タイトル獲得記念対談 畠山鎮七段×斎藤慎太郎王座「師弟」【将棋世界2019年2月号のご紹介】

タイトル獲得記念対談 畠山鎮七段×斎藤慎太郎王座「師弟」【将棋世界2019年2月号のご紹介】

ライター: 将棋情報局(マイナビ出版)  更新: 2019年01月08日

将棋世界のご紹介

カメラマン野澤亘伸氏による、将棋世界2019年2月号(12月29日発売)に掲載の【タイトル獲得記念対談 畠山鎮七段×斎藤慎太郎王座「師弟」】は、14ページにわたり、両者の幼少期から入門以前、奨励会時代や、師弟としての交わり、斎藤王座が参戦した電王戦、順位戦での師弟対決、そして初タイトル獲得などについて、エピソードが豊富に盛り込まれた力作となっています。

本ページではその冒頭部分「二つの約束」から一部分をご紹介。10歳の斎藤少年が自ら書いた入門志願の手紙。受け取った畠山七段の答えは果たしてどんなものだったか。そして入門にあたり師匠が命じた「二つの約束」とは??

どうぞお楽しみください。

タイトル獲得記念対談 畠山鎮七段×斎藤慎太郎王座「師弟」

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手紙を出してから10日後、斎藤は畠山からの返事を受け取った。母が読んでくれて、「先生が関西将棋会館でお会いしたいそうよ。まずは面接みたいな感じかしらね」と言った。当日、斎藤は緊張しながら母と会館のミーティングルームで畠山に会った。このとき、畠山から言われた言葉をいまも覚えている。

「僕が君を弟子にするにあたって、二つ約束があります。一つは、君はこれからどんどん強くなる。私よりも強くなっていくだろう。そして私は衰えていく。それでも、いつまでも私を師として、その言葉を聞けますか。もう一つは、私は君に教えることはしない。将棋は指さない。自分で強くならなければならないから。私も努力する。一緒に、強くなろう」。斎藤は聞き終わると「はい」と答えた。

二つの約束。しかし二つ目の「教えない」という約束は、すぐに破られた。畠山の指導対局があると、母に連れられた斎藤がいつも来るのだ。アマチュアの大きな大会がある日も出場せずに、わざわざ有料の指導対局に来る。畠山は、そこまでするなら月に2回、二人で研究会をしようと申し出た。このときから斎藤が三段リーグの途中まで、8年にわたって師弟は約800局の対局を行った。

研修会ではC1にいた斎藤だが、小学4年の秋に受けた奨励会試験には受からなかった。試験に落ちた後、夜うなされる息子の様子を母は覚えている。寝ぼけて起き出すと、ベッドの上で正座をした。将棋を指す素ぶりをしながら、「こんなにやっているのに、勝たれへん」と呟いた。10歳の子がこんなに思い詰めているなんて......。母は心配になり、師匠にこのことを知らせた。畠山は言う。「入門した頃は、繊細すぎる感じがあった。思い詰めてしまうというか。真面目に一心に盤に向かう子より、よそ見をしながら早指しする子のほうがプロに向いていると言われる。斎藤のひた向きさだけが、逆に心配だった」

畠山「斎藤君が奨励会に受かったとき、岩根忍さん(女流三段)に言われたことがあるんだ。まだ1年生で10級くらいの頃、指導対局会場で100人以上いる中、斎藤少年は1人だけ他の子と全く違ったと。あの子は絶対に強くなりますって。プロはみんな同じ子に目がいくんですよ。アマチュアの人は、他の子のほうが強いとか言うんだけどね」

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斎藤「何が印象に残ったのでしょう? その頃は全然まだ勝てなくて、将棋連盟の道場で1日に12連敗したことがあります。それでも指そうとして、さすがに親に帰るよと言われたみたいですけど」

畠山「12連敗! それは見込みがないな(笑)」

斎藤「ですよね(笑)。ただ負けて悔しくても将棋が好きで、教室に通って楽しくなかった日は一度もなかったです」

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畠山「座ってジーッと盤面を見ているから、逆に不安になることはあったね。才気あふれる子はチョロチョロ横を見たり、バンバン早指しだったりするから」

斎藤「入門のときの言葉は、インパクトがありました。一つ目の約束は、子ども心に、こんなことを言われるんだと。二つ目の約束は、私の熱意が強すぎて、すぐに破られてしまいました(笑)。師匠に初めて平手で指してもらった将棋は、いまでも覚えています」

畠山「平手で1手20 秒でやったんだ。相掛かりだったのは覚えている。緩めて不利になって、そこから追い上げて、最後はバン! と必至をかけて勝ったつもりが、30手くらいでこちらの玉が詰まされた。ちょっとビックリ。一応、僕も34 歳でB2にいたのに、小4の子にこんな詰み筋で負かされて、俺は人生、何をやってきたんだと思った(笑)」

斎藤「奨励会試験のときに、みんなの前で師匠が話した言葉を覚えています。『この中で棋士になれるのは1人か2人しかいない』。それを聞いたとき、いま笑って話している子は友だちじゃない。プロへの道を争わないといけない相手なのだと認識しました。厳しさを学んだ瞬間だったと思います」

ご紹介した部分だけでなく、全編が師弟愛あふれる内容の【タイトル獲得記念対談 畠山鎮七段×斎藤慎太郎王座「師弟」】。全文は将棋世界2019年2月号でお読みいただけます。

将棋情報局(マイナビ出版)

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