高見泰地叡王VS永瀬拓矢七段、初防衛か初タイトルか。第4期叡王戦七番勝負の展望は?

高見泰地叡王VS永瀬拓矢七段、初防衛か初タイトルか。第4期叡王戦七番勝負の展望は?

ライター: 相崎修司  更新: 2019年04月06日

4月を迎え、将棋界も新たな年度へ入った。新年度初のタイトル戦となるのが4月6日(土)に第1局が行われる第4期叡王戦七番勝負である。

今期の叡王戦七番勝負は高見泰地叡王に永瀬拓矢七段が挑戦する。いずれも20代半ばという充実期を迎えた両者の勝負は熱戦が期待できる。台湾で行われる開幕局に先立ち、両者の状況などを見ていこう。

まずは髙見叡王から。18年度の成績は24勝11敗、勝率は0.686。7割近い高勝率を上げているのはさすがだが、叡王獲得のあとに特筆すべき実績がないのは本人にとっても不本意だろう。タイトル獲得により自身の環境が大幅に変わったことが影響したのかもしれない。C級2組順位戦でも、あと1勝が足りず、頭ハネの憂き目を見た。ただ、年度末は6連勝でフィニッシュし、勢いに乗ったまま防衛戦に臨めるのは好材料と言える。他棋戦の結果が芳しいとは言えない状況であるからこそ、本棋戦への意気込みは強いはずだ。

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初の防衛戦となる高見泰地叡王 叡王戦中継ブログより

対する永瀬七段。タイトル戦は17年度末に行われた棋王戦五番勝負以来、ほぼ一年ぶりの登場となる。今期の挑戦が3度目となるため、髙見叡王よりも番勝負慣れしているともいえる。18年度の成績は36勝9敗、勝率は8割ちょうど。順位戦ではB級1組へ昇級し、王位リーグ入りも決めた。叡王戦の挑戦者決定戦三番勝負第2局で菅井竜也七段に敗れて以降、負け知らずの7連勝中であり、事前の勢いについては髙見に勝るとも劣らない。3度目のタイトル戦にして初の獲得を目指すこともあり、こちらの意気込みも強いはずだ。ちなみに両者の過去の戦績は永瀬の3勝0敗だが、最後の対戦が2015年の2月であるため、あまり参考にはならなさそうだ。

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初のタイトル獲得を目指す永瀬拓矢七段 棋王戦中継ブログより

戦型については相居飛車が有力だが、具体的な作戦となるとどうか。以前の高見は角換わりを指さない居飛車党だったが、昨年度は先手番で3局、後手番で1局の角換わり腰掛け銀を指している。だが矢倉を指さなくなったわけではない。棋界全体で矢倉の減少が言われている昨今だが、髙見にとって有力な作戦であることは間違いない。対して永瀬はとみると、先手では矢倉や角換わりだが、後手番での横歩取りが目立つ。しかし髙見が先手番の時に横歩を取ることはまずない。こうなると横歩取りが出現することは考えにくく、双方が後手番でどのような作戦を用意しているかが、大きなポイントとなるのではないだろうか。

あと、永瀬と言えば千日手の多さに注目が集まる。2009年10月のデビュー以降、千日手局は37局ある(通算対局は432局)。現役棋士で最も千日手が多いのは阿部隆八段の57局(通算1343対局)だが、通算対局数から考えても永瀬の千日手出現率は相当に高い。ちなみに高見の千日手は11年10月のデビューから8局である(通算289対局)。

両者ともにタイトル戦の千日手は1局ずつだが、いずれも指し直し局を勝っている。混迷の局面を迎えて千日手を選ぶかどうかも、重要な駆け引きとなりそうだ。

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2016年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、叡王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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