後手番の急戦策!「米長流」急戦矢倉の駒組みと狙い筋とは?【はじめての戦法入門-第19回】

後手番の急戦策!「米長流」急戦矢倉の駒組みと狙い筋とは?【はじめての戦法入門-第19回】

ライター: 高野秀行六段  更新: 2019年01月26日

はじめての戦法入門

皆さん、こんにちは。高野秀行です。

さて今回より本格的に「矢倉編」に入って行きたいと思います。最初にご紹介するのは「米長流」。米長邦雄永世棋聖が得意とした、後手番の急戦策で、ともすれば受け身となりやすい後手からでも、積極的に仕掛けることができるのが特徴です。矢倉の戦いは急戦策が主流となった今日、見直されている作戦です。今回は駒組み、そして攻めの狙い筋を見ていきましょう。

初手より

▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲6六歩△6二銀▲5六歩△5四歩▲4八銀△4二銀▲5八金右△3二金▲7八金△4一玉▲6九玉△5二金(第1図)

【第1図は△5二金】

前回矢倉の駒組みを見て頂きましたが、それと同じ第1図。ここからお互いに囲い合えば、がっぶり四つの矢倉となりますが、後手は攻撃の態勢を作ります。

第1図からの指し手

▲6七金右△7四歩▲7七銀△8五歩▲2六歩△6四歩▲2五歩△7三桂▲3六歩△5三銀左▲7九角(第2図)

【第2図は▲7九角まで】

駒組みを進める先手に対し、後手は△8五歩と飛車先を伸ばし、△6四歩~△7三桂と桂を跳ねて、△6五歩の仕掛けを見せます。これが米長流の基本図です。

△5三銀左は仕掛けに厚みを持たせた銀上がり。ここでは△3三銀と上がり、△6三銀~△4四銀(参考1図)と攻めの形を作る作戦もあり、これはこの章が進む中でご覧頂きたいと思います。

【参考1図】

さて後手の駒組みは早くも頂点。元気よく仕掛けて行きましょう!

第2図からの指し手

△6五歩▲同歩△8六歩▲同歩△6五桂▲6六銀△8六飛▲8七歩△8一飛▲2四歩△同歩▲同角△2三歩▲4六角△6四歩▲3七桂 (第3図)

【第3図は▲3七桂まで】

「開戦は歩の突き捨てから」。格言通り△6五歩と突き、△8六歩も入れてから△6五桂と跳ねます。▲6六銀に△8六飛~△8一飛と手順に引けるのは、歩の突き捨ての効果です。このダイナミックな動きが米長流の魅力の一つ。△6五歩~△8一飛までの手順は少し長いですが、覚えてください。6五桂に紐がついていなく、少し不安ですが、▲6五銀は△9九角成があるので、大丈夫。先手も▲2四歩から▲4六角までと角を手順に展開してきますが、ここで一回△6四歩と打っておき、攻めの桂を支えます。▲3七桂と先手は攻撃と角頭に備えますが、ここで後手は攻めの継続を図りましょう。

第3図からの指し手

△7五歩▲同歩△8六歩▲同歩△6六角▲同金△8六飛▲8七歩△6六飛▲6七歩△7六飛(第4図)

【第4図は△7六飛まで】

ここで△7五歩が狙いの一着。▲同歩に△8六歩から△6六角~△8六飛と見事な攻めが決まりました。この十字飛車が、米長流の狙いなのです。

第4図は後手の必勝形。次に△5八金▲7九玉△7七歩があるので、▲5九銀と引くぐらいですが、△5七銀と自然に攻めて良いでしょう。また第3図からの手順で、△6六角ではなく△8六飛▲8七歩△6六飛(参考2図)と飛車で2枚換えを迫るのも、当然有力な手段です。

【参考2図】

それでは「米長流」のおさらいです。

1.△8五歩と飛車先を伸ばし、△6四歩~△7三桂と早めに仕掛けの形を作る。これが「米長流」の基本図

2.仕掛けの形が出来たら、△6五歩~△8六歩~△6五桂と仕掛ける。最後△8一飛までが一組の手順。少し長いが、覚える。

3.△6四歩と桂を支えたあと△7五歩で攻めを継続。▲同歩には△8六歩から△6六角~△8六飛で十字飛車!

 

迫力満点の攻めが決まる「米長流」。プロ間で有力戦法として、再認識されているのも分かって頂けるのではないかと思います。

ですが、今回の攻めは正直うまくいき過ぎました。当然先手にも対策があります。次回はその攻防をご覧頂きたいと思います。

高野秀行六段

ライター高野秀行六段

1972年6月横浜市生まれ。1984年に6級で中原誠十六世名人に入門。1998年4月に四段。棋風は居飛車本格派。趣味はゴルフ。将棋教室で多くの子供たちに将棋を教えている。

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