名人戦の鮮やかな▲5五銀や叡王戦の逆転劇など、4月上旬の注目対局を振り返る

名人戦の鮮やかな▲5五銀や叡王戦の逆転劇など、4月上旬の注目対局を振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2019年04月17日

注目対局プレイバック

2019年度が始まりました。名人戦、叡王戦、マイナビ女子オープンとタイトル戦が続々と開幕。平成も残りわずかです。

第77期名人戦七番勝負第1局

【第1図は△5一玉まで】

第1図は第77期名人戦七番勝負第1局(▲豊島将之二冠△佐藤天彦名人)。1日目に千日手となって、異例の一日制で指し直しとなった開幕局。▲3四角に△5一玉と下がらせて寄せやすくなったところです。先手の持駒が少なく、どう寄せるか難しいところですが......。

図以下▲5五銀!△同角▲4三歩が一歩千金の攻め。以下△3一銀▲5三桂成と上から押さえる寄せを実現させ、先手の勝ち筋に入りました。豊島二冠は三冠目に向けて幸先の良いスタートです。

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名人戦棋譜速報より

第4期叡王戦七番勝負第1局

【第2図は△8七歩成まで】

第2図は第4期叡王戦七番勝負第1局(▲永瀬拓矢七段△高見泰地叡王)。角換わりから後手の高見叡王が優位に立ちました。図で▲8七同歩は△6九銀▲同玉△8七飛成で「玉は下段に落とせ」の寄せを喫してしまいます。苦戦の先手は図で▲6七玉と「中段玉寄せにくし」で紛れを求めにいきました。以下△4四銀に▲6五歩△3五銀▲8一成桂△5五角▲6六銀△同角▲同玉△6五歩▲同玉と単騎の玉で粘りに出ます。実戦は先手が中段玉で耐えきって、逆転勝ちを収めました。

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敗れた高見泰地叡王 叡王戦中継ブログより

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逆転勝ちを収めた永瀬拓矢七段 叡王戦中継ブログより

第4期叡王戦七番勝負第2局

【第3図は▲4七歩まで】

第3図は叡王戦の先後を入れ替えた第2局。横歩取りで、後手は香得かつ陣形の堅さでも上回っていますが、駒の働きが悪いのが不満です。実戦は△2三銀▲6六銀△2四銀▲4六飛△4五歩▲3六飛△1五銀▲1六歩△2六銀と進行。1九の馬を働かせたいところですが、すぐに使うことはできません。1二の銀を使うのが「遊び駒は活用せよ」の好着想。先手の馬を責めれば、1九の馬も活用しやすくなります。攻め駒を巧みにさばいた後手がリードを奪い2連勝。永瀬七段は初タイトルに大きく前進しました。

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2連勝とした永瀬拓矢七段 叡王戦中継ブログより

第12期マイナビ女子オープン五番勝負第1局

【第4図は△2六歩まで】

第4図は第12期マイナビ女子オープン五番勝負第1局(▲西山朋佳女王△里見香奈女流四冠)。相振り飛車から手厚い陣形を築き上げた後手がペースを握りました。図では▲2六同銀引、または▲同銀上と取る手が普通ですが、それでも先手が苦しい情勢です。実戦は▲3三歩成△2七歩成▲同玉と勝負に出ます。「中段玉寄せにくし」で、第2図同様に苦しい時の逆転のテクニックです。以下も先手の苦しい時間帯が続きましたが、勝負手を連発して最後は鮮やかに抜き去りました。女流棋界の頂上決戦は西山三段が先勝です。

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勝った西山朋佳女王 マイナビ女子オープン中継ブログより

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敗れた里見香奈女流四冠 マイナビ女子オープン中継ブログより

第60期王位戦挑戦者決定リーグ

【第5図は△4四角まで】

第5図は第60期王位戦挑戦者決定リーグ紅組(▲菅井竜也七段△佐々木大地五段)。後手が△4四角と自陣角を放ったところ。これまで7八金は角の打ち込みに備える存在でしたが、相手が角を手放したことにより状況が変わりました。図から▲6七金△3三桂▲5六金と「遊び駒は活用せよ」です。この金は最終的に4四まで前進し、後手玉を寄せる要の駒になりました。菅井七段はリターンマッチに向けて白星を重ねています。

第90期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント

【第6図は△3二玉まで】

第6図は第90期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメント2回戦(▲郷田真隆九段△中村太地七段)。先手は駒を渡さずに詰めろを続ければ良い状況です。図から▲3一銀△4一銀▲5四銀△3三玉▲2五歩まで「玉は包むように寄せよ」の格言通りの寄せで後手の投了となりました。

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生六段

棋士・六段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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