2018年に勝ちまくったの高勝率棋士は?里見女流四冠が二つの棋戦で防衛した2018年11月振り返り

2018年に勝ちまくったの高勝率棋士は?里見女流四冠が二つの棋戦で防衛した2018年11月振り返り

ライター: 生姜  更新: 2019年02月26日

2018年振り返り

2018年の将棋界を振り返る本シリーズ。今回は日本シリーズJTプロ公式戦や、里見女流四冠の防衛戦などが行われた11月振り返りたいと思います。最後にある高勝率棋士にもスポットを当ててみたいと思いますが、皆さん誰だと思いますか。ぜひ予想してみてください。

日本シリーズ優勝に渡辺明棋王(2018年11月18日)

日本シリーズJTプロ公式戦はタイトルホルダーと賞金ランキング上位者の総勢12名による豪華なトーナメント戦です。今期の出場棋士を紹介します。山﨑隆之JT杯覇者、羽生善治竜王、佐藤天彦名人、豊島将之二冠、渡辺明棋王、久保利明王将、佐藤康光九段、丸山忠久九段、稲葉陽八段、松尾歩八段、中村太地七段、菅井竜也七段という顔触れでした(中村七段と菅井七段は当時のタイトルホルダー。高見泰地叡王は来年度から出場)。約4ヶ月をかけて全国各地で公開対局が行われるのです。お近くの地域でぜひともご観戦してみてはいかがでしょうか。また、テーブルマーク子ども大会も同時開催しています。

【第1図は▲6五飛まで】

決勝戦に進出したのは渡辺明棋王菅井竜也七段でした。渡辺棋王は2回目の優勝を、菅井七段は初の優勝を狙います。将棋は先手菅井七段の中飛車穴熊、後手の渡辺棋王は銀冠に囲います。両者とも十分な態勢のまま駒がぶつかり、迎えた第1図の局面。堅そうな先手陣に対し、渡辺棋王はうまく手をつけていきます。△2六歩▲同歩△3七歩▲同桂△3五桂が参考になる手順。△3七歩を利かさずに△3五桂だと▲3七歩と打たれて攻めが頓挫します。

【第2図は△2七歩まで】

続いて第2図。菅井七段はここで▲2五桂の勝負手。▲2七同金は△3八銀で負けとはいえ、秒読みで恐ろしい手をひねり出すものです。△2八歩成▲同玉△2七歩▲3八玉△3一金▲2四桂と後手玉に迫ります。

【第3図は△2二玉まで】

ここまできたら最終盤もいきましょう。第3図は後手玉に詰みがあるかどうかの局面。▲1三角がハッとする一手。△1三同香は▲3二飛△2三玉に▲1二角が生じます。本譜は△1三同銀と頓死筋を回避。▲3四桂△同金▲6二飛△2三玉▲1三桂成△同玉まで渡辺棋王が菅井七段の猛追を振り切り勝利。大激戦の結末に現地で観戦していた方はさぞ興奮したことと思います。渡辺棋王は去年の不調から徐々に調子を上げてきた印象がありますね。優勝回数はどこまで伸びるでしょうか。

里見、2つのタイトルを防衛(2018年11月22日・25日)

里見香奈女流四冠は11月に2つのタイトル戦を戦っていました。まずは女流王座戦。挑戦者は清水市代女流六段です。女流棋士では最年長記録となる挑戦で、清水強しを思わせます。挑戦者決定戦でも伊藤沙恵女流二段を破っており、若手の大きな壁として君臨し続けるその姿は感服します。それでは第3局を見ていきましょう。

【第4図は▲4六角まで】

里見女流四冠との五番勝負は居飛車対振り飛車の戦いが続き、ここまで里見女流四冠が2勝0敗。防衛に王手をかけた第3局もやはり対抗形になりました。第4図から△5八歩が手筋の垂れ歩。▲6八角と引くのはいわゆる「利かされ」で、プロ的には指せない手です。先手は△5九歩成からと金を活用される前に手を作る必要があります。▲2四歩△同歩▲5四歩と動きますが、△5九歩成▲6四角△5四飛▲3一角成△6九銀が厳しい一打で後手がはっきりリードを奪いました。以下も緩みなく進めて里見女流四冠の勝利。通算3連覇を達成しました。

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女流王座戦中継ブログより

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女流王座戦中継ブログより

続いては倉敷藤花戦です。ここまで里見女流四冠は倉敷藤花戦で3連覇中。通算9期目の獲得を目指します。挑戦者は谷口由紀女流二段。振り飛車党同士の対戦となり、相振り飛車を制したものが三番勝負を制すといった様相になりました。

第1局は6日に行われ、里見女流四冠の勝利。里見女流四冠が防衛まであと1勝とした第2局は25日に対局されました。里見女流四冠にとっては女流王座防衛からわずか3日後。移動も考えるとなおのこと忙しいのですが、将棋の内容は切れ味を増していました。

【第5図は▲5五銀まで】

序盤で作戦勝ちになった後手の里見女流四冠。△5九馬とにじり寄って先手は手段が難しくなりました。わかっていても△4八成桂▲同銀△4九銀の攻め筋が受けにくいです。以下は後手の快勝となりました。谷口女流二段は力が出せなかった展開になってしまったことと思いますが、それだけ里見女流四冠を倒すのは容易ではありません。来年の里見女流四冠の活躍ぶりにも注目です。そして里見女流四冠を破る新たなスターは生まれるでしょうか。

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倉敷藤花戦中継ブログより

及川拓馬六段、破竹の勝ちっぷり(2018年11月29日)

2018年度で高勝率を残している棋士がいます。藤井聡太七段?渡辺明棋王?いえいえ、今回取り上げる棋士は及川拓馬六段です。なんと11月までまだ3敗しかしておらず、12月の段階で19勝3敗。勝率は脅威の(0.8636)!ちなみに歴代最高勝率は1967年度に中原誠五段(当時)の記録した47勝8敗(0.8545)。2018年内だと及川六段はその記録を抜いていることになります。12月で1年度が終われば......といいたいところですね。
掲載日時点での勝率ランキングはこちら

【第6図は▲6五歩まで】

11月も4勝0敗と勝ちまくっていた及川六段。今回は29日に行われた順位戦C級2組7回戦、今泉健司四段との対局を紹介します。先手の今泉四段は中飛車に構え、ここまで伸び伸びとした指し回し。後手は平凡に応じていると勢いに押されそうです。第6図から△3六歩▲同歩△7三桂が先手玉の嫌みをつく手順でした。玉のコビンが開いたことで、先手は自陣にも目を配らなくてはなりません。以下▲6四歩に△6五桂▲6八角△5七銀▲同飛△同桂成▲同角△8六飛と大さばきになりましたが、こう進んでみると後手玉が堅く、先手玉は斜めのラインが気になります。先手は後に▲3七銀打と埋めて粘ることになりました。△3六歩は覚えておきたい一着です。

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及川拓馬六段 名人戦中継ブログより

11月になるといよいよ年度の成績が気になるころです。とくに2018年の及川六段は目を見張る活躍がありました。渡辺棋王の優勝も話題を呼びましたね。次回はいよいよ12月です。歴史に残る勝負となった竜王戦などを振り返ります。

生姜

ライター生姜

1993年生まれ。将棋連盟モバイルを中心に活動する中継記者。2018年現在は最年少の記者。棋士の食事注文に肉生姜焼き定食があると反応する。

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