飛車が取れそうでも焦らずに‥。銀冠(相居飛車)の組み方(2)【玉の囲い方 第76回】

飛車が取れそうでも焦らずに‥。銀冠(相居飛車)の組み方(2)【玉の囲い方 第76回】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2019年06月29日

玉の囲い方

前回のコラムでは、相居飛車で銀冠に組む手順を見ていきました。今回は銀冠に組む際の注意点を見ていきます。それでは、銀冠に組むまでの手順をまずは復習していきましょう。初手から、▲7六歩、▲2六歩、▲6六歩、▲7七角、▲7八金、▲5八金、▲8八銀、▲6九玉、▲4八銀、▲5六歩、▲6七金右、▲5七銀、▲7九玉、(△8六歩▲同歩△同角▲同角△同飛)▲8七銀、▲8六歩、▲8八玉、▲9六歩(第1図)。

【第1図は▲9六歩まで】

8七銀で銀冠に組めるが...

それでは、組む際の注意点を見ていきましょう。
組む際の注意点:第2図をご覧ください。

【第2図は△8六同飛まで】

いま8筋で角と歩の交換が行われたところです。ここで、▲8七銀なら普通に銀冠に組めますが、なにかよさげな手が見えませんか? もし先手に香があれば...。

そうですね。▲8七香で飛車を取ることができます。そこで、▲2二角と打ち込み、後手は△3三角で何事もなく受かると思っているでしょうが、▲1一角成! と香のほうを取り、△同角に▲8七香と打てば飛車が助からず先手優勢。ここまで進め、相手がうっかりしたと心のなかでしめしめと思うところでしょうが、実はうっかりしていたのは先手のほうです。まいったな~仕方ない、という表情で△8七同飛成としてくるかもしれませんが、▲同銀のときに手をしならせて△8八歩(第3図)と打たれるとどうでしょうか?

【第3図は△8八歩まで】

▲8八同金で一見意味はわかりませんが、6七の金を離れ駒にさせて、△2七香と打ち込むのが後手の狙いです。▲2七同飛は△4九角で、飛車金両取りが決まりますね。▲6八飛と逃げても△2九香成とされ、桂を取られながら3九の銀取りにもまたなっており、これも先手がまずいです。

第3図から▲7七桂と逃げるのは、△8九歩成でやはり次に△8八と▲同金△2七香の狙いがあります。それを防いで▲6八玉としても、△7二金といったん8筋を受けられると後手陣に飛車を打ち込む隙がなく、8九にと金が残っており、はっきり先手不利ですね。

玉が6八や7九にいればこの筋はありませんが、後手に角香を持たれるので、飛車は取れる形でも、素直に▲8七銀から銀冠に組むのが無難です。続いて第4図です。

4二角の筋は気をつけて

【第4図は△1四歩まで】

ここで、▲7七桂と跳ねる手は自然ですが、△4二角(第5図)と打つ手があります。

【第5図は△4二角まで】

狙いは△8六角と歩を取る手で、▲同銀△同飛となると、8七に受ける歩がなく、▲8七金△8二飛で次の△8六歩が受けにくく後手よしです。第5図で▲9七角ではいかにもつらい受けですし、▲8五歩と伸ばすのは△8六歩▲9八銀△7三桂と玉頭に拠点を作られながら調子よく攻められてしまいます。

もし、どこかの歩が交換してあって、先手の持ち駒に歩があれば、△8六同飛まで進んだとき▲8七歩と打って、逆に角銀交換の駒得となって先手よしとなりますが、歩を持っていないときは△4二角の筋は気をつけなければなりません。

第4図では、▲4六銀とするか、▲6五歩~▲6六銀と盛り上がって指すべきでした。▲7七桂と跳ねなければ、△4二角には▲6八角や▲5九角とこちらも角を打って受けて大丈夫です。なお、△4二角に対しては、角を持ち駒に温存して▲7七金寄と受ける手も見えますが、△7三桂とされると次に△8五歩▲同歩△同桂で7七の金を目標に攻めて来られますので、角を打って受けるのがよいです。

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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杉本和陽

監修杉本和陽四段

棋士・四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。
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