3三歩で流れる攻めに!矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第90回 矢倉の崩し方】

3三歩で流れる攻めに!矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第90回 矢倉の崩し方】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2019年06月11日

今回のコラムも、矢倉で1筋の端歩を突き合っている形で4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は△6四角まで】

いま、▲3五銀△同銀▲同角と3五の地点で銀交換になったあと、△2四銀▲6八角△6四角と進んだ局面です。前回は、▲1五香と捨てる手を見ていきましたが、△1五同香▲3三歩△同銀で攻めを続けていくのが難しくなってしまいました。

今回は、別の攻め方を見ていきましょう。▲4六歩、▲4六角、▲1二歩、▲1五香と見てきまして、残る攻めの候補は▲3三歩(第2図)くらいです。

【第2図は▲3三歩まで】

第2図から、△3三同銀は▲同桂成△同金上に、今度は▲4六歩と受けておいても後手陣が薄くなり、銀桂交換の駒得となって満足な展開でしょう。▲4六歩では▲4六角とぶつけて△同角▲同歩としても、今度は次に▲6一角などの攻めもあってこれも先手がよいですね。よって、後手は△3三同桂と応じてきます。そこで▲1五香(第3図)と捨てるのが、先手の狙いです。

【第3図は▲1五香まで】

前回のコラムと違い、▲3三歩に対する応手を△同桂に限定しているのが大きいのです。さて、今回はどうなっていくのでしょうか? 二通りの応手を順に見ていきましょう。

まずは第3図から、△1五同銀です。この局面、どこかで見覚えがありませんか? そうです。先に▲1五香と走り、△同銀に▲3三歩△同桂と進めた局面と同じですね。

では復習も兼ねて見ていきましょう。ここで▲3三桂成△同金上▲2五桂と進めると、△3七歩と打たれてダメでしたね。▲1二歩(第4図)と打ち、△同香に▲1三銀と打ち込めば攻めが続いていきます。

【第4図は▲1二歩まで】

次に、第3図から△1五同香を見ていきましょう。このとき、先に▲3三歩△同桂を利かしておいた効果が出ます。▲1三銀(第5図)と打つ手が厳しい攻めになりますね。

【第5図は▲1三銀まで】

第5図で△1三同銀は、▲同角成△2一玉▲1二銀までですので、後手は△3一玉と引く一手です。ここで、▲2四銀成△同歩▲同角と1三の銀を交換しながら攻めれるのが大きいのです。前回の▲1五香△同香▲3三歩△同銀のときの変化では、1三の銀で取る駒がなく、重い形になってしまいましたが、今回は流れるように攻めが続いていきます。

▲2四同角の局面は、▲3三桂成が厳しいですし、▲1三角成と成り込む手や、場合によっては▲1五角と香を取り返す手も生じています。よって、第1図からは▲1五香ではなく、▲3三歩と先に打てば攻めがつながっていきます。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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