矢倉右玉の組み方(1)【玉の囲い方 第69回】

矢倉右玉の組み方(1)【玉の囲い方 第69回】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2019年05月30日

玉の囲い方

今回のコラムでは「矢倉右玉」をご紹介します。ん? 矢倉と右玉? 矢倉は左側に玉を囲うのに、右玉? どういうこと? と思われるかもしれません。聞き慣れない名称かもしれませんが、プロの実戦でも使われている戦法です。では、どういうものなのかを見ていきましょう。

囲いの特徴:第1図をご覧ください。

【第1図は△9四歩まで】

平成30年1月24日、第44期棋王戦予選、▲所司和晴七段ー△青嶋未来五段戦です。先手の所司七段は、矢倉を構築し、これから6九の玉を入城させようというところですが、後手の青嶋五段の陣形を見てください。玉は右玉に囲っていますが、反対側にも3三銀・3二金と矢倉の形ができていますよね。これが矢倉右玉です。

第1図から、▲9六歩△4四銀▲3七桂△8五歩▲4五歩△5三銀▲2四歩△同歩▲同角△2三歩▲4六角△1四歩▲1六歩△6五歩▲同歩△同桂(第2図)と進行しました。

【第2図は△6五同桂まで】

青嶋五段は矢倉の銀を、△4四銀と繰り出していきました。△5五歩から、2二の角と協力して攻めていきたいところですが、所司七段に▲3七桂~▲4五歩とされて、△5五歩と戦端を開く時間を与えてもらえず、銀を引くことになってしまいました。

早くも作戦失敗? と見られるかもしれないところですが、△5三銀と引いた形はどうでしょう? 銀が二枚横に並んで非常に美しい形になりましたね。さらに、角筋から銀がいなくなったので、2二にいる角の利きがすっと通りました。

そして、通った角の利きを生かし、△6五歩と歩をぶつけて第2図です。もし、第2図で後手の銀が5三ではなく、3三のままだったらどうですか? ▲8八銀と引かれ、▲6六歩を狙われて困りますね。しかし、角筋が通った第2図なら、▲8八銀には△6六歩▲6八金引と拠点を作って後手大成功となります。

また、後手の5三銀が4二にいたらどうでしょう? 4六角の利きを生かし、▲6四歩と大きな拠点を打ち込まれてしまいますね。このように、銀が二枚並んだ形は非常によいのです。もちろん、相手の形によっては銀を5三に引かず、△5五歩▲同歩△同銀などと、攻めていくこともあります。以前、ご紹介した6七(4三)銀型の右玉や、前回ご紹介しました風車よりも攻撃力はあります。それでは、いつも通りに先手の駒のみを配置して、矢倉右玉に組むまでの手順を見ていきましょう。

囲いを組むまでの手順:初手から、▲7六歩、▲6八銀、▲7七銀、▲5六歩、▲4八銀、▲7八金(第3図)。

【第3図は▲7八金まで】

まずは7七へ銀を上がり、矢倉を目指す形にします。▲7八金は後でもよいですが、近年は急戦策が流行っていますので、それを警戒しつつ組んでいくのが手堅い指し方でしょう。また、▲5六歩でひとつ▲2六歩と突いて、いつでも▲2五歩と伸ばす手を見せるておくのもあります。まずは、一直線に組む順で見ていきます。第3図から、▲4六歩、▲4七銀、▲3六歩、▲3七桂(第4図)。

【第4図は▲3七桂まで】

第3図から、▲6九玉~▲5八金とすれば矢倉ですが、▲4六歩~▲4七銀と今度は右側の駒組みを進めていきます。第4図から、▲2六歩~▲2五歩~▲6九玉などと進めて急戦矢倉を目指すことも場合によってはできます。第4図から、▲4八玉、▲3八玉、▲4八金、▲2九飛(第5図)。

【第5図は▲2九飛まで】

これでひとまず矢倉右玉は完成です。次回は、組む際の注意点と発展形を見ていきましょう。

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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杉本和陽

監修杉本和陽四段

棋士・四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。
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