雁木右玉の組み方(1)【玉の囲い方 第71回】

雁木右玉の組み方(1)【玉の囲い方 第71回】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2019年06月10日

玉の囲い方

前回のコラムでは矢倉右玉、その前は風車の組み方をご紹介しました。今回のコラムも、玉を右に囲うものを見ていきます。これまでも、さまざまな形の右玉を見てきましたが、まだ別の物があります。それは「雁木右玉」です。現在、雁木は大流行しておりますが、それの右玉版ですね。では、どのような囲いなのか? まずはそれを見ていきましょう。

囲いの特徴:第1図をご覧ください。

【第1図は△6三金まで】

平成31年1月7日、第90期棋聖戦二次予選、▲広瀬章人竜王ー△佐藤康光九段戦です。後手の形は雁木ですが、玉が6二と右へ囲っていますね。これが雁木右玉です。わかりやすいように、通常の右玉と比較してみましょう。

第2図は平成31年2月8日、第77期順位戦C級2組、▲上村亘四段ー△八代弥六段戦です。

【第2図は△8一飛まで】

先手の形が矢倉右玉、後手の形がオーソドックスな右玉と、珍しい相右玉の戦型となっています。どちらの形も、玉の脇をしっかりと金が守っていますね。第1図の形では、玉の頭に金を上がっているので、見るからに薄い玉形をしています。ですが、4三~6三に並んだ金銀が上部を厚く守っているところが特徴です。極端な例ですが、第3図をご覧ください。

【第3図は▲7五歩まで】

わかりやすく、盤上の駒を少なくしています。先手が雁木右玉の部分図、後手が右玉の部分図です。いま▲6五歩△同歩▲7五歩という攻め方をしたところですが、先手の次の狙いは▲7四歩ではなく、▲6四歩△同銀▲7四歩です。こうなると、7三の桂が取れますね。また、第3図から△7五同歩には▲6四歩と打ち、△同銀と△7二銀は▲7四歩で桂がやはり取れますし、△7四銀とかわすのは6四に大きな拠点が残ることになります。

対して、先手陣を見てみましょう。例えば、同じように△4五歩▲同歩△3五歩と攻められてきても、堂々と▲同歩と取れば、△4六歩と打たれても▲同銀で相変わらず3六の地点は金が守っています。また、5七の銀がいない場合でも、△4六歩に▲同金でやはり3六の地点は金が利いていますので、後手は攻めになりません。 このように、右玉の弱点のひとつである、桂頭の守りも通常の右玉よりはしっかりしています。それでは、いつも通り、先手側の駒のみを配置して組むまでの手順を見ていきましょう。

囲いを組むまでの手順:初手から、▲7六歩、▲6八銀、▲6六歩、▲5六歩、▲4八銀、▲7八金、▲5八金、▲6七銀、▲5七銀(第4図)。

【第4図は▲5七銀まで】

まずは、雁木に組んでいきます。第4図から、▲6九玉と寄れば、通常の雁木になりますが、ここから右に玉を移動させます。第4図から、▲4六歩、▲3六歩、▲4八玉、▲4七金、▲3七桂、▲2九飛(第5図)。

【第5図は▲2九飛まで】

先に、▲4七金~▲3七桂などとしてから▲4八玉でも構わない場合も多いですが、3八の地点が不安ですので、ひとまず玉を上がってしまうほうが安心でしょう。次回は雁木右玉に組む際の注意点と発展形を見ていきましょう。

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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杉本和陽

監修杉本和陽四段

棋士・四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。
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