勝っても負けても一日中楽しめる!2200人が熱狂した職団戦をご紹介!【はじめての職団戦 vol.7】

勝っても負けても一日中楽しめる!2200人が熱狂した職団戦をご紹介!【はじめての職団戦 vol.7】

ライター: 津持大和  更新: 2019年05月20日

内閣総理大臣杯第115回職域団体対抗将棋大会(日本将棋連盟主催、朝日新聞社・東京都教育委員会後援)が2019年4月14日に東京都足立区の「東京武道館」で開催されました。毎年、春と秋に行われるこの大会は通称「職団戦」と呼ばれており、職場の仲間でチームを組んで出場することができる将棋大会です。

この職団戦に向けて活動してきたローソン将棋部からは、前期のFクラス準優勝し、Eクラスに昇級したAチームと、職団戦初参加で女性が2人在籍するBチームが参加。

Aチームは2期連続昇級、Bチームは職団戦初勝利を目指し大会に臨みました。

今回のコラムでは、本大会の様子と、ローソン将棋部の皆さんの戦いぶりをご紹介します。

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過去10年間で最多参加者が熱戦を繰り広げた職団戦

今回の職団戦には、将棋ブームの影響を受けてか、過去10年間で最多となる約2200人が参加し、会場となった東京武道館は参加者の熱気に包まれました。

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開会式では日本将棋連盟の佐藤康光会長からの挨拶が行われ、その後、太鼓の音が鳴り、SからFクラスが一斉に一回戦を開始しました。

ローソンAチームの初戦の相手は、ライオン。チームメンバーは、勝って勢いをつけたいと初戦に臨みました。果たして勉強の成果を出すことができたのか?遠山先生に対局を解説していただきました。

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初戦に挑むローソンAチーム

遠山六段 ローソンAチーム、1回戦は勉強の成果を出して順調な滑り出しとなりました。
特に三木さんは会心の指し回し!三木さんは対振り飛車に居飛車穴熊を勉強していて、練習対局では成果を出せないでいましたが、本番で結果を出せました。

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遠山六段 図は穴熊にガッチリ囲って仕掛けたところ。ここから▲2二歩△3三桂▲2一歩成△1三香▲2二と、と「と金の遅早」でジリジリと相手陣を侵食しました。
自陣が堅いときほど、焦らずゆっくり攻めるのが急所です。好手順でリードを奪い、以下も一方的な内容で圧勝しました。

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他のメンバーも続々と勝利し、初戦を4勝1敗と快勝で突破したAチーム。1勝したのでFクラスへの降級はひとまず免れました。

一方、初参戦のBチームは苦戦を強いられている様子。しかし、劣勢になっても「なんとか1勝したい」という気迫が対局姿から伝わってきました。

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多くの対局が終盤までもつれる展開となりましたが、健闘虚しく初戦敗退。

アマチュア初段の棋力をもつ棚原さんも競り負け、残念そうに肩を落としていました。

しかし、職団戦は初戦で敗退すると「慰安戦」と呼ばれる敗者復活リーグに回ることができます。「次は勝てるように頑張ります!」とBチームは初勝利を目指し慰安戦に臨みました。

ローソン将棋部、連続昇級なるか?

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Aチームの2回戦は、初戦では講談社を破り勝ち上がってきた日本乳化剤。

1局指したことで緊張がほぐれたAチームのメンバーは、1局でも多く指せるようにと気合いを入れて対局に臨みました。

いざ対局が始まると5戦ともに大熱戦に。序盤は形勢が拮抗していましたが、徐々にローソン将棋部が押され始めます。遠山六段も戦況をメモしながら不安そうに見守ります。

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メモを取る遠山六段

そして大熱戦の末、1勝4敗でローソンAチームは2回戦で敗退。2大会連続昇級とはなりませんでした。

「序盤は良かったのですが、中盤~終盤で力負けしてしまいました。Eクラスは想像以上に全体のレベルが上がっており、次の大会に向けて実力の底上げの必要性を実感しました。」と、遠山六段は闘いぶりを振り返っていました。

負けても楽しめる職団戦のお楽しみとは?

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Bチームも慰安戦で敗れ、2チームとも午前中に敗退してしまったローソン将棋部。配布されたお弁当を食べて後は帰るだけ...とはならないのが職団戦。職団戦には、負けてもチームみんなで楽しめる要素がたくさん存在します。

お楽しみ要素の一つ目は、将棋ブース。会場には将棋関連のブースが出展されており、様々な将棋グッズを購入することができます。

本大会には、女流棋士が運営するブースと、株式会社ねこまどが運営するブースの2つが出展。女流棋士ブースでは、谷口由紀女流二段などさまざまな女流棋士と談笑するファンが数多く見受けられました。

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女流棋士ブースに出品されていた色紙

ねこまどブースでは、「寄せの手筋200」など数々の名著で知られる金子タカシ先生の直筆サイン会が行われ、購入しようと将棋ファンが長蛇の列を作っていました。

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二つ目は、プロ棋士による指導対局。職団戦では毎回指導対局が行われており、抽選で当たった方はプロの指導を受けることができます。今大会には、土佐浩司八段や本田奎四段、貞升南女流初段など計10名が指導棋士として参加していました。

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ローソン将棋部も指導対局の抽選に参加し、6人が当選。その中から棚原さんの対局を遠山先生に解説していただきました。

遠山六段 ローソンBチームで初参加ながら1勝をあげた棚原さんは、午後の指導対局でもプロ相手に二枚落ちで見事な勝利をあげました。
棚原さんは貞升南女流初段と二枚落ちで対局。得意の振り飛車から左桂の華麗な跳躍で貞升女流初段の押さえ込みを突破します。
優勢で迎えた終盤戦、実戦ではあまりお目にかかれない詰将棋のようなカッコいい決め手があるの、皆さんはわかりますか?

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遠山六段 図から▲6五飛!私はこんなにきれいな両王手を実戦で指した記憶がありません。ピッタリの詰みで貞升女流初段はここで投了しました。見事な一手に部員の皆さんからも絶賛の嵐!貞升女流初段も「ボロボロで、コラムに載るのは恥ずかしいです(笑)」と語るほど、棚原さんにとって会心の一局となりました。いま将棋ウォーズで二段まであと一歩の棚原さん。半年後までに二段獲得、さらにその上を目指してほしいものです。

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感想戦を行う貞升女流初段と棚原さん

まとめ

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今大会は2チームとも昇級とならなかったローソン将棋部。しかし、得られたものも大きかったようで、部員は次の職団戦でリベンジしたいと燃えていました。

第116回職団戦が開催されるのは11月3日(会場は東京都立川市の「アリーナ立川立飛」)。今回の反省点を遠山六段と共に改善し、次回の職団戦に挑みます。

はじめての職団戦

津持大和

ライター津持大和

1996年生まれの福井県出身。山本博志四段の影響を受けて居飛車党から三間飛車党に転身。ゲーム、カードゲーム、野球、カフェが好き。将棋イベントとゲーム大会によく出没します。

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遠山雄亮

監修遠山雄亮六段

東京都練馬区出身。1993年に奨励会に6級で入会。1997年に初段に昇段。2005年10月に四段に昇段。長らく、日本将棋連盟モバイルの編集長としてモバイル事業に携わり、現在は、棋士会副会長としてイベント等の企画、運営を行なっている。デビュー当初から、しばらくは振り飛車党だったが、ここ近年は居飛車中心に戦っている。

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