激変する将棋界、新しい棋士像 髙見泰地叡王×斎藤慎太郎王座×山口恵梨子女流二段【将棋世界2019年1月号のご紹介】

激変する将棋界、新しい棋士像 髙見泰地叡王×斎藤慎太郎王座×山口恵梨子女流二段【将棋世界2019年1月号のご紹介】

ライター: 将棋情報局(マイナビ出版)  更新: 2018年12月03日

ここ2年で、将棋界を取り巻く環境は激変。藤井聡太七段の出現が大きなきっかけだが、インターネットによる将棋の可視化や、映像を介した新たなスター棋士が続々と誕生して活況を見せている。

その表舞台に立った髙見叡王や斎藤王座、人気聞き手としてブレイクした山口女流二段が、将棋界の1年を振り返った。

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斎藤王座は関西将棋会館でイベント出演のため、スマホのテレビ電話を介しての参加。写真がなくてスミマセン(編集部)

【構成・司会】鈴木宏彦【撮影】中野伴水

※この記事は将棋世界 2019年1月号(12月3日発売)に掲載の「新春スペシャル座談会 激変する将棋界、新しい棋士像」の一部をウェブ用に編集したものです。全文は将棋世界 2019年1月号でお読みください。

藤井29連勝がもたらしたもの

――叡王戦も王座戦もそうですが、いまのタイトル戦は、対局開始から感想戦まですべてインターネットで生中継されます。将棋中継を大きくクローズアップしたのが藤井七段の29連勝でしたが、髙見さんと斎藤さんはあの連勝をどうご覧になりましたか。

髙見 まさか、デビューから無敗で29連勝とは。まさにドラマでしたね。

斎藤 29連勝という数字もすごいのですが、すべての対戦相手が全力できているのに、私にはそのすべてをノーミスで勝ちきったように見えた。そこに衝撃を受けました。

――斎藤さんは今期の王座戦、挑戦者決定トーナメントの準決勝で藤井七段に勝ちました。結果的に見て、その勝利がタイトル獲得に結びついたとはいえませんか。

【第1図は▲6四歩まで】

髙見 あれはいい将棋でした。▲6四歩の第1図から、△7七角成▲同桂△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8三飛と手順に6筋を受けた藤井さんの動きには感心しました。終盤のねじり合いの中で斎藤さんが抜け出したところもすごかった。

山口 29連勝のときの藤井七段は、まだ中学生だったことがすごく大きかったと思います。高校生ではなく中学生だったことがニュースのインパクトを増した。それに連勝中の将棋は、どれも純粋によい内容で勝たれていました。それが将棋を知らない方たちにも伝わったんだと思います。

――結果的に、藤井ブームは他の棋士の知名度も上げました。

髙見 29連勝の前に、アベマTV『藤井聡太炎の七番勝負』がありましたが、あの企画が大ヒットしたことで、これまでの新聞社さんやテレビ局さん以外の媒体にも将棋中継の機会が広がりました。私もおかげさまで、ずいぶん解説をさせていただきました。そこで応援してくださるファンの方たちとの接点ができたことが、その後の対局のモチベーションになりました。

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山口 私も、自分自身は何も変わりませんが、棋士という存在に対する見方、特に将棋を知らない方たちの将棋界に対する見方は変わったと思います。

――最近、若手独身イケメン棋士の出演イベントには若い女性ファンがわんさと集まりますね。

髙見 僕はイケメン棋士とは縁がありませんが、ネットなどで情報を知った方たちが気楽にイベントに参加してくださる道筋はできたと思います。

山口 私はずっと将棋の女性普及を進めたいと思ってきたので、すごくうれしいです。と同時に、どういったところに興味を持ってくださるのか、ちゃんと分析したい。いままでの男性ファンと新しい女性ファンは興味を持つところが違うと思うので、どう共存してもらうかが大事だと思います。

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――女性ファンをいちばん増やしたといわれる斎藤さん、いかがですか。

斎藤 ちょっと切り口がおかしくないですか(笑)。ただ、藤井さんが出てから、あるいはその少し前から状況が変わってきたとは感じています。以前は将棋のイベントといえば、男性ファンしかいなかった。女性は入りづらい雰囲気があったと思うんです。でもいまは将棋を知らない女性がどんどん参加してくれる。山口さんがおっしゃるように、これからは将棋を知らないファンの方にどう将棋を解説するか、それが大切だと思います。

髙見 ニコニコ生放送やアベマTVは無料の情報源で、それが女性ファンの拡大につながったことは確かだと思います。

山口 ニコ生さんはずっと将棋の中継に力を入れてくださっていて、環境の土台作りをしていただいた。アベマTVさんの『炎の七番勝負』企画は、藤井ブームの先駆けだと思います。将棋がいろんな場面で生かされたのはとてもありがたいことだと思います。

髙見 中継技術の進歩も大きいと思います。昔なら絶対に出ない場面が、どんどん映像に出てファンの関心を引く。そこに藤井七段が絶妙のタイミングで登場した。将棋界にとっては幸運でした。

2018年はまさに激動の1年! 藤井七段の活躍の他にも、斎藤王座、高見叡王、豊島将之二冠の誕生etc.について、今年大きな飛躍を見せた三者が全12ページで大いに語ります。それぞれが思う将棋界の未来像と今後の目標も。

全文は将棋世界 2019年1月号(12月3日発売)でお読みいただけます。

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