もうアマチュアがプロに勝つのは珍しくない?アマチュア選手が大活躍した棋戦を3つ振り返る【2018年7月振り返り】

もうアマチュアがプロに勝つのは珍しくない?アマチュア選手が大活躍した棋戦を3つ振り返る【2018年7月振り返り】

ライター: 生姜  更新: 2019年02月18日

2018年振り返り

前回に引き続き2018年を振り返っていきたいと思います。今回はマイナビ女子オープンや叡王戦、朝日杯などでアマチュアが大活躍した7月を見てみましょう。

大活躍の女流アマふたり(2018年7月7日 )

まずはマイナビ女流オープンから。この日は一斉予選が行われました。マイナビ女流オープンは[チャレンジマッチ→一斉予選→本戦]という段階で進んでいきます。多数の強豪女流アマ相手だけでなく、女流棋士も参戦するので、アマチュアにとってはチャレンジマッチが最初の関門といえるでしょう。 このチャレンジマッチを勝ち抜いたアマチュア選手は礒谷真帆さん(後に女流初段)、脇田菜々子さん(後に女流2級)、野原未蘭さん宮澤紗希さん小澤望さんの5人。みんな名のある強豪です。

さて、この日の予選はいよいよアマチュアにとって厳しい戦いが予想されていました。女流棋士の数もさらに増えるからです。主なビッグネームは渡部愛女流王位、清水市代女流六段、中井広恵女流六段、甲斐智美女流五段、香川愛生女流三段など。そうそうたる顔触れですが、アマチュア選手はプロ顔負けの内容で戦いを繰り広げます。

今回取り上げるのは小野ゆかりさん礒谷真帆さんです。小野さんはチャレンジマッチにいなかったのではと思われたかもしれません。小野さんは前期本戦ベスト8の実績で予選からの出場でした。まずは小野さんの将棋から。

【第1図は△1六歩まで】

第1図は予選決勝、竹俣紅女流初段との一戦です。小野さんの四間飛車に対し、竹俣女流初段は美濃囲いで対抗。△1六歩と端歩を取り込んだ局面です。▲1八歩と受けるのは手堅いですが、もう少し工夫したいところ。ここで▲1三歩△同香▲1四歩△同香と吊り上げてから▲1八歩が好手順。以下△6七歩に▲2六桂が狙いの一着でした。次に▲1四桂と跳ねた格好が2二の角取り。うまく端攻めを逆用した小野さんが勝ちきりました。

続いては礒谷さんの将棋を。相手は里見咲紀女流初段。この日の予選で渡部女流王位を破っています。礒谷さんはここまで山口恵梨子女流二段、島井咲緒里女流二段と振り飛車党を相手に勝利を収めており、これで3局連続の対抗形となりました。

【第2図は▲5六金まで】

礒谷さんは右四間飛車を採用。図の局面で△7六角が好打でした。ぼんやりとした手ですが、▲6五飛を防がれると先手も指し手が難しいです。▲8六飛と角取りに飛車を打ちましたが、△4九角成▲同玉△7七銀が鋭い攻め。リードを広げ、終わってみれば完勝でした。

本戦では小野さん、礒谷さんともに初戦を勝利で飾り、礒谷さんは次戦も岩根忍女流三段を破ってベスト4進出。女流初段にスピード昇段となりました。小野さんは加藤桃子初段に敗れましたが、存在感を見せつけました。女流棋界も注目のアマチュアが続々誕生しています。次のスターはあなたかも?

叡王戦で初のアマチュア勝利(2018年7月21日)

もう各棋戦でアマチュアがプロに勝つのは珍しくなくなってきました。いまのプロ棋界もハイレベルではあるのですが、同じくアマチュアのレベルも上がっているようです。

新棋戦の本局でもアマチュア選手が勝利しました。ご紹介するのは、叡王戦四段戦予選の一局。アマチュア選手は横山大樹さん。相手は新四段の長谷部浩平四段でした。

【第3図は▲7九玉まで】

第3図は終盤の入り口に差し掛かったところ。ここで△3九銀が好手。▲3八飛には△2四飛が継続手で、飛車の成り込みが受かりません。実戦は▲2六飛と浮きましたが、△1五銀とさらに追い、▲4六飛△5五銀で飛車が捕まり、後手が優勢になりました。そのまま粘る長谷部四段を振り切りました。横山さんは数々のアマタイトルを獲得しているトップアマのひとり。アマ棋界は激戦区の様相ですが、これからの活躍が期待されます。なお、横山さんは次戦で同じアマチュア棋界でも活躍した今泉健司四段に敗れています。こちらも熱戦でした。

毎年恒例プロアマ一斉対局 朝日杯(2018年7月29日)

やはりアマチュア選手がもっとも活躍する舞台といえば朝日杯でしょう。毎年恒例となっているプロアマ一斉対局では、朝日アマ名人戦の上位進出者8名に加え、学生名人、そして朝日アマ名人の合計10名がプロに挑みます。

今年も多くの熱戦が繰り広げましたが、スコアはプロから見て9勝1敗という成績でした。やはりプロの厚い壁を感じさせますが唯一勝利したのが知花賢さん。 相手は関西のホープ大橋貴洸四段で、正直厳しい相手かと思われましたが、堂々の指し回しを見せました。

【第4図は▲6七玉まで】

この局面で△6三香が自陣の脅威を取り除く冷静な一着。プロを相手に攻めを催促するのは怖いものですが、読みがしっかり入っています。6四銀を取り除いたあとは玉頭から玉頭から反撃を決めて制勝。プロの全勝を止めた格好となりました。知花さんは次戦でも西川慶二八段に勝利。予選3回戦で小林裕士七段に敗れましたが、実力の高さがうかがえました。プロを脅かすアマチュア選手の存在はこれから増加の一途をたどることでしょう。

次回は暑い日々の中、熱い勝負が繰り広げられた8月の将棋界を振り返ります。こちらも厚く紹介できたらと思います。

生姜

ライター生姜

1993年生まれ。将棋連盟モバイルを中心に活動する中継記者。2018年現在は最年少の記者。棋士の食事注文に肉生姜焼き定食があると反応する。

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