「私に対してツンデレなんです」 和田あき女流初段が目指す姿と家族の話【女流棋士とデザート】

「私に対してツンデレなんです」 和田あき女流初段が目指す姿と家族の話【女流棋士とデザート】

ライター: マツオカミキ  更新: 2019年07月18日

ローソンのデザートを食べながら、和やかな雰囲気で女流棋士にお話を聞くこのシリーズ。今回はスペインとフランスにまたがるバスク地方のチーズケーキを参考にしたバスク風チーズケーキ「BASCHEE(バスチー)」を、和田あき女流初段に食べていただきながらのインタビューです。女流棋士を目指す妹とのツンデレな関係や、対局で勝てずに苦しんだ時期に父からもらった言葉など、将棋と家族についてお話いただきました。

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「全然うまくできなくて」和田女流初段が苦手意識を持っていること

――今年3月に発売した「BASCHEE(バスチー)」、召し上がったことはありますか?

あります! Uchi Caféのデザートが好きで、気になる新商品は必ず食べるんです。バスチーは先週も食べたのですが、とても好きなので今日も食べられるのが嬉しいです。いただきます!

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やっぱり、おいしいなあ。しっかりとしたチーズケーキです。‥‥すみません、食レポが苦手なんです(苦笑)。

――表情で十分おいしさは伝わっていると思います(笑)。

将棋中継で聞き手をしている時にも食レポをする機会があるんですが、「おいしい」しか言えなくて(笑)。甘いものは大好きだから、本当においしくて幸せって思ってるんですけど、それをうまく伝えられないんです。女流棋士や棋士の先輩方は皆さんうまく表現していて、すごいなぁって思ってます。

――甘いものが好きとのことですが、どういう時に食べますか?

普段は対局終わりに食べることが多いです。負けた後は自分をなぐさめるために、勝った後はご褒美としてデザートを買って帰ります。甘いものに限らず「食べること自体」が好きですね。おいしいものを食べるのが、毎日の楽しみのひとつなんです。

――ご自分で料理をされることもありますか?

料理はあまりしないので、これから挑戦したいなと思っています。今は実家に住んでいるので母がご飯を作ってくれるのですが、以前母がいない時に自分で作ってみたら全然うまくできなくて「料理って難しいんだ!」と思いました。

――何か「作れるようになりたい料理」はありますか?

とにかく、お味噌汁を作れるようになりたいですね! 自分で作ってみた時に、出汁がとれなくて上手にできなかったので‥‥、いや、お味噌汁だとちょっと目標低すぎますかね? ‥‥やっぱり、目標はクリームシチューにします! 母がイチから作ってくれるクリームシチューが大好きなので、それを自分でも作れるようになりたいです。こっちの方が、ちゃんとした目標っぽいですかね(笑)。

女流棋士を目指す妹との、普段の関係性は?

――将棋を始めたきっかけは、何でしたか?

5歳の頃に、父と兄が将棋を指しているのを見て、興味を持ったのがきっかけです。父は将棋が結構強かったので、最初は父に教えてもらっていました。あの頃は「兄に勝ちたい」という気持ちだけで将棋を指していましたね。

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――お兄さんだけでなく、妹さんも将棋を指すんですよね。

はい。4つ年が離れている妹は、私と兄が指しているのを観て、勝手に覚えたんだと思います。兄は今はもう将棋は指してないですが、妹は今女流棋士を目指して研修会に入っています。あとひとつ上がれば女流棋士の資格を得られるところまで来たようです。

――姉妹で、お互いの対局を気にしたりするものですか?

気になりますね。先日、妹が公式戦に出る機会があって、一斉予選で私も対局があったのですが、妹の対局の方が気になってもう気が気じゃないというか‥‥、胃が痛かったですね。

――妹さんも、和田女流初段の対局を気にしていたり?

妹に直接「私の対局観た?」と聞くと「え、観てない」みたいな反応をされるんですが、後で家族に聞いてみると「お姉ちゃんの対局、ずっと観てたよ」と教えてくれるんです。妹、私に対してツンデレなんですよ(笑)。

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――じゃあ、あまり姉妹で将棋の話もしないですか?

私が妹に質問することはあるんですけどね。妹は振り飛車党なので、私の対局相手が振り飛車の時に質問したり。でも、質問しても適当にあしらわれちゃって(笑)。‥‥妹からアドバイスを求められることは、ないですね。

――お姉ちゃん、ちょっとさみしいですね(笑)。

そうなんですよ。例えば、家にいる時に「10秒将棋指そうよ!」って誘っても、断られちゃいます。「今、忙しいから」って(笑)。でも妹は高校の勉強と将棋の両立で、本当に忙しいんだと思います。それを身近で見ているので、よく頑張ってるなと思いますし、心から応援しています。

将棋をやめたいと思った時に父からもらった言葉

――5歳からこれまで、将棋を続けてこられた理由は何でしょうか。

勝った時に嬉しいのはもちろんなんですけど、どちらかといえば、負けた時の悔しさのおかげで続けられている気がします。負けた時は必ず原因があるはずなので、その原因を考えて、改善し続けてきたら今につながっていた、という感じです。

――今までの将棋人生の中で、苦しかった時期はありますか?

女流棋士になる直前の、研修会にいた時が一番苦しかったです。高校1年生の終わり頃ですかね。大事な勝負で負けが続いて、将棋をやめたくなったぐらい。

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――「やめたい」という気持ちを引き止めたものは、何だったんでしょう。

父から「そんなに長くやってきたことを、一時的な感情でやめていいのか?」って言われたのが、効きましたね。ただ、当時は反抗期だったので、言われた瞬間は反発しましたが(笑)。それでも時間を置いたら「やっぱり続けよう」と思えるようになって、続ける決意が固まったせいか、以前よりも気持ちが楽になりました。

その後は自然と将棋も勝てるようになって、父から言われて1カ月後の高校2年生の4月に女流棋士になれたんです。あのとき気持ちが折れていたら女流棋士にはなれなかったので、結構大きな分岐点だったと思います。

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――お父様の一言のおかげですね。

そうですね、引き止めてくれたことにとても感謝していますし、そういう考え方ができる父のことをすごく尊敬しています。父はすごく仕事熱心で、より良い自分になることにストイックな人なんです。そういう父の姿勢に憧れていて、私もそうありたいなと思います。とはいっても、私はどちらかというと母に似てマイペースなのんびり屋なので、なかなか父のようにはなれないのですが(笑)。

――最後に、女流棋士としてのこれからの目標を教えてください。

何よりも、対局でもっと結果を出したいので、今は指せる戦型を増やしたいです。普及面では、皆さまに楽しんでもらうためにはどうしたらいいか、試行錯誤しながら私ができることを見つけていきたいと思います。皆さん貴重な時間を割いて指導対局やイベントに来てくださるので、おもしろかったと思ってもらえるように、これからも頑張ります!

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まとめ

「父のようになりたい」と少し照れながら言った和田あき女流初段。将棋を始めるきっかけとなり、また将棋をやめようとした時に引き止めてくれたお父様への感謝が、お話される表情からも伝わってきました。そして、「BASCHEE(バスチー)」を差し入れてくれたローソンクルーのあきこちゃんには、素敵なメッセージをいただきましたよ。

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取材協力和田あき女流初段

2014年に女流3級でデビュー。同年の第8期マイナビ女子オープン予選を勝ち抜き本戦出場を果たし、女流2級に。その後、本戦も勝ち進み、挑戦者決定戦に出場し、上田初美女流三段(当時)に敗れたものの、ベスト4以上の成績により女流初段に昇段した。北海道札幌市出身。藤倉勇樹五段門下。

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ローソン×日本将棋連盟 コラム

マツオカミキ

ライターマツオカミキ

2014年からライターとして活動する平成元年生まれ。28歳にして初めて将棋に触れました。将棋を学びながら、初心者目線で楽しさをお伝えします!普段は観光地や企業、お店を取材して記事を執筆中。

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