主要アマ大会では最も長い歴史を誇るアマ名人戦。栄冠に名を刻んだ方は一体?アマ名人戦の様子をご紹介!

主要アマ大会では最も長い歴史を誇るアマ名人戦。栄冠に名を刻んだ方は一体?アマ名人戦の様子をご紹介!

ライター: 渡部壮大  更新: 2018年10月01日

第72回アマチュア名人戦の全国大会が9月8~10日に東京都港区の「チサンホテル浜松町」にて開催された。各都道府県の代表62人に、前アマ名人の横山大樹さんと支部名人の禰保拓也さんの二人を加えた計64人の大会だ。予選は2勝通過2敗失格のリーグ戦で、その後は32人によるトーナメント戦だ。大会直前の震災により北海道勢は移動が困難だったが、前名人の横山さんを含む3人は無事到着し、全員そろって大会が開始された。

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初日と2日目は持ち時間は50分で切れたら秒読みが30秒で1日3局のみと、全国大会ならではの長丁場だ。

予選で一番厳しい予選は昨年3位の高橋英晃さん(静岡)が落ちたブロックだろう。元奨励会三段の荒木隆さん(滋賀)、支部名人4回他全国優勝多数の遠藤正樹さん(埼玉)がそのブロックを突破した。

52歳で初出場の沖幹生さん(岡山)と53歳で初出場の目黒将さん(東京)が出場者の中で年齢は上から1,2位。両者は予選1回戦、3回戦で対戦し、沖さんがどちらも制して予選を突破。目黒さんは残念だったが、激戦の東京代表になったのは素晴らしい結果だろう。

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今大会最年少は13歳の高橋憲太郎くん(石川)。予選で1勝をあげる活躍を見せたが、残念ながら予選3回戦で逆転負けを喫して予選突破はならなかった。

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本戦トーナメントでは左端の山でアマ名人4回の早咲誠和さん(大分)と昨年のアマ竜王で元奨励会三段の藤原結樹さん(大阪)が対戦。さらにその隣に前名人の横山さんとアマタイトル多数の小山怜央さん(神奈川)という激戦必死の山ができた。結果はベテランの早咲さんが貫録を見せて突破。そのままベスト4へと進んだ。

また、51歳の遠藤さんもベスト4へ。今年は全国大会でベテランの優勝が続くが、早咲さんとともにベスト4で、ベテラン復活を象徴する流れだ。

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大会最終日は4人だけで、ここまできたら誰もが優勝をという思いだろう。早咲さんは5度目の、他の3人は初のアマ名人を目指す。早咲さんは小林知直さん(東京)と対戦。相穴熊から早咲さんが手厚く進めていたが、小林さんがうまく食らいついて逆転。最後は際どく逃げ切った。小林さんは主要アマ大会では初の決勝進出。

遠藤さんは元奨励会三段でアマ王将になったこともある鈴木肇さん(神奈川)と対戦。こちらも相穴熊となり、遠藤さんが押し気味に進めていたが、鈴木さんの粘り強い指し回しが逆転を呼んで鈴木さんの勝ち。現在の激戦区は神奈川と東京の2つと言われているが、見事にその予選を勝ち上がった2人の決勝となった。

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決勝は小林さんと鈴木さんの対戦。意外にも両者は対戦が一度しかないとのこと。

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小林さんが穴熊の堅陣から攻め、振り飛車の鈴木さんが受けに回るという両者の棋風通りの展開。小林さんの攻めが細いながらも、実戦的には難しいという流れのまま終盤へと進んだ。

【図は88手目△3三歩まで】

図から▲6三桂打△2一飛!▲3三桂成△同銀▲同飛成△同金▲2二銀!△同飛▲7一桂成と進行。△2一飛の自陣飛車はこれしかない受けだが、こう打つようではまだ大変だ。対して▲7一桂成から清算する攻めもあったが、▲3三桂成~▲同飛成~▲2二銀がすごい攻め。以下は難しいところもあったが、秒読みの中小林さんにミスが出て鈴木さんが逃げ切った。

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鈴木さんは「昨年予選落ちだったので、もうアマタイトルは厳しいのではないかと思った。今回は大会2日目が誕生日で、思い出に残る優勝になりました」と振り返った。

主要アマ大会では最も長い歴史を誇るアマ名人戦。今年はその栄冠に鈴木さんが名を刻んだ。

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渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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