相振り最先端の基本を伝授! 角交換相振り飛車の狙いと指し方とは?【将棋世界2018年8月号のご紹介】

相振り最先端の基本を伝授! 角交換相振り飛車の狙いと指し方とは?【将棋世界2018年8月号のご紹介】

ライター: 将棋情報局(マイナビ出版)  更新: 2018年07月03日

将棋世界2018年8月号(7/2発売)の戦術特集は、「角交換相振り飛車」。

①井出隼平四段による基本講座

②高野智史四段「最新型はサトシにお任せ」

③瀬川晶司五段によるリレー自戦記「流行の相振りで戦う」

④西田拓哉四段による付録「魅惑の角交換相振り飛車」

と、ボリュームたっぷりの4パートで、密かな流行の兆しを見せている「角交換相振り飛車」をマスターしましょう。

本記事では、井手四段による講座の一部をご紹介。純正振り飛車党の井手四段による簡明にレクチャーで、本戦法の狙い筋をマスターしましょう。

井出隼平四段による基本講座

今回紹介させていただく角交換相振り飛車は、石田流に対して相振り飛車で戦う作戦です。従来の相振り飛車は角道を止めて戦う、あるいは先手に追随して相三間飛車になることが多かったのですが、本講座では後手からいきなり角交換をして、積極的に攻めの形を作っていく作戦を解説していきます。なお便宜上、ここからは先後を反転して進めていきます。

初手からの指し手(便宜上先後逆) 

△3四歩 ▲7六歩 △3五歩 ▲6八飛 △3二飛 ▲2二角成 △同 銀(基本図)

【基本図△2二同銀まで】

角交換

△3五歩と石田流を匂わせた後手に対し、先手も6筋に飛車を振ります。そして△3二飛にいきなり▲2二角成と角交換をするのが、この戦法の基本形になります。角を持ち合うことで、出だしから慎重な駒組みが要求されますが、石田流の理想形を組ませないうえに、先手のペースで戦えるというのが利点です。

基本図以下の指し手①

▲8八銀 △5二金左▲7七銀 △6二玉
▲3八金 △7二玉 ▲8六歩 △8二玉
▲8八飛 △7二銀 ▲8五歩 (第1図)

【第1図は▲8五歩まで】

向かい飛車に振り直す

角交換をした基本図から、思わず▲6五角と両取りに打ちたくなりますが、△4二金▲8三角成に△3六歩(参考1図)と突かれ、以下▲同歩は△5五角、▲2八銀も△3七歩成▲同銀△5五角で、先手不利です。

【参考1図は△3六歩まで】

その筋を防いで▲8八銀と上がっておきます。対して△6二玉なら今度こそ▲6五角が成立します。ここからは駒組みが続きます。

後手は美濃囲いを目指しますが、先手は6八から▲8八飛と、向かい飛車に転じるのが本戦法の骨子です。先手も玉の囲いで美濃囲いを目指すと、こちらから角交換をしたり、飛車を6八?8八と2手掛けている分の手損が大きく、作戦負けになりやすいので、▲3八金だけで囲いを済ませるのがポイントです。

まだまだ互角に見える第1図ですが、すでに先手の作戦にはまりつつあります。狙いは筋違い角です。

第1図以下の指し手①

△3三銀 ▲6六銀 △2四歩 ▲7五銀
△2五歩 ▲5六角 (第2図)

【第2図は▲5六角まで】

玉頭に数の攻め

後手は自然に指しているようですが、かなり危険な状態なのはお分かりでしょうか。第2図の▲5六角が狙いの自陣角です。次に▲2三角成と、△2二飛なら▲8四歩△同歩▲同銀(参考2図)が数の攻めで、両狙いが同時に受けにくいのです。先手の角を盤上から消さないことには、玉頭を破られてしまいます。

【参考2図は▲8四同銀まで】

第2図以下の指し手

△3四角 ▲同 角 △同 銀 ▲5六角
△4五角 ▲同 角 △同 銀 ▲2三角(成功1図)

【成功1図は▲2三角まで】

急所の▲5六角

先手の角を消すために第2図から△3四角と合わせてきましたが、あっさり▲同角と取って、再度の▲5六角が好手です。成功1図までは必然手順ですが、▲2三角(成功1図)で、今度は飛車銀両取りが掛かりました。以下△3四飛には、▲同角成△同銀▲8四歩から十字飛車を狙って、先手優勢です。

このように居玉のまま、棒銀の要領でどんどん攻めていくだけでも、十分な破壊力があります。次は後手の工夫も見ていきましょう。

第1図以下の指し手②

△3六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲4九玉 △3四飛(第3図)

【第3図は△3四飛まで】

居玉は避けよ

後手が3筋の歩を交換して、浮き飛車で玉頭を守る指し方を見ていきます。△3六同飛に▲4九玉が地味ながら大きな一手です。居玉のまま戦いが激しくなると、△9五角の王手飛車の筋がチラつくので、こうして未然に防いでおきます。

第3図の△3四飛には、▲3七歩と手堅く打ってしまう手も無難ですが、積極的に銀を前線に送り込む指し方が、おススメです。

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角交換相振り飛車に対し、相手が浮き飛車で対抗する形、さらに美濃ではなく金無双に組まれた場合の対策は? 本講座の全文は将棋世界2018年8月号(7/2発売)でお読みいただけます。

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