棋書選びに迷ったらこの5冊!初めて将棋に触れる方に読んでもらいたいおすすめの棋書5選

棋書選びに迷ったらこの5冊!初めて将棋に触れる方に読んでもらいたいおすすめの棋書5選

ライター: 水留啓  更新: 2019年02月02日

棋書紹介

さて、皆さんはどのようなきっかけで将棋に興味を持たれたでしょうか。私の身のまわりは、まず子どもたちであれば家族がやっていたから、学校や放課後の学童クラブで将棋がはやっているから、というケースが多いようです。また、大人の方であれば、昨今の藤井聡太七段ブームで将棋や将棋めしを見るようになった、タイトル戦の生中継やテレビ棋戦を見て自分も指せるようになりたいと思った、という方もいらっしゃるでしょう。厳かな雰囲気の対局場で和服に身を包んで将棋盤に対峙する姿は、やはり見る人の心を打ちますね。観る専門の将棋ファン(いわゆる「観る将」)の方の中にも、「すこしは将棋が指せるようになりたいな」と思う方はいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、これから将棋を始めようと思った方に向けて、最初に読んでもらいたい本を5冊紹介していきます。初めて将棋に触れるという方を想定して選んでおりますので、書店などに立ち寄った際はぜひお気軽に手に取ってみてください。

北尾まどか『やさしくてよくわかる!はじめての将棋レッスン』(日本文芸社)

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北尾まどか『やさしくてよくわかる!はじめての将棋レッスン』(日本文芸社)

最初にご紹介するのは、子ども向けの入門書です。実は子ども向けの本は誰にでも読みやすいように書かれている点で、大人の入門者が読んでも勉強になることが多いのです。

本書は棋具(きぐ、将棋を指すのに使う道具)の説明から入り、駒の動かし方など将棋のルールを経て、平手(ひらて、ハンディキャップなしの試合)で対局できるようになるまでを解説しています。子ども向けの本と侮るなかれ、ルールを覚えた初心者がおちいりがちな「何を指せばいいのかわからない」「相手の玉が詰まない(捕まえられない)」という2大お悩みへのヒントが丁寧に説明されています。著者の北尾まどか女流二段は、自身の教室で子どもたちに指導する中で気づいたポイントを盛り込んだそうです。

具体的にはレッスン3「王のつかまえかた」の飛角おにごっこと、レッスン7「本将棋を指してみよう」の棒銀の項目を集中的に読んでみるのが効果的だと思います。


▲飛車角だけで玉をつかまえるのは意外と大変(本書50ページ)

また、本書は子ども向けの本だけあって写真が満載で、3種類の駒(プラスチック駒、木駒、一字駒)の写真や指すときの手つきのコツも一目瞭然なのが好印象。お子さんに将棋を教えたいという親御さんにもおすすめします!

高橋和『はじめての将棋練習帳 STEP1 駒を取る』(幻冬舎)

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高橋和『はじめての将棋練習帳 STEP1 駒を取る』(幻冬舎)

入門書を読んで駒の動きをマスターした後は、実際に手を使って問題を解いてみるのがいいでしょう。アウトプットはインプットと同じくらいに大切です。出版されたばかりの本書は、子どもや女性のための将棋教室を開催されている高橋和女流三段の手によるドリルです。

本書は「駒の動きを覚える」「駒取りの練習」「駒の価値を考える」「先を考えて取る」「実戦の駒取りの練習」という5つのステップで徐々に駒の利き(きき、駒の動くマス目)に慣れていこうというカリキュラムです。計355問という大ボリュームで、実際に答えを書き込みながら1冊を終わらせたころには、将棋の実力だけでなく将棋に対する大きな自信も得ることができるでしょう。


▲どうすればただで駒を取ることができるか考える問題(本書38ページより)

解答の表記が符号だけではなく矢印もあるのが好印象です。この本があれば、たとえば将棋を始めたいお子さんに親が買い与え、答え合わせを将棋のわからない周りの人にやってもらうなんていうコミュニケーションも可能なのです。

本書は続編として『STEP2 駒を詰ます』という駒を取る前段階の練習問題を集めたドリルもあるので、気になった方はこちらも確認してみてください。

浦野真彦『1手詰ハンドブック』(日本将棋連盟)

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浦野真彦『1手詰ハンドブック』(日本将棋連盟)

将棋の上達法を語るうえで、詰将棋(つめしょうぎ)は欠かせないキーワードと言えます。詰将棋とは将棋の目的である「玉を詰ます」というテクニックに特化した練習問題です。ひとまずこの「詰め」ができるようになると、一局の将棋が決着せずに困るということがなくなるでしょう。本書はいちど王手をするだけで相手の玉を詰ますことができるいわゆる1手詰を300問集めた問題集で、すべての将棋入門者および指導者のバイブルとなっています。


▲いちばん基本の詰み形(本書第1問)

上の例題を解いてみた方はわかるかと思いますが、いちど王手をしておしまいという1手詰であっても、「自分が王手する」→「玉が逃げようとする」→「どの応手がきても玉をつかまえられる」という3段階の読みが要求されています。この練習法は読みの訓練として最適ですね。ルールを覚えた段階であれば、次に待っている「考えなくても駒の動きが見える」段階に進めるまで、本書を何度も読み倒すのが上達の最短ルートだと思います。

1手詰をパッと見で7割くらい正解できるようになったら、次の『3手詰ハンドブック』(浦野真彦、浅川書房)にステップアップしてみましょう!(3手詰が終わったら5手詰、5手詰が終わったら7手詰へ...道は長いのです笑)

藤井猛『攻めの基本戦略』(NHK出版)

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藤井猛『攻めの基本戦略』(NHK出版)

入門書と2冊の問題集をこなした後は、駒の効果的な動かし方を学びましょう。著者の藤井猛九段は観る将の方にとっては「うなぎ屋のうなぎ」発言で有名かもしれません。指す将棋ファンの方にとってはもちろん「藤井システム」ですね。どちらも四間飛車がキーワードとなっています。

本書はしかし四間飛車などの定跡ではなく、「歩を交換する」「駒得をする」といった、将棋を指す上でもっとも重要な攻めの概念を解説する本です。専門的な本といっても盤上に矢印がたくさん出てくる安心設計ですよ。冒頭の第1章で駒の動かし方を復習した後、第2章ではなぜ相手の駒を取るといいのか、どのようにして相手の駒を取るのかという駒得の考え方を、第3章ではどうやって敵陣を突破して敵玉に迫るかという敵陣突破の概念を習得。最後の第4章では動けない相手の駒をどのように攻めるかを勉強していきます。


▲敵の動けない駒を狙う(本書144ページより)

本書のような教科書を使って正確な知識をすこしずつストックしていくことで、効率の良い指し方身につけることができるでしょう。何事も基礎が大事なので、強くなるうえではこうした基礎概念の部分はおろそかにできないと思いますよ。本書で攻めをマスターした人は同シリーズの木村一基九段による『木村一基の初級者でもわかる受けの基本』を読むとよいでしょう。

長岡裕也『全戦法対応・将棋基本定跡ガイド』(マイナビ)

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長岡裕也『全戦法対応・将棋基本定跡ガイド』(マイナビ)

将棋には、定跡と呼ばれるセオリーがあります。このセオリーは先人たち(プロだけでなくアマチュアも、そしてコンピューターソフトも)が長い年月をかけて築き上げてきた知識の体系です。こうした膨大な知識は、もちろんたくさん知っているほど多様な指し方ができるのですが、すべてを勉強するのはとても骨の折れる作業です。

序盤研究の大家として知られる長岡裕也五段による本書は、9つの定跡を初手から次の一手形式でやさしく解説しており、まさに定跡のカタログといえるでしょう。具体的には、矢倉、角換わり、横歩取り、相掛かり、四間飛車、石田流三間飛車、中飛車、角交換四間飛車、相振り飛車という9つなのですが、もしかしたら皆さんも知っている用語があるかもしれません。本書の読み方としては、上記の9つの定跡の中から自分が聞いたことのある定跡、気に入った戦法をひとつ選び、その駒組みを繰り返し読んで覚えるという方法が良いでしょう。特に戦法にこだわりがなければ、相手の指し方に関係なく指せる四間飛車を選んでみるのがよいでしょう。


▲四間飛車(▲先手側)に組めたら一人前(本書238ページより)

本書は1ページにつき1手のみ進むという次の一手形式なので、将棋盤やアプリを用意しなくてもよいのが一押しポイント。文庫本なので空いた時間にサクッと呼んでライバルに差をつけましょう!

おわりに

今回は初級者の方に向けておすすめ棋書5冊を紹介しました。将棋の上達のためには(1)詰将棋、(2)実戦、(3)次の一手、(4)定跡という4つのサイクルが重要とよく言われるのですが、今回紹介した5冊を読めば実戦以外の4つをマスターできます。

最後に、入門者がより上のレベルを目指す上で大事なのは毎日の継続です。毎日少しずつでいいのでルーティーンをこなして、より上のレベルの将棋ライフを楽しみましょう

水留啓

ライター水留啓

ねこまど将棋教室講師。こども教室担当として積んだ指導経験を生かし、大人向け講座「平手初心者のための棒銀/四間飛車/中飛車入門講座」を開講。初心者・初級者を中心に、幅広い層に将棋の楽しさを伝えている。趣味は棋書収集で、最近は自宅の本棚が足りなくなってきているのが悩み。

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