羽生が1400勝を達成した名人戦や新タイトル戦「叡王戦」の激闘を振り返る【2018年4月振り返り】

羽生が1400勝を達成した名人戦や新タイトル戦「叡王戦」の激闘を振り返る【2018年4月振り返り】

ライター: 生姜  更新: 2019年01月29日

2018年振り返り

2018年を振り返るこのシリーズ。4月といえば新学期が始まる月ですね。将棋界もいよいよ新年度を迎えます。今回は名人戦で羽生善治竜王が達成した記録や新タイトル戦である叡王戦の戦いを見ていきましょう。

(肩書・段位はいずれも当時)

奨励会員同士の女王対決(2018年4月10日)

2018年度最初のタイトル戦はマイナビ女子オープン。加藤桃子女王に西山朋佳三段が挑みました。加藤女王はここまで4連覇で、あとひとつで女王獲得連続5期により永世女王の称号を得る戦い。そこに待ったをかけたのが、これまで女流タイトルの獲得はありませんが、奨励会三段の実力者である西山三段です。加藤女王も奨励会所属ですが、その段位は初段とふたつの差があります。

それでは第1局を紹介します。舞台は神奈川県秦野市「元湯 陣屋」。歴代の名勝負が繰り広げられた場でもあります。

【第1図は▲3五歩まで】

図1は▲3五歩と5四角の利きを自陣に通したところ。ここから△4七竜が決め手でした。竜をきる豪快な一着です。以下▲4七同金△2七桂成▲同玉△1五桂▲2八玉△2七銀▲同角△同桂成▲同玉△4九角で寄り筋に入りました。そのまま加藤女王が押しきって勝利。開幕戦を制しました。しかし、そこから西山三段が力を見せて3連勝。初タイトルを獲得しました。

名人戦で1400勝(2018年4月11日・12日)

1400勝。かつて大山康晴十五世名人が到達した勝数にもうひとり、記録に挑んだ棋士が現れました。羽生善治竜王です。その記録がかかった一戦は名人戦の開幕局でした。羽生竜王は名人を奪取すれば通算タイトル獲得が100期になる戦い。多くの人が羽生竜王の勝利を期待したことと思います。その逆風に立ち向かったのが佐藤天彦名人でした。

第1局の戦型は横歩取りでした。後手になった佐藤名人の用意してきた急戦策に対し、先手の羽生竜王も強く迎え撃ちます。1日目から激しい戦いになりました。

【第2図は△8一銀まで】

図2では羽生竜王が見せた寄せの場面です。図から▲5一金が鋭い一着。△8二銀は▲5二金打までの詰みなので△5一同玉と取るくらいですが、▲7一竜と壁を突破します。△6一桂と王手を受けた局面で先手玉は△3九角以下の詰めろ。うっかりかと思いきやさっと▲1八玉が緩急自在の指し回し。玉を寄られてみると急に遠くなった印象です。そこで後手も△6二角と受けて次の局面に。

【第3図は△6二角まで】

図3から▲5二歩△同玉▲8一竜がまた鋭い手順でした。△8一同銀は▲6四桂△同歩▲6三銀からの詰み。これで差がつきました。以下△7五馬▲7二竜まで羽生竜王の勝ち。これまで幾度となく劇的な勝利を挙げていた羽生竜王ですが、2018年もその活躍ぶりは変わりません。次は大山十五世名人の1433勝が迫っています。こちらも達成秒読みですね。

新タイトル戦開幕(2018年4月14日)

2018年4月から新たなタイトル戦である叡王戦が開催されました。叡王戦は対局によって対局者の持ち時間が変わる革新的なルールが話題を集めました。また、開催場所も公募で決めるなど、ファンとタイトル戦が密着に結び付いたのは新時代の幕開けといいましょうか。

第1局を見てみましょう。舞台は愛知県は名古屋城。持ち時間は5時間。開幕戦らしいどっしりとしたレギュレーションです。戦型は横歩取りでした。2018年の上半期は横歩取りがホットな戦型でしたね。

【第4図は▲7八飛まで】

図4の局面では△8九角が鋭い一着。この角、狙っているのは7八飛だけではなく、2三竜も狙っているのです。以下▲7七飛△6六桂▲同歩△5七桂成まで、高見六段が開幕局を制しました。△5七桂成にどう応じても△2三角成で竜を取れます。横歩取りらしい大技が決まりました。

今回は参考になるような鋭い寄せが数多く表れましたね。次回は最年少七段が話題となった5月を振り返ってみましょう。

生姜

ライター生姜

1993年生まれ。将棋連盟モバイルを中心に活動する中継記者。2018年現在は最年少の記者。棋士の食事注文に肉生姜焼き定食があると反応する。

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