"3連覇なるか"久保王将VS"二冠を狙う"渡辺棋王。振り飛車対居飛車の頂上決戦。第68期王将戦七番勝負の展望は?

ライター: 相崎修司  更新: 2019年01月13日

2019年、年を明けての大勝負である、第68期王将戦七番勝負が開幕する。今期は久保利明王将渡辺明棋王が挑むシリーズだ。両者の対戦成績は久保の16勝15敗とほぼ互角、タイトル戦での激突は2011年の第36期棋王戦での1回があるのみで、この時は久保が3勝1敗で防衛を果たしている。

直近の対戦は昨年4月の竜王戦1組(久保勝ち)までさかのぼるが、そのあとの両者の戦績などから、七番勝負の展開を考えてみたい。

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第67期王将戦七番勝負第7局終局後の模様。撮影:吟

まず久保だが、今年度の成績はここまで12勝12敗と、ハッキリ言ってしまえば物足りない成績だ。タイトル戦に絡んだと言えるのは前期竜王戦でのベスト4進出くらいだろう。ただ、現在進行中のA級順位戦では直近の対局(1月8日)で勝利し、A級残留を決めたので、後顧の憂いなくして七番勝負へ臨めるのは大きいと言える。

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第67期王将戦七番勝負第7局での久保王将。撮影:吟

対する渡辺は竜王失冠やA級陥落の憂き目を見た17年度の不調を脱し、今年度は上昇気流に乗ったと言える。王座戦では挑戦者決定戦進出を果たし、将棋日本シリーズJTプロ公式戦では4年ぶりの優勝。B級1組順位戦でも圧巻の10連勝で、年を明ける前にA級復帰を決めている。強豪がそろった王将リーグでも4勝2敗からプレーオフで糸谷哲郎八段を下して挑戦権を獲得した。

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第64期王将戦七番勝負第1局。撮影:宮本橘

「王将リーグを勝ち進んで挑戦権を得られたので、良い時の状態に戻っているという確信が出来ました」と渡辺は語る。今年度の成績はここまで25勝7敗の勝率0.781、勝率ランキングでは4位につけている(2019年1月11日現在)。

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第64期王将戦七番勝負第5局。撮影:紋蛇

直近の状態では渡辺が有利そうだが、必ずしもそうとは言えない。その理由は久保が「振り飛車党」であることだ。

現在のプロ将棋界では振り飛車が苦戦しているとされている。8大タイトルホルダーに振り飛車党が久保を除いていないのも、その根拠となるだろう。タイトル戦番勝負に登場した、という点まですそ野を広げてみても菅井竜也七段(前王位)の名が加わるくらいだ。今期の王将戦挑戦者決定リーグも居飛車党の集まりだったし、また竜王戦1組や順位戦A級にも振り飛車党の名前は久保を除けば、皆無と言ってしまって差し支えない。

だが裏を返すと、トップクラスの居飛車党は、振り飛車を相手にする機会が著しく減っていることになる。渡辺が今年度に振り飛車を相手にしたのはわずか4局しかないのだ(久保に1敗、菅井に3勝)。

対して久保は居飛車を相手にする対抗形を指し慣れている。この差は大きいのではないか。渡辺自身も「対振り飛車の研究をまとめてやるのは久しぶり」と語っている。

そして何より、アマチュアには振り飛車ファンが多い。その声援を振り飛車党の雄がどこまで力に変えることができるか。

王将戦七番勝負は持ち時間8時間の2日制。王将4期の久保と、同じく8時間の竜王戦で9連覇を果たした渡辺の対決は、それぞれにとってベストの力を発揮できる舞台ではないだろうか。

開幕戦は1月13、14日に静岡県掛川市の「掛川城 二の丸茶室」でスタートする。王将戦では恒例となった対局だ。

恒例と言えば、王将戦では主催のスポーツニッポンによる、勝者の記念写真もファンの注目を集めている。対局地にちなんだ扮装をしての撮影だ。個人的には王将戦で初めての舞台となる、第4局の沖縄でどのような写真が見られるかに注目している。

盤上盤外ともに、目を離せない七番勝負となりそうだ。

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2016年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、叡王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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