上で何か大切にしていることはありますか?

中村 棋士って、普段は一生懸命苦しそうな顔で将棋を指していると思うんですが、イベントでは棋士も楽しんでほしいなと思っていて。さらに言えば、その楽しそうな顔をファンの人に見てもらうのも、おもしろいと思っています。ギャップがあると楽しいじゃないですか。

遠山 出演者側も楽しめることは重要ですよね。本人たちが楽しそうならば、イベント全体の空気も盛り上がって、ファンの方々もきっと楽しんでくれますから。

棋士会のTwitterは、遠山六段の予想の斜め上を行く展開に!?

――遠山六段が棋士会副会長に就任されてから、棋士会のTwitterも開設されましたよね。

遠山 将棋ファンはTwitterを活用している方が多いので、棋士会のことを発信したいなと思って軽いノリで始めてみました。そうしたら、意外にも先輩方が積極的につぶやいてくださってフォロワーが増えるというまさかの展開で(笑)。(取材時点でフォロワー数6300越え)

中村 畠山八段が、たくさんつぶやいてますよね。私は狙って書いているけど、畠山八段は真面目に書いているのにおもしろくて‥‥(笑)。

遠山 後輩棋士に「この文章で大丈夫か?」と確認してツイートしてるそうですよ。

中村 もはや、棋士会のアカウントは畠山八段に乗っ取られるかもしれない(笑)。それぐらいおもしろいので、私は「なんだ、畠山八段じゃないのか」って思われたら嫌だからツイートするのに少しためらいます(笑)。まあ、それでもツイートするんですけれどもね。

遠山 (笑)。こうして先輩方が楽しく発信してくださっているからこそ、ファンの方たちも喜んでくれていると思います。

kishikai_interview_2_03.jpg

今後も棋士会ならではのおもしろいイベントに注目!

――今後、棋士会として目指していきたい形はありますか?

中村 いつか、車で全国を周って、指導対局とかイベントをしたいという大きな夢はありますけどね。棋士も乗り替わって、いろんな棋士・女流棋士が参加できるような。今は1泊2日で年に数カ所行くのが精一杯ですけど。

遠山 2泊3日でも大変、というお話を先ほどされてましたもんね(笑)。

中村 まあ、それはすぐには難しいとしても、たくさんの棋士が関われるようなイベントをしたいですね。今の形ばかりではなくて、例えば1日中指導対局をするとか‥‥良いネーミングを考えたんだけどな、「指導対局バイキング」だっけな‥‥、忘れちゃった。でも、とにかく将棋連盟ではできないような、棋士会らしいおもしろいイベントができればと思います。

遠山 中村九段がこうしていろいろと考えて企画されているので、私はそれを支えたいです。普及面はもちろん、今後は棋士・女流棋士向けの講習会もやりたいですね。将棋界全体がさらに発展できるよう、棋士会ができることは取り組んでいきたいと思います。

kishikai_interview_2_04.jpg

棋士会の中村九段×遠山六段対談

マツオカミキ

ライターマツオカミキ

2014年からライターとして活動する平成元年生まれ。28歳にして初めて将棋に触れました。将棋を学びながら、初心者目線で楽しさをお伝えします!普段は観光地や企業、お店を取材して記事を執筆中。

このライターの記事一覧

この記事の関連ワード

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

こちらから将棋コラムの更新情報を受け取れます。

Twitterで受け取る
facebookで受け取る
RSSで受け取る
RSS

こんな記事も読まれています