「同い年の2人には、絶対に負けたくない」悔しい思いをしたからこそたどりつけたタイトル獲得【高見叡王インタビューvol.2】

「同い年の2人には、絶対に負けたくない」悔しい思いをしたからこそたどりつけたタイトル獲得【高見叡王インタビューvol.2】

ライター: マツオカミキ  更新: 2018年08月13日

いま大注目の若手棋士、高見泰地叡王の4回連載インタビュー。第2回は、将棋を始めたきっかけや、同世代の棋士たちと切磋琢磨してきた話をお聞きしました。「この2人には絶対負けたくない」と語る、仲間でもありライバルでもある同世代棋士たちへの想いも、まっすぐに語ってくださいました!

小学3年生で「プロになる」と覚悟を決める

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――何歳から将棋を始めたんですか?

幼稚園の年長の時に、父にルールを教わりました。家にあったボードゲームセットの中に将棋が入っていたんですけど、将棋の駒の漢字がかっこいいなと思い、興味を持ったのがきっかけです。

その後は自分で本を読んで勉強して、小学校1年生の時に初めて将棋大会に出ました。そこで全部勝てたのが嬉しかったですね。初めは3級だったんですけど、子ども将棋スクールにも入って、少しずつ強くなっていきました。

――将棋を教えてくれたお父様も、将棋がお好きなんですか?

父はそれほど指すわけではないですが、ルールは教えてくれました。親族の中だと、父方の祖父は将棋がすごく好きでしたね。浜松にある父の実家に行くと、祖父と対局していました。でも小学校に入ってから、僕が強くなってきて祖父相手に駒落ちで対局するようになって「生意気だ」と言われ、あまり指してくれなくなりました‥‥(笑)。でも、僕は祖父と将棋を指すのが楽しかったし、良い思い出です。

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――本格的にプロを目指し始めたのは、いつ頃でしたか?

小学校3年生の頃に「プロになる」と決めました。小学校6年生で奨励会に入る前には、将棋に集中するために、それまで6年間続けていたピアノもやめたんです。

――ピアノ、6年間もやっていたんですね!

ピアノ自体は楽しかったんですけど、ピアニストには、ちょっとなれそうになかったので(笑)。本気でプロを目指すと決めたから将棋だけに集中しようと思ったし、その覚悟があったからこそ、辛いことがあってもずっと続けてこられたのだと思います。

「2人には絶対負けたくない」同世代棋士への想い

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――小学生の頃から、同世代棋士の方々とも交流がありましたか?

そうですね、同い年の三枚堂達也六段は、小学3年生の時に「東京・北京小学生将棋交流大会」の日本代表として中国・北京へ行った時も一緒でした。彼は当時から天才少年で、僕は代表で一緒に行く前から一方的に知っていましたね。この日本代表の同年代たちに影響されて研修会に入り、プロを目指そうと決めました。

もう一人の同い年である八代弥六段は、奨励会を卒業するまでにかかった時間が、ちょうど6年半と同じでした。この2人を語ろうとすると、100時間あっても足りないかもしれません。

――同世代棋士との今までの関係を振り返って、お互い成長したな、変わったなと思うところはありますか?

将棋が強くなるにつれて、一緒に小学生大会から奨励会、そしてプロの世界へと戦うステージを進めてきました。好きでやってきた「将棋」が仕事になったことと、厳しいプロの世界に入ったという周りの環境以外は、結局何も変わってないです。人はそう簡単には変わりませんからね(笑)。彼らに聞いても、そう答えるのではないでしょうか。ただ純粋に将棋が好きで、強くなりたい、もっと将棋を指していたいと思って、ここまできてしまった感じです。

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同い年の2人には、絶対に負けたくないんです。研究会などで負けた時は、帰り道が辛いほど。昨年2月に八代六段が朝日杯で優勝したのには衝撃を受けましたし、三枚堂六段には昨年8月のYAMADA杯決勝の借りを早く返さなければと思っています。決勝で負けた時の喪失感というか、悔しい記憶は今も鮮明に覚えていて、思い出すと本当に辛くなります。

――今でも鮮明に思い出すほど、なんですね。

話しているだけでも、悔しさで体調が悪くなってきました(笑)。タイトルを取ってから「この1年活躍できて良かったね」と言ってもらえるのですが、自分はこの1年半の間にかなり悔しい思いをしてきたので、それを乗り越えて強くなる必要があったんです。昨年のYAMADA杯準優勝という悔しさもバネになって、結果的に叡王のタイトルを取れたんだと思います。

第3回は、大学生活で得たものやプロの観る将になったきっかけをお聞きします。

高見泰地叡王インタビュー

マツオカミキ

ライターマツオカミキ

2014年からライターとして活動する平成元年生まれ。28歳にして初めて将棋に触れました。将棋を学びながら、初心者目線で楽しさをお伝えします!普段は観光地や企業、お店を取材して記事を執筆中。

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