職団戦に向けて実戦感覚を身につけよう。プロ棋士もすすめる交流戦の魅力とは?【はじめての職団戦 vol.2】

職団戦に向けて実戦感覚を身につけよう。プロ棋士もすすめる交流戦の魅力とは?【はじめての職団戦 vol.2】

ライター: 津持大和  更新: 2018年10月20日

職場の仲間でチームを組んで出場することができる将棋大会「職団戦」にはじめて出場するローソン将棋部。このシリーズではそんなローソン将棋部の顧問として遠山雄亮六段をむかえ、職団戦への出場方法やチームでの練習方法などを教えていただきます。職団戦の概要や、職団戦に向けた練習方法などを教えていただいた前回に引き続き、今回は練習対局ということで、北尾まどか女流二段が代表を務める株式会社ねこまどの皆さんと交流戦を実施しました。ローソン公式キャラクターのあきこちゃんが見守る中、ローソン将棋部のみなさんは練習の成果を発揮することはできたのでしょうか?遠山六段のレクチャーにも注目です!

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ローソン公式キャラクターのあきこちゃんが見守る中、交流戦が行われました。

実戦の慣れが一番大事。交流戦を行う目的とは

―前回の指導対局後は、どのような指導をされてきましたか?

遠山 ローソン将棋部のみなさんには終盤力を上げるために毎日の短手数の詰将棋を解いていただきました。また、アマチュアの対局では棋力ではなく戦法の相性で勝敗が決まることも多いので、どんな戦法を採用するか一人ひとり話し合い、練習を行いました。戦法選びはとても大事ですよ。

―練習はばっちりということですね。交流戦を行う意味はなんでしょうか?

遠山 一番の目的は実戦に慣れることですね。はじめて将棋の大会に出る方は、秒読み将棋(持ち時間が切れた後、一手を決められた秒数以内で指すルール)に慣れていないことが多いので、時間の使い方を学んでいただきたいと考えています。時間切れになると、どんなに形勢が良くても負けになってしまうので気をつけないといけないポイントです。

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―時間の使い方に慣れるためにはチーム内の練習対局でもいいのでしょうか。

遠山 チーム内の練習対局はもちろん大事ですが、できれば他社チームとの交流戦が望ましいですね。チーム内での練習対局は戦法が偏りやすいので、普段対局しない方と対局することで、さまざまな戦法に対応できるようになります。

いよいよ交流戦開始!練習の成果は?

交流戦の相手はCクラスへ昇格を果たしたばかりの「チーム・ねこまど」からは伊藤さん、南さん、水留さん、砂村さん、青木さん、池田さん、黄さんの7名が参戦。格上チーム相手にローソン将棋部は練習の成果を発揮することはできるのでしょうか。遠山六段と北尾女流二段、ローソンのあきこちゃんが見守る中、ローソン将棋部の岩崎さん、原田さん、大津さん、新出さん、藤井さん、大森さんが対局に挑みました。

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職団戦は大将の振り駒によってチーム全員の先後が決定します。例えば、大将が先手となった場合、三将・五将が先手、副将・四将が後手になり、大将が後手となった場合は副将・四将が先手、三将・五将が後手になります。今回は持ち時間15分、切れたら秒読み将棋(一手30秒)のルールで団体戦を行いました。

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対局に挑むローソン将棋部のみなさん

遠山六段が注目したのは原田さんVS水留さんのこの局面。

【図は△2九飛成まで】

遠山 局面は原田さんが「堅い・攻めてる・切れない」と三拍子そろっており、優勢ですね。しかし▲7三角成が焦った攻めで残念な逆転負けになってしまいました。ここは▲6四歩△6二金引▲7四歩、と丁寧に歩で攻めれば勝っていたでしょう。ですが、終盤のスピード感という点では成長を感じられます。木村一基九段と幼馴染という原田さん。この1ヶ月でグンと実力が上がっており、職団戦での活躍が期待されます。

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原田さんと水留さんの対局

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改善点を原田さんに伝える遠山六段

格上チームに善戦したローソン将棋部のみなさんですが、チーム成績2勝4敗で惜敗。Cクラスの強さを感じる結果となりました。しかし、「このままでは終われない」ということで、対戦相手を変えて第2回戦を実施。ローソン将棋部のリベンジなるのでしょうか?

第2回戦で遠山六段が注目した局面は大津さんVS伊藤さんの終盤戦です。

【図は△6五同歩まで】

こちらは終盤戦で寄せ合いとなり、大津さんが見事な詰みを決めたところです。(▲5二飛△3二歩▲2三銀△同玉▲2四銀△2二玉▲2三銀打以下の詰み)

対局後に大津さんに感想を伺うと、「短手数の詰将棋を毎日解くことで、終盤の詰みが感覚的に少しだけ分かってきました。本番でも練習してきたことを発揮できるように頑張ります!」と普段の詰将棋で終盤力が磨かれている様子でした。

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終盤の寄せ合いで考える大津さん

そして2回戦は4勝2敗でローソン将棋部が勝利!格上相手に勝利ということで、職団戦に向けて自信がつく結果となりました。

おわりに

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交流戦が終わると対局時の緊張した雰囲気からはがらりと変わり、和やかな雰囲気でお互いの職団戦での健闘を祈りあっていました。交流戦は普段の練習の成果を見るだけでなく、将棋仲間を増やすこともできるので、ぜひ一度行ってみてはいかがでしょうか。

また、この日の最後にローソン将棋部のみなさんには遠山六段からサプライズで扇子がプレゼントされました。遠山六段の揮毫「進取果敢」を胸に、大会へ挑みます。

職団戦当日は、さまざまなブースが出店され、扇子や棋書などが販売されるので、気になった方はぜひ足を運んでみてくださいね。

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いよいよ次回は職団戦本番。114回職団戦は10月21日に「武蔵野の森 総合スポーツプラザ」で行われます。果たしてローソン将棋部は目標の3勝をあげることができるのか、そして昇級できるのか。次回をお楽しみに。

はじめての職団戦

津持大和

ライター津持大和

1996年生まれの福井県出身。山本博志四段の影響を受けて居飛車党から三間飛車党に転身。ゲーム、カードゲーム、野球、カフェが好き。将棋イベントとゲーム大会によく出没します。

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遠山雄亮

監修遠山雄亮六段

東京都練馬区出身。1993年に奨励会に6級で入会。1997年に初段に昇段。2005年10月に四段に昇段。長らく、日本将棋連盟モバイルの編集長としてモバイル事業に携わり、現在は、棋士会副会長としてイベント等の企画、運営を行なっている。デビュー当初から、しばらくは振り飛車党だったが、ここ近年は居飛車中心に戦っている。
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