3連覇を狙う里見女流王座に

3連覇を狙う里見女流王座に"史上最年長挑戦者"清水女流六段が挑んだ第8期リコー杯女流王座戦を振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2018年11月27日

女流タイトル戦として史上最年長(49歳8カ月)でタイトル挑戦権を得た清水市代女流六段。2016年の第42期女流名人戦以来、久しぶりのタイトル戦だ。女流王座戦五番勝負の登場は第1期以来となる。

里見も春の女流王位戦では失冠したものの、その後は男性棋士からも多く白星を重ね、女流王座戦直前の女流王将戦は2連勝で防衛を果たした。他に倉敷藤花戦三番勝負も並行しており、秋の防衛戦シリーズだ。

第1局は里見の中飛車に、清水は居飛車急戦で押さえ込みに出る。両者の棋風通りの展開だ。清水の陣形が整う前に、里見は向かい飛車に振り直して軽快に動いていく。振り飛車もさばいたが、居飛車も玉頭から反撃して熱戦となった。

【第1図は▲5六玉まで】

第1図は双方の玉が接近して激戦の跡がうかがえる。ここで△4六飛成が合駒請求にもなる決め手。▲4六角と受けさせ、△4五銀▲同玉△5三桂が厳しい。▲4四玉や▲3四玉は詰むので▲5三同竜と取るよりないが、△同玉で手順に後手玉が安全となり勝負あった。激戦を制した里見が防衛に向けて好スタート。

第2局は先後を入れ替えて里見の中飛車に清水の居飛車急戦。やはり里見が積極的に動く展開となった。

【第2図は△6四同歩まで】

第2図で次に△7五歩▲同歩△同飛となれば居飛車も面白いが、手番は先手。▲5五歩の攻めが厳しかった。△5五同歩▲同金△5四歩に▲6三銀が痛打。△8二飛と逃げれば▲5四銀成で中央を突破できる。実戦は△5五歩▲7二銀不成△5六銀と粘ったが、▲6三銀成と活用して先手がはっきり優勢だ。以下も大差で押し切り里見の快勝。2連勝と突き離す。

第3局もやはり清水の居飛車急戦に里見の中飛車となった。

【第3図は▲4六同角まで】

▲3八歩とへこまされた形がつらく、振り飛車十分の棋勢だ。ここで△5八歩が軽手。飛車の横利きが止まった形をとがめている。受けるなら▲6八銀や▲6八角だが、それでは利かされで差が広がってしまう。やむを得ず▲2四歩△同歩▲5四歩と勝負に出たが、△5九歩成と急所にと金を作れたのは大きい。以下も自然な指し回しで差を広げて里見快勝。中飛車で3連勝して女流王座防衛となった。

これで里見は女流王座4期目。来期は初のクイーン王座を懸けての防衛戦となる。清水にとっては残念な結果となったが、また大舞台に帰ってくることを期待したい。

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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