団体戦は南山が10年ぶりの優勝!個人戦決勝では去年と同じ組み合わせに。熱戦ぞろいの高校選手権・女子の部をご紹介します

団体戦は南山が10年ぶりの優勝!個人戦決勝では去年と同じ組み合わせに。熱戦ぞろいの高校選手権・女子の部をご紹介します

ライター: 渡部壮大  更新: 2018年09月03日

第54回高校選手権が平成30年8月9、10日に長野県千曲市「ホテル圓山荘」にて開催された。高校選手権は男子個人、女子個人、男子団体、女子団体の4部門があるが、今回は女子個人と女子団体の模様をお伝えする。予選は4回戦を行い、3勝1敗以上が通過するシステムだ。

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団体戦は学校単位で、3人一組のチーム戦だ。昨年までは強豪を複数擁する優勝候補のあがる女子団体戦だったが、今年は本命不在となった。決勝は南山女子部(愛知)と鶯谷(岐阜)の東海対決となった。両者は予選の4回戦でも対戦しており、大将、副将が南山勝ち、三将が鶯谷勝ちの2勝1敗で南山が制している。鶯谷副将の山口仁子梨さんは研修会Cクラスに在籍する実力者だが、南山副将の後藤祐里さんが殊勲の星をあげている。決勝で再び対戦することとなったが、この大会は並び順を変更できないシステムのため、3人の組み合わせも同じだ。

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大将戦は南山の向井亜美さんが快勝。学生選手権ガールズクラスで優勝するなど、個人戦でも実績のある実力者だ。続いて三将戦は岩岡良香さん(南山)と土井柚花さん(鶯谷)の対戦は、岩岡さんが攻めをつないで押し切った。予選では土井さんが勝っていたが、決勝では岩岡さんが勝利打点を挙げた。副将戦は山口さんが勝って、結果は2勝1敗で南山の勝利となった。

南山は10年ぶり3度目の優勝。昨年は決勝で敗れたこともあり、優勝が決まった瞬間には涙する選手も。顧問の奥野元三先生は「今までは良いところまで行っても、ライバル校に負かされるなどして優勝に届きませんでした。今の高三の層が厚く、今年はチャンスかなと。今年は卒業生も応援に来る中10年ぶりに優勝できて感慨深いです」と話した。大将の向井さんは「去年は悔し涙だったけれど、今年はうれし涙になって良かった。去年は並び順を工夫して裏目に出てしまったので、今年は悔いがないようにと臨みました」と話した。決勝で最後まで残った副将の後藤さんは「予選の4局目で強い相手に勝つことができて自信になった。決勝はチームの結果が分からないままの対局でした」と振り返った。三将の岩岡さんは「予選の4局目で負けてしまった相手だったけど、勝負にはなったので決勝もチャンスがあると思って指しました」と話した。準優勝となった鶯谷だが、1,2年のみのチームで来年も期待できそうだ。

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女子個人戦は優勝候補の宮澤紗希さん(東京)と上田可奈子さん(京都)の対戦に。このカードは去年の決勝と同じで、昨年は上田さんが勝っている。宮澤さんは研修会でBクラス、上田さんは昨年の全国高校竜王戦で3位に入るなど、ともに男子のトップクラスとも戦える実力を備えている。予選2回戦でも両者は対戦しており、宮澤さんが勝った。

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上田さんが先攻し、形勢もはっきりリードを奪う展開に。

【第1図は89手目▲7六銀まで】

第1図では△2九飛と打ち込めば分かりやすかっただろう。次に△2八飛成以下の詰めろになっているので先手は▲4八玉と早逃げするくらいだが、△2七香成と自然に追撃する手が厳しい。場合によっては2四の桂を外す含みもあって、攻防ともに手厚い。実戦は△7九飛だったが、▲6九歩△7八飛成▲6八金△5九角▲2七歩と丁寧に受けられて攻めの継続が難しくなってしまった。実戦も宮澤さんが昨年の雪辱を果たし優勝を飾った。宮澤さんは「上田さんは強くてできれば当たりたくないけど、優勝するには避けられない相手。今年は優勝することができて良かった」と話した。宮澤さん、上田さんも今後は進学をして大学将棋をやりたいとのことだ。

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次回は男子の個人戦、団体戦の模様をレポートする。

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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