個人戦は1年生が優勝!団体戦は優勝候補同士の決勝戦に。混戦ぞろいの高校選手権・男子の部をご紹介します

個人戦は1年生が優勝!団体戦は優勝候補同士の決勝戦に。混戦ぞろいの高校選手権・男子の部をご紹介します

ライター: 渡部壮大  更新: 2018年09月05日

第54回高校選手権が平成30年8月9、10日に長野県千曲市「ホテル圓山荘」にて開催された。前回の女子個人、女子団体に続き、今回は男子の個人、団体の模様をレポートする。

kokomen01_201800905.jpg

男子の団体は昨年優勝の早稲田大学本庄(埼玉)の他、4度の優勝を誇る岩手、2年前に優勝した文星芸術大学附属(栃木)、それに青森県立八戸(青森)が優勝候補と見られていた。予選で早大本庄に敗れた八戸だが、準々決勝では雪辱を果たす。しかし八戸も準決勝で文星に1勝2敗で惜敗。反対の山からは岩手が勝ち上がってきた。直接対決以外では敗れておらず、強豪を擁する優勝候補が力を見せた結果となった。

kokomen02_201800905.jpg

優勝候補同士の決勝戦は、文星が3勝のストレートで勝利。2年ぶり2度目の優勝を飾った。大将の堤俊由輝くんは「最低でも2日目進出、優勝を目標にしてきた。準決勝が紙一重の勝負だった」と振り返った。堤くんは準決勝の八戸戦では一般の県代表経験もある強豪を倒している。3年の堤くんは今年が最後だが、副将の速水秀馬くん(1年)、三将の鹿野隼人くん(2年)のほか、個人戦で代表になった加藤真純くん(1年)もいるため、来年も連覇を目指したいとのこと。長谷部浩平四段誕生、桐山隆アマ竜王と、今年は栃木県棋界が盛り上がっている。この大会直前にも、メンバーは長谷部四段の指導を受ける機会があったそうだ。

kokomen03_201800905.jpg

男子個人戦は野島進太郎くん(愛媛)と川島滉生くん(東京)の対戦に。野島くんは高校生ながらアマ竜王戦で3位に入り、プロを2人倒した実績を持つ。川島くんは全国規模の実績はないが、今年神奈川県の関東アマ名人戦で代表となり、関東大会でも4位に入っている。1年生ながら勢いに乗ってここまで勝ち上がってきた。ともに予選3回戦を敗れたものの、立ち直っての勝ち上がり。

野島くんは準決勝で今年の新人戦を制した石井雄大くん(埼玉)に逆転勝ち。川島くんは工藤麟太郎くん(青森)に予選3回戦のリベンジを果たして勝ち上がってきた。

kokomen04_201800905.jpg

先手の野島くんが振り飛車らしい指し回しでペースをつかむが、川島くんも粘り強い指し回しで楽を指せない。次第に局面は混戦となっていった。

【第1図は88手目△5八とまで】

図から▲4二と上は攻めを急いでしまった悪手。後手からの△3九飛成をうっかりしたそうだ(代えて△4八となら▲同金で大丈夫)。以下▲3九同玉△4八と▲2八玉△3八と▲同玉△6八竜から寄せきって後手の勝ち。図では▲4九歩と受けておけば、まだまだ難しい形勢だった。

1年生での優勝となった川島くんは「予選で負けた将棋が酷すぎたので開き直れた。準決勝でその相手に綺麗に勝つことができて波に乗れました。また来年も優勝を目指したい」と話した。

kokomen05_201800905.jpg

個人戦で優勝した川島くん、宮澤さんは高校が都内なので東京代表だが、どちらも住所は神奈川だ。今年は激戦区の代表が強さを見せた大会となった。

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

このライターの記事一覧

この記事の関連ワード

  • Facebookでシェア
  • はてなブックマーク
  • Pocketに保存
  • Google+でシェア

こちらから将棋コラムの更新情報を受け取れます。

Twitterで受け取る
facebookで受け取る
RSSで受け取る
RSS

こんな記事も読まれています