序盤・中盤・終盤の流れをざっくり捉えられるようになろう!【山口女流1級が教える棋譜並べ】

序盤・中盤・終盤の流れをざっくり捉えられるようになろう!【山口女流1級が教える棋譜並べ】

ライター: 山口絵美菜  更新: 2018年07月20日

前回は「棋譜並べ」の基本についてお話ししました。符号にはだいぶ慣れてきましたか?間違えずに最後まで並べられるようになったら、次の段階に進んでみましょう!今回は「ざっくりととらえる」をテーマに、棋譜の内容に注目していきます。

将棋は「序盤」「中盤」「終盤」を経て勝敗が決まります。「起承転結」でいうと序盤は「起承」、中盤は「転」、終盤は「結」のイメージです。今回は棋譜の一手一手を深く理解する前に、序盤・中盤・終盤ごとにイメージを膨らませながらざっくりと流れをとらえていきましょう。

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第7期リコー杯女流王座戦一次予選で対局中の山口女流1級。撮影:常盤秀樹

序盤=準備

初手~駒がぶつかるまでが「序盤」。「戦型の決定」「玉を囲う」といった、戦いに向けた準備の段階です。駒を前進させる手は「戦う準備をしているんだな~」玉や金銀を動かす手は「玉の守りを堅めてるんだ~」と思いながら並べましょう。ポイントは「玉」と「飛車」の位置。飛車のいる筋(縦のライン)は将来の戦場です。「このあたりを攻めるのかな?」「相手はここから攻めてきそう」と意識しましょう。何より大事な玉は、飛車がいるのとは反対側に囲います。流れ弾が当たりやすい戦場から離れるほど安全で、周りにいる金銀の枚数が多いほど堅くなると覚えておいてください。準備を終えたら、いよいよ開戦です!

中盤=戦い

駒がぶつかったら「中盤」、戦いの始まりです。ここから局面が複雑になっていくので、ゆっくり並べていきましょう。飛車がいる筋や駒の利きが集中しているあたりで駒がぶつかり、戦いが起きます。攻める側は

(1)駒を交換して持ち駒にする

(2)相手の駒を取って戦力を増やす

(3)相手陣に成りこむ

上記3つを目標に、受ける側はそれを阻むように指していきます。あちこちで駒がぶつかるので、「この駒は取った方がいいかな?取らない方がいいかな?」と考えながら並べていきましょう。中盤は終盤の前段階。最終的な目標は玉を捕まえることなので、攻め駒は相手玉に向かって、守り駒は自玉に向かっているのを感じられるとなおよしです!

終盤=スピード勝負

どこから終盤かは、あまりはっきりした基準はありません。ここでは「どちらかの囲いが攻められ始めたら」「王手がかかるようになったら」終盤ということにします。終盤で一番大事なのは「スピード」。一手でも早く玉を捕まえた方が勝ちます。玉(=ゴール)を目指したかけっこのイメージです。「どちらが勝つの?」とドキドキしながら、一手一手をじっくり見ていきましょう。「自分だったら何を指すか?」を考えながら並べると、終盤力アップにつながります。序盤や中盤と違い正解手がはっきりしているので、棋譜解説を丁寧に読みながら並べるのがおすすめです。「駒が近づいてきたけど受けられるのかな?」「王手がかかった!詰むのかな?」と、双方の玉に常に意識を向けながら終局まで並べていきましょう。

いかがでしょうか?棋譜を並べながら手の意味を考えるのは、なかなか大変です。焦らず、ゆっくり味わうように並べていきましょう。いきなりすべてを意識するのは難しいので、「今は序盤、準備!」「駒がぶつかったから、中盤だ!」「囲いが崩れてきた、そろそろ終盤かな?」と、ざっくりイメージすることから始めるのが肝心です。この考え方は実戦にも生きてくること間違いなしです!次回はさらに詳しく棋譜を見ていきますので、お楽しみに!

棋譜並べ

山口絵美菜

ライター山口絵美菜

1994年5月生まれ、宮崎県出身の女流棋士。2017年に京都大学文学部を卒業し、在学中に研究した『将棋の「読み」と熟達度』を足掛かりに、将棋の上達法を模索している。
将棋を覚えるのが遅かったため「体で覚えた将棋」ではなく「頭で覚えた将棋」が強くなるには?が永遠のテーマ。好きな勉強法は棋譜並べ。

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