角には歩の打ち込みが好手!矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは?【第70回 矢倉の崩し方】

角には歩の打ち込みが好手!矢倉における4六銀、3七桂型の攻め方とは?【第70回 矢倉の崩し方】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2018年12月01日

今回のコラムも、矢倉における4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は△6四角まで】

いま後手が4二の角を△6四角と出てきたところです。前回のコラムでは、▲1八飛と香を守りつつ、端に戦力を足す手を見ていきました。△3七角成には、▲3三歩と打ち、△同金寄なら▲同桂成として金桂交換の駒得となって先手よし、△4二金寄も▲1三桂成と突っ込めば△同香に▲1四歩と突き出して先手よしでした。しかし、▲1八飛には△2七銀と打つ手があり、▲1七飛△2八銀不成▲1六飛△1九銀不成と根元の香を取られてしまうと、攻めるのは大変そうです。

そこで、今回は別の対応を考えていきます。ただ、前回は香取りを防ぐ▲4六歩や▲4六角も先手が大変でしたので、普通に香取りを受けるのではダメそうです。ただし、△1九角成も大きな手で、もちろん第1図からなにもせずに△1九角成とされては一気に不利になってしまいます。

ではどういう手段があるのか? そちらを見ていきましょう。第1図から、▲3三歩(第2図)と香取りに構わず打っていきます。

【第2図は▲3三歩まで】

第2図で△1九角成なら、▲3二歩成として金香交換の駒得となって先手がよいですね。△4二金寄なら、そこで▲4六角とぶつければ、△同角▲同歩のあとに▲6一角(▲4三角成△同金▲3一銀の狙い)が厳しく残っていてこれも攻めが続きます。第2図から△3三同金寄(上)は▲同桂成△同金に▲4六歩と香取りを受けておけば、金桂交換の駒得で先手がよいです。

残るは△3三同桂ですね。平凡に▲同桂成△同金寄▲2五桂とするのは、△1九角成▲3三桂成△同金で、今度は金と桂香の交換で先手が損をします。△3三同桂には二通りの攻め方があります。

まずは▲1三桂成です。△1三同香なら▲1四歩と突き出せば、△1九角成には▲1三角成△2一玉▲1二銀までの詰みがあって香を取るヒマが後手に回ってきません。△3一玉と逃げる手には、そこで▲1八飛と回っておきます。今度△2七銀なら、▲1七飛△2八銀不成(△2八角成は▲4六角で角を持てば▲6一角が厳しい))▲1六飛△1九銀不成に▲1四歩(第3図)と突き出しておきます。

【第3図は▲1四歩まで】

第3図からは▲2三成桂△同金▲1三歩成が厳しい狙いです。△1二歩としても、▲同成桂と突っ込めば△同香に▲1三歩成で端を突破できます。

では、第2図から△3三同桂に対し、もう一つの攻め方を見ていきましょう。▲1四歩(第4図)と突き出すのが第二の攻めです。

【第4図は▲1四歩まで】

第4図から△1九角成は、▲3三歩の効果で▲1三歩成とすれば後手の数が足りませんね。△3一玉には▲3三桂成△同金寄▲2五桂で攻めが続いていきます。

そこで、△1四同歩と取ってきますが▲同香とすれば△同香には▲1三角成△2一玉▲1二銀まで後手玉は詰みになります。△2五桂は▲1一香成(第5図)として、△同玉なら▲2五歩と桂を取り返しておけば▲1八飛や▲1三角成が残りますし、△1七桂成なら▲2一銀と打つ手が厳しくいずれも先手よしです。

【第5図は▲1一香成まで】

よって、△6四角には▲3三歩の打ち込みが厳しい攻めになります。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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