斎藤明日斗四段に抜かれたことがつらかった。本田四段が奨励会時代を振り返る【新四段インタビュー 本田奎四段前編】

斎藤明日斗四段に抜かれたことがつらかった。本田四段が奨励会時代を振り返る【新四段インタビュー 本田奎四段前編】

ライター: 渡部壮大  更新: 2018年12月11日

新四段インタビュー

2018年10月1日に新しく二人の棋士が誕生しました。今回はそのうちの一人、本田奎新四段に将棋を始めたきっかけや奨励会時代についてのお話を伺いました。三段リーグで思い出に残っている対局も本田四段の解説付きでご紹介します。

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弟弟子に抜かれたことがつらかった。本田四段の奨励会時代とは

──将棋を始めたのはいつでしょうか。

小学1年生の夏ですね。最初は父に教わっていたのですが、その後に将棋教室に通ったのですが、プロが教えている教室ということで宮田利男八段の三軒茶屋に通うようになりました。

──初心者のころから宮田先生の教え子だったのですね。四段になった時は喜ばれていたのではないでしょうか。

(斎藤明日斗四段に続いて)2年続けて上がったよ、といろんな人にメールをしていたらしいですね。奨励会には私と斎藤四段以外にも三軒茶屋教室出身の人がいるので今後が楽しみです。

──小学生の時の大会はいかがだったでしょうか。

どれも県代表どまりで、優勝はしなかったですね。倉敷王将戦の低学年の部で3位になったのが最高です。小学生名人戦は東日本大会の決勝まで行ったのですが、そこで負けてテレビに出られなかったのが残念でした。

──その後に奨励会を受けるきっかけは。

小学4年生の時に自然な流れで受けることになりました。学校の勉強は好きではありませんでしたし、他に習いごとなどもしていなかったのでその頃は将棋ばかりしていました。ただ、小4、小5と2度試験に落ちたんですよね。

──2度落ちると自信を失ったりはしなかったのでしょうか。

それはなかったです。3度目の試験の前は奨励会3級くらいの相手にも良い勝負ができていましたし、「どうやっても受かるだろう」くらいの気持ちでした(笑)

──山本博志四段は級位者時代にかなり苦労したと話していましたが、奨励会で挫折などはありましたか。

実は奨励会時代に昇級を逃したことがなくて。3級の時に一度だけ昇級の一番を落としたことはありますが、2番連続で昇級の一番だったので次の将棋を勝って昇級しました。一番つらかったのは1年前に斎藤四段に抜かれた時ですね。同門で自分の方が先に行っていて、彼はずっと後輩の気分でしたから。

──三段までは順調だったのですね。奨励会時代の勉強法は。

学校に通っている時はひたすら将棋倶楽部24(インターネット将棋対局サイト)で指していました。一番多い時で一日30局くらいだったでしょうか。通算でも一万局以上は指しています。高校を卒業してからは時間が取れるようになったので、研究会なども始めました。

──高校を出た時に進学は考えなかったのでしょうか。

元々勉強が嫌いだったので考えませんでしたね。既に三段にもなっていましたし、プロになるつもりでいたので。高校卒業時にもっと下の段位や級だったらまた違ったとは思いますが。

──三段リーグは7期目で昇段を決めました。それまでと変わったきっかけは。

とにかく時間を残すような早指しを心がけました。勝った将棋は時間をほとんど残しましたね。気持ち的には1時間半切れ負けのつもりでした。

──それでは最後の三段リーグから印象に残る将棋をお願いします。

17回戦の関矢寛之三段との将棋です。結果的には勝てばここで昇段が決まっていましたが、他局の結果もあったので対局前はそういう意識はありませんでした。角換わりとなり、猛スピードで手が進みましたが、相手が得意とする形になってこちらだけ時間を使う展開になってしまいました。

【第1図は△7二桂まで】

ちょうど第31回竜王戦五番勝負第3局と同じ局面ですね。この△7二桂も時間を使いましたが、対する▲7五歩はノータイムで向こうの研究に載せられていると感じていました。相手はこの局面も経験があったようです。ただ、▲7五歩は疑問手で代えて▲4六角の方が良かったようですね。以下△6四桂▲6八飛に△8六歩▲同歩△6三銀は初見にしてはうまく対応できたと思います。形勢も後手が指せており、相手も時間を使い始めて安心しました。

【第2図は▲7七同金まで】

こちらは進んで終盤戦です。後手優勢で、ここは△6九飛と打って寄せにいくか、△2九飛と打って△2五飛成で安全に勝つか悩みました。どちらに打っても▲9八玉と上がり、そこで△9三香と銀を補充するのですが、どうせ選べるならと先に△9三香と取ったのが粘りを与える疑問手でした。当然▲7八金打と埋められ、今度△6九飛には▲8八玉と上がられて、▲9八玉より安定しています。

【第3図は▲5二とまで】

さらに数手進んで、ここでは△7八銀成▲同金△6八金のように絡めば後手の勝ち筋でした。実戦は△6八馬が詰めろと錯覚した一手で敗着です。時間を残していた相手は少し手を止めてから▲4二とと取られ、以下△7八銀成▲同金△同馬▲同玉△6八金▲8七玉△8九飛成に▲9七玉で詰まず投了。8八に合駒を打てば△7七金で詰むため錯覚してしまいました。

この将棋は最後に1分将棋で間違えてしまい、やはり時間がなくなるとダメだなとあらためて思いました。

おわりに

今回は本田四段に奨励会時代の話や思い出の対局を振り返っていただきました。次回は昇段を決めた対局や三段リーグ藤井聡太七段との対決の話などを伺います。

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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