王位戦・羽生VS菅井戦にも出た格言!終盤に役立つ「寄せの手筋」を学びましょう【将棋の格言】

王位戦・羽生VS菅井戦にも出た格言!終盤に役立つ「寄せの手筋」を学びましょう【将棋の格言】

ライター: 渡部壮大  更新: 2018年07月19日

将棋の格言

今回は寄せに関する格言を見ていきます。

「要の金を狙え」は、寄せに出る時は守備の要となっている金を目標にしようという格言です。寄せの基本となるので覚えておきましょう。

【第1図】

第1図は対抗形の陣形です。「要の金」は居飛車穴熊側においては7九の金。振り飛車側においては6一の金(状況によっては6三の金も)となります。この駒をはがせれば守備力が格段に下がるため、玉を寄せやすくなります。終盤戦においてこれらの金が角で狙われている時は、切られる筋を回避するのが好手となることもあります。

主に玉から一番近い金が「要の金」となります。端攻めなどで敵玉を直接狙う場合は例外ですが、頭に入れておきたい格言です。

受けの格言が「金は引く手に好手あり」なら、対照的な攻めの格言が「金は斜めに誘え」です。

【第2図】

第2図はシンプルな寄せの問題です。▲3二と△同玉と金を取って喜んでいるようではいけません。ここでは▲4三銀が寄せの筋。△4三同金なら▲3二金の頭金までなのでこの銀を取ることができません。「金は斜めに誘え」の格言に基づいた寄せ方です。▲4三銀には△4二金打のように受けるしかありませんが、▲3二と△同金▲2三金で受けがなくなります。受けに非常に力を発揮する金ですが、ないと「金なし将棋に受け手なし」と言われてしまいます。

【第2図は▲5七金寄まで】

第3図は髙﨑一生六段の実戦から(第73期順位戦C級1組▲高﨑六段△泉正樹八段)。△1九飛成と香を取る手も自然ですが、その前に指したい手があります。それが△5九銀と要の金に狙いをつける手です。先手が放置して▲1一馬なら△6八銀成▲同銀△5六歩▲同金△5八金のような厳しい攻めがあります。6八の金をはがせればたちまち先手玉は危険な格好になります。実戦は△5九銀に▲6七金上とかわしましたが、そこで△1九飛成と香を取っておけば、次に△2八竜と王手する手が厳しく残ります。以下も後手が押し切りました。

要の金をはがすことはできなくても、王手が掛かる形にすることで迫りやすくする例でした。

【第4図は▲4六同金寄まで】

第4図は第29期女流王位戦五番勝負第3局(▲里見香奈女流王位△渡部愛女流二段:肩書・段位は当時のもの)。穴熊が遠く後手優勢ですが、先手も金の厚みがあって簡単には勝てません。実戦は△5五桂打▲4八玉△4七桂成▲同銀△5五銀と迫りました。他には△4五歩▲同金△5五桂打も有力でした。いずれにしても4六、4七の金のスクラムが先手の頼みの綱です。まずその金をはがせば先手玉に迫りやすくなります。以下も後手が押し切り初タイトルに王手を掛けました。

【第5図は▲7六同角まで】

第5図は第58期王位戦七番勝負第5局(▲羽生善治王位△菅井竜也七段:肩書・段位は当時のもの)。ここで△5六歩が軽手です。放置するのは△4五歩があるので▲同金と取りましたが、金が上ずって先手陣は弱体化しました。7八の金一枚しかない先手陣はとても薄く、決戦に持ち込めば後手ペースとなります。以下は△4五金▲同銀△3七桂成からさばき、菅井七段が初タイトルを獲得しました。

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渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生六段

棋士・六段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。
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