端歩を受ける一手を別のところで使うと‥?「対ヒネリ飛車4三金型舟囲い」の注意点

端歩を受ける一手を別のところで使うと‥?「対ヒネリ飛車4三金型舟囲い」の注意点

ライター: 一瀬浩司  更新: 2019年10月15日

前回のコラムでは、「対ヒネリ飛車4三金型舟囲い」の組み方を見ていきました。
今回は組む際の注意点と発展形を見ていきましょう。それでは、まずは囲いの組むまでの手順の復習です。初手から、▲2六歩、▲2五歩、▲7八金、(△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩)▲3八銀、▲9六歩、▲4六歩、▲7六歩、(△7四飛)▲7七金、▲6九玉、▲6八銀、▲7八玉、▲4七銀、▲6六歩、▲6七金(第1図)。

【第1図は▲6七金まで】

対ヒネリ飛車4三金型舟囲いの注意点

それでは、組む際の注意点を見ていきましょう。
組む際の注意点:第2図をご覧ください。

【第2図は▲1六歩まで】

いま、先手が▲1六歩と端歩を突いてきたところです。よくある進行は、△1四歩▲3八銀△6四歩ですが、上達してくると、「端歩を受ける一手を別のところで有効に使いたい」と思われるかもしれません。では、第2図で端を受けずに△6四歩と突くとどうなるでしょうか? 先手に好手があるので考えてみてください。

お分かりになりましたでしょうか? 
第2図から△6四歩には、交換したばかりですが、▲2四歩と合わせる手が好手になります。△2四同歩▲同飛(第3図)となると、6四の歩取りですが、△6三銀と上がると、▲2三歩で角を殺されてしまいますね。

【第3図は▲2四同飛まで】

▲2三歩には、△2三同金とすれば角は取られませんが、▲同飛成となると、金と歩の交換のうえに竜まで作られてこれはいきなり後手敗勢となります。第3図で△2三歩と受けるのは、▲6四飛と取られて序盤早々歩損となってしまいます。

第2図で、△1四歩と端を受け、▲3八銀としてから△6四歩なら、▲2四歩△同歩▲同飛とされても、△6三銀と上がれば1三に角の逃げ道があるので大丈夫です。以下、▲2六飛なら△2三歩と受けておけば何事も起こりませんし、なおも▲2三歩と打ってくるのであれば、△1三角と逃げれば▲2六飛には△5七角成と成り込めますし、▲1四飛には△8六歩▲同歩△同飛で△2六飛の転回を狙えばこれも後手指しやすい形勢です。

△1四歩は端の突き越しを阻止するだけでなく、角の逃げ道を作る、という意味もありました。それでは、次に囲いの発展形を見ていきましょう。

対ヒネリ飛車4三金型舟囲いの発展形

囲いの発展形:第1図から、▲7五歩、▲7六金、▲5八金、▲6七銀(第4図)と、玉頭に位を張るのも有力な陣形です。

【第4図は▲6七銀まで】

この後、余裕があれば、▲8六歩~▲8五歩と8筋も伸ばしていきます。ヒネリ飛車は美濃囲いの玉頭の歩がないので、場合によってはもうひとつ▲8四歩と伸ばして大きな拠点を作ることができます。ただ、5七の地点が薄くなるので、そこは気を付けなければなりません。また、第1図から反対側に、▲3八金、▲5六金(第5図)と5筋に上がる形もあります。

【第5図は▲5六金まで】

さらに玉は薄くなりますが、ヒネリ飛車は△4五歩と4筋から仕掛けを狙うことが多いので、左金をそちらの守備に回して全力で攻めを受け止めようという指し方です。

玉の囲い方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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杉本和陽

監修杉本和陽四段

棋士・四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。
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