目の覚めるような一撃!一気に寄せきる4六銀、3七桂型の攻めとは?【第55回 矢倉の崩し方】

目の覚めるような一撃!一気に寄せきる4六銀、3七桂型の攻めとは?【第55回 矢倉の崩し方】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2018年09月14日

今回のコラムも、矢倉における4六銀、3七桂型から攻めていく指し方を解説していきます。それでは第1図です。

【第1図は△2四銀まで】

いま先手が▲2五桂と跳ね出した手に対し、△2四銀とかわしてきたところです。いかにも危なっかしい後手陣ですが、▲1三桂成は△同桂▲1四歩△2五桂で、▲1四歩△同歩▲1三歩は力強く△2三金と上がられていずれもうまくいきませんでした。どうも手なりで攻めていくのはうまくいかないようです。しっかり読みを入れてどう攻めるのかを考えていきましょう。先手としては、2五の桂をうまいタイミングでどかし、2八の飛車の利きを通して決めたいところですね。

第1図から▲3四歩と取り込む手はどうでしょうか? あれ? これは前回▲1四歩△同歩▲1三歩に△2三金▲3四歩△同金右とされて攻めきれなかったのとあまり変わらないじゃない? と思われる方もいるかもしれません。ですが、1三に歩が垂れていない代わりに後手の金も3二のままです。通常は、2三に金を上がらせたほうが形が乱れるのでよいのですが、今回の場合は2八の飛車に対する防波堤になっています。前回同様に△3四同金(第2図)とされた局面でなにか手段がないか見てみましょう。

【第2図は△3四同金まで】

ここで、有力な攻め方が二つあります。まずは、▲3三歩(第3図)です。

【第3図は▲3三歩まで】

これに対し、後手の対応は数多くありますが、△3三同銀が最悪で▲同桂成△同玉▲2一飛成でこれは後手が全然ダメですね。△3三同金引は、▲同桂成△同金に▲2五歩(▲3五銀も厳しい攻めでよし)で銀まで死んではこれも後手はダメですね。△3三同金上も▲同桂成△同玉▲3五歩、△3三同角も▲同桂成△同金上▲3五歩でいずれも後手は大きな駒損となったうえに、気持ちよく攻め続けられてしまいます。

よって、金駒や角で3三の歩を取るのは簡単に後手がダメになります。残るは、金をかわす手か△3三同桂と取る手になりますが、順に見ていきましょう。まずは、いちばん危なそうな△4三金とかわす手です。これには、先手からものすごい攻めがあって決まってしまいます。すぐにこの先を読み進めずに、しばらく考えてみてください。

おわかりになりましたでしょうか? ▲3五銀(第4図)が目の覚めるような一撃になります。

【第4図は▲3五銀まで】

第4図から△2三歩は、▲3四銀△同金▲3二金△1二玉▲1四歩△同歩▲1三歩△同桂▲1四香で決まりますね。

第4図で△2五金は▲2四銀ですし、△2五銀は▲3四銀△同金▲2五飛(▲3二金△2三玉▲4二金でも十分)△同金▲3四銀で崩壊です。よって後手は3五の銀を取ってきますが、△3五同銀は▲1三桂成で△同玉は▲2一飛成、△3一玉は▲3二歩成△同玉▲2三飛成△4一玉▲4三竜でいずれも寄りです。残るは△3五同金ですが、▲同角△同銀(△2三銀は▲2四角△同銀▲3二銀で寄り)にやはり▲1三桂成(第5図)がさく裂して後手玉は詰みとなります。

【第5図は▲1三桂成まで】

第5図から△1三同玉は▲2三金、△3三玉は▲2三飛成、△3一玉は▲3二金までとなります。

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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