永瀬拓矢七段が高見泰地叡王に4連勝で初のタイトル獲得、第4期叡王戦七番勝負を振り返る

永瀬拓矢七段が高見泰地叡王に4連勝で初のタイトル獲得、第4期叡王戦七番勝負を振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2019年05月18日

注目対局プレイバック

高見泰地叡王永瀬拓矢七段が挑戦した第4期叡王戦七番勝負

昨年の第3期は叡王戦がタイトル戦になって初の開催。決勝の七番勝負には高見六段(当時)と金井恒太六段が進み、初タイトルを懸けたフレッシュなシリーズとなった。結果は4連勝で高見が叡王を獲得し、一躍トップ棋士の仲間入りを果たす。初の防衛戦は各棋戦で勝ちまくっている永瀬を挑戦者に迎えた。

永瀬は2016年の第87期棋聖戦で羽生善治棋聖(当時)に、2017年の第43期棋王戦で渡辺明棋王に、ともにフルセットの末敗れており、今回は初タイトルを狙う。

叡王戦七番勝負第1局

第1局は台湾の「圓山大飯店」にて。最初の2局は持ち時間5時間で行われた。角換わりから永瀬が早繰り銀に出るが、高見がうまく対応して形勢をリードする。

【第1図は△5五角まで】

第1図は玉の安定度が大差で後手優勢。しかし、永瀬も持ち前の粘りで簡単には土俵を割らない。図から▲6六銀△同角▲同玉△6五歩▲同玉△6四銀▲6六玉△5五金▲5七玉△4五金と上部を制圧したが、▲3四角から駒を取り返して逆転した。後手としては早めに△6九飛を決めておく必要があったようだ。この後の流れを思うと、高見にとっては痛恨の逆転負けだったと言える。

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叡王戦中継ブログより

叡王戦七番勝負第2局

第2局は北海道知床の「北こぶし知床ホテル&リゾート」にて。後手の永瀬が横歩取りに誘導し、ひねり飛車調の持久戦となった。

【第2図は▲4七歩まで】

後手優勢の終盤戦。図で△4七同馬▲同銀△同飛成は▲6五角の筋があって危険だ。△6六飛▲同歩△5五馬が好判断。先手は3八銀、4九金が遊び駒になっているのが痛く、粘るのが難しくなっている。以下は永瀬が押し切って2連勝。

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叡王戦中継ブログより

叡王戦七番勝負第3局

第3局は長崎の「史跡料亭 花月」にて。第3局、第4局は持ち時間3時間だ。戦型は相矢倉に。以前流行の金矢倉ではなく、お互いに5八金型の流れ矢倉に組む。

【第3図は△8九歩成まで】

と金がすぐ近くに作られて不気味だが、後手の持駒は少ないのでまだ大丈夫だ。▲4六金が力強い前進。△5四桂を打たれるのは承知の上で、▲5五角△同角▲同金とさらに前進。後手玉を寄せるには4四の地点が急所なのだ。△8八角は攻防手だが、▲4四金△同角成▲同香で先手の勝ち筋だ。永瀬が一気の3連勝で、初タイトルにあと1勝と迫る。

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高見泰地叡王 叡王戦中継ブログより

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永瀬拓矢七段 叡王戦中継ブログより

叡王戦七番勝負第4局

第4局は広島の「みやじまの宿 岩惣」にて。第2局に続き横歩取りとなったが、今度は比較的早い段階で戦いが始まった。

【第4図は▲5三香成まで】

玉形の安定度の差で後手優勢だが、現状は▲7一竜以下の詰めろが掛かっている。△6一香が当然ながら手堅い受けで、これで後手に速い攻めがない。以下▲6一同と△同金▲6三成香と迫ったが、遠く1七馬も利いており後手陣は安泰だ。△6八銀からラッシュを掛けて後手が寄せきった。

永瀬は4連勝で初のタイトル獲得。令和最初のタイトル獲得者にもなった。王位戦や竜王戦でも勝ち上がっており、さらなるタイトル獲得を狙う。

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感想戦の様子 叡王戦中継ブログより

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インタビューに答える永瀬拓矢新叡王 叡王戦中継ブログより

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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