「これからもポケカを趣味に楽しみたい」藤井猛九段たちが出場したポケモンカード企業対抗戦の様子を山口女流二段がご紹介!

「これからもポケカを趣味に楽しみたい」藤井猛九段たちが出場したポケモンカード企業対抗戦の様子を山口女流二段がご紹介!

ライター: 山口恵梨子  更新: 2019年01月09日

12月のある寒い日、企業対抗戦に出場するために4人の棋士、女流棋士が新橋の駅前に集いました。

「今日は宜しくお願いします」

「皆でがんばりましょう」

「きっ、緊張する...」

奨励会や育成会に入会してしまうとアマ(将棋)大会へ出場することが禁じられるため、団体戦に出場するのは久しぶり。皆がニコニコした面持ちです。 えっ、なぜ突然団体戦に出場することができるようになったのかって?

その答えは、ジャンルがポケモンカードだからです。

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という事で、藤井猛九段石田直裕五段香川愛生女流三段、私・山口恵梨子女流二段の4名でポケモンカード企業対抗戦に出場してきました。本大会は株式会社ポケモンが初開催した企業対抗戦です。各企業2~4人のチームを作り、ポケモンカード最強の企業を決めるために目が合ったチームとポイントをかけて対戦していく!という団体戦です。初心者と上級者を分けるために、受付時に実力申請があり、モンスターボール(初心者)、スーパーボール(中級者)、ハイパーボール(上級者)のシールを胸に貼ります。実力に見合った相手と対戦できるので初心者が参加しやすい素敵な配慮ですね!

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今回、日本将棋連盟の看板を背負って戦うという事で各自将棋の勉強はいつも通りしつつ(重要)、ポケモンカードの特訓に励みました。藤井九段はご子息がポケモンカードの全国大会でベスト16に入る強豪ということで、出場が決まってからの1ヵ月間、ご子息にコーチについてもらい毎晩練習されていたようです。香川女流は各デッキの対戦動画を観続け、びっくりするほどカードの動きを完璧に把握し、石田五段と私は森下卓九段主催の忘年会に参加しながら、何度目かの乾杯の合図とともに端でポケモンカードの対戦をして練習を積みました。(森下九段申し訳ございません。)

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大会数日前にはチームメンバー全員と藤井先生(ご子息)との研究会を昼から夜までみっちりしてデッキを決め、作戦はセレビィ&フシギバナGXという藤井九段曰く「相手にとっていやなことをして受け潰す、将棋に一番似てる戦いになるデッキ」で臨むことになりました。もちろん胸にはキラリと光るモンスターボールのシールを貼って準備万端です。

目が合った人と勝負ということで各自、1戦目から対戦相手探しが始まります。公式大会参加経験ありという事で私・山口女流だけシールがハイパーボールに貼り替えられ「私のポイントはないものと思ってください」と呟きながら別の階に連れて行かれていきました。1戦目他のメンバーは普段からお世話になっている株式会社ドワンゴの方々と対戦させて頂きました。名刺交換をしてから対戦が始まります。結果はどうだったのでしょうか...?

なんとか皆が戦い終わって2戦目へ。ふと横のニコニコ生放送の配信モニターを見ると藤井九段が写っておりました。しかもインタビューを聞いていたら1戦目から勝たれている!?幸先良いスタートを切って、2戦目は藤井九段、大会初出場にしてニコニコ生放送の中継ありの試合となりました。どのような結果になったか気になった方は、ぜひニコニコ生放送のタイムシフトをご覧になってください。練習の成果が抜群に出た、素晴らしい試合となりました。藤井九段が帰宅して、ニコニコ生放送の中継を見守っていたご子息に感想を聞いたら、「花丸」とひとこと言われたそうです。

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3時間ほどが経ち、企業対抗戦予選が終了。藤井九段、香川女流が2-1、石田五段、私が2-3となりました。結果は31位でベスト8には入れず予選敗退となりました。石田五段は手持ちの草デッキと相性が悪い炎デッキに何度も当たってしまったにも関わらずしっかり2勝。そして最後にポイント全てを賭けた大勝負に勝った香川女流のおかげでかなり順位が上がりました。チームのためにありがとうございます。順位発表を受けて飛び跳ねて喜んでいる香川女流を見ながら、やっぱり彼女は強い勝負師だなぁと感動しておりました。

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その後はみなで本選トーナメントの試合を観ながら感想戦。いつもだったら日本将棋連盟モバイル中継を観ながらずっと将棋の話をしている棋士、女流棋士たちがずっとポケモンカードの話をしているのは不思議な感じがしました。帰りの電車の中でも「先攻1ターン目でカプ・テテフ!ワンダータッチでリーリエ!」と話しながら笑いあっている私たちを、周りの方々はまさか将棋の棋士、女流棋士だとは思わなかったことでしょう。

「楽しかった。これからもポケカを趣味に楽しみたいと思います」という藤井九段の言葉に全てが集約されていると思います。素敵な大会を開催して頂いた株式会社ポケモン様、本当にありがとうございました。これから、もっともっと将棋界とポケモン界の交流が盛んになったら嬉しいです。

私たちと将棋、そしてポケモンカードを一緒に楽しみませんか?

山口恵梨子

ライター山口恵梨子

将棋のライブ中継の番組や放送などの聞き手でお馴染みの方も多いかと思う。解説棋士の魅力を引き出す軽妙なトークでファンも多い。 堀口弘治七段門下。2008年に女流2級となり、2010年女流初段、2016年に女流二段に昇段。攻め味のある積極的な振り飛車が持ち味。相手が振り飛車党の場合、相振り飛車も得意としている。

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