2度目のタイトル挑戦で念願のタイトルを獲得した斎藤王座。熱戦揃いで白熱した第66期王座戦五番勝負を振り返る

2度目のタイトル挑戦で念願のタイトルを獲得した斎藤王座。熱戦揃いで白熱した第66期王座戦五番勝負を振り返る

ライター: 渡部壮大  更新: 2018年11月17日

中村太地の初防衛か、斎藤慎太郎の初戴冠か、注目を集めた第66期王座戦五番勝負。両対局者の人気の高さはもちろんだが、対局そのものも力のこもった熱戦揃いで白熱したシリーズとなった。

陣屋で行われた第1局は斎藤の先手となり角換わり腰掛け銀へ。先攻した斎藤がペースを握ったが、中村も粘り強い指し回しで決め手を与えない。

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第66期王座戦五番勝負 第1局

【第66期王座戦五番勝負 第1局】

ここで▲6七角が強靭な受け。斎藤が近年心がけているという「負けにくい将棋」を象徴している。後手の攻めを受け止めて4三金や4四銀を使えるようになれば分かりやすい。以下もギリギリの終盤戦が続いたが、最後は斎藤が制して先勝。開幕戦から双方一分将棋の終盤となる大熱戦となった。

第1局の後に行われた両者による王将戦の二次予選決勝は中村の勝ち。そして第2局を迎えた。

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第66期王座戦五番勝負 第2局

先後を入れ替えての角換わりは、中村が早めに▲4五桂を跳ねる形に。とはいえそのまま乱戦にはならず、持久戦になった。斎藤が細い攻めをつなぎ、中村が際どくしのぐ競り合いに。

【第66期王座戦五番勝負 第2局】

後手の攻めは細いが、△7三金が決着をつけにいった手。自玉は薄くなるものの、手駒を増やして先手玉を寄せる狙いだ。中村も▲5四桂△同歩▲6四銀と角を取られないように攻めたが、△7六桂▲9八玉△6四金▲5三歩に△同玉▲1七角△4四桂で後手の勝ち筋だ。開幕戦に続き、1分将棋の終盤を乗り切った斎藤が制勝。2連勝で初タイトルに手を掛けた。

中村にとって後のなくなった第3局。先手の斎藤は矢倉の出だしを選ぶ。ただし双方急戦調の駒組みで、相掛かりに近い形だ。分かれで中村がリードを奪い、後手優勢に。

【第66期王座戦五番勝負 第3局】

図の▲3四桂は勝負手。後手玉はかなり王手の続く形で、プレッシャーを掛けている。ここで△5六角が攻防手。後手の玉頭に利かしながら攻めにも利いている。以下▲4五銀△6九飛▲4九歩△6七角成▲5八歩に馬の利きを残す△2六桂が決め手。先手の王手ラッシュをかわし、中村が待望の1勝を返した。

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第66期王座戦五番勝負 第3局

第4局は角換わり腰掛け銀へ。中村が堅陣から猛攻を仕掛けるが、斎藤もコビンから反撃。またしても激戦となった。

【第66期王座戦五番勝負 第4局】

双方にチャンスが訪れていたが、第4図は先手優勢になっている。ここで▲2四桂が鋭い。△同歩と取らせて▲6六竜△同銀▲2三銀△同金▲同桂成△同玉▲3五桂△同角▲同歩で、詰めろを続けながら急所の角を消すことができた。以下△4四金に▲同馬△同歩▲5六角が詰めろ飛車取りが決め手になった。

中村が2連敗からの2連勝。勝負は最終第5局へともつれ込む。

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第66期王座戦五番勝負 第4局

第5局は振り駒の結果挑戦者の先手に。シリーズ4度目の角換わりとなった。中盤に桂得を果たした斎藤が指しやすくなったが、中村も馬を作って粘りに出る。

【第66期王座戦五番勝負 第5局】

粘りが実り、第5図は後手にもチャンスが訪れる。ここで△7七歩成と桂を取る手が勝負手だった。▲7三歩成と飛車を取られてしまいそうだが、△8七桂▲8九玉△9九桂成▲7九玉△8九成桂▲同玉△8五香▲7九玉△8七香成の寄せがある。△7七歩成には▲同金と取るが、そこで△7一飛なら桂損を取り返して大変だった。

実戦は△6八歩▲同飛△7一飛としたものの、▲7六銀と払って純粋に桂得が残る展開になって先手がはっきり優勢だ。最後は駒得を生かして寄せきり、斎藤が初戴冠を果たした。

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第66期王座戦五番勝負 第5局

斎藤は2度目のタイトル挑戦で念願のタイトルを獲得。豊島将之二冠、久保利明王将と合わせて、8大タイトルのうち4つを関西所属棋士が保持することとなった。

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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