4六角とぶつけると?矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第83回 矢倉の崩し方】

4六角とぶつけると?矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは【第83回 矢倉の崩し方】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2019年04月20日

今回のコラムも、矢倉で1筋の端歩を突き合っている形で4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は▲3五同角まで】

いま3五の地点で銀交換が行われたところです。ここで、考えられる後手の主な候補手は△6四角、△2四歩、△2四銀、△3四歩でしょう。まずは△6四角(第2図)から順に見ていきます。

【第2図は△6四角まで】

角の利きで△3七歩や△3七銀と飛車先を止める手があり、また1九の香取りにもなっていますが、これに慌ててはいけません。まず、最悪なのは▲4六歩と突く手です。角の利きは止めてはいますが、△3四歩(第3図)と打たれてしまうとどうでしょう?

【第3図は△3四歩まで】

突いた歩が先手の角の行き場もなくしてしまっており、あっという間に不利になってしまいます。

次に、▲4六角とぶつける手はどうでしょうか? △同角▲同歩と進めば、今度は角が手持ちになりますし、飛車の利きも敵陣に通りますね。ここで、一気に攻め込めればよいのですが、あいにく手番は後手です。△4七角(第4図)と打たれるとどうでしょうか?

【第4図は△4七角まで】

▲3九飛は△4八銀と打たれると飛車が3筋からそらされてしまいます。また、▲2八飛は△3六角成や△3七銀がありますし、△3六歩と垂らされても自信がない局面ですね。▲3七飛も、△3六銀▲3九飛△3七歩と押さえ込まれますし、強く△2九角成として、△1九馬と香を取る手を見せられても忙しいですね。ただし、△2九角成には▲1五香と走れば後手も受けきるのは大変です。

また、第4図の△4七角に代えて△2九角、△2七角、△4九角とほかに打ち場所もいろいろとあり、どれも先手が大変です。やはり手番が渡ってしまっていることが大きいですね。後手が安全策を採るのであれば、△4七角などに代えて手堅く△3三歩(第5図)と受けておく手もあります。

【第5図は△3三歩まで】

こうして次に角の打ち込みを狙ったり、△2四歩と桂取りに突く手を見せても先手は相当忙しい局面です。第5図から、▲3三同桂成としても、△同金直で続きませんし、▲3四歩とこじ開けようとしても△同歩で3三に打つ歩がありません。やはり手番が渡ってしまうのが大きく、第2図から▲4六角とぶつける手は先手難局になりそうです。

第2図では、▲4六歩や▲4六角に代えて、有力な攻め方が二つあります。次回のコラムからは、正しい指し方を見ていきましょう。どんな攻め方があるのかを、ぜひ考えてみてください。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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