初の平成生まれ同士でのタイトル戦 第59期王位戦七番勝負・菅井竜也王位VS豊島将之八段の見どころとは?

初の平成生まれ同士でのタイトル戦 第59期王位戦七番勝負・菅井竜也王位VS豊島将之八段の見どころとは?

ライター: 君島俊介  更新: 2018年07月04日

平成最後の夏に行われる第59期王位戦七番勝負は、平成生まれ初のタイトルホルダー菅井竜也王位と平成生まれ初の棋士である豊島将之八段の争いとなった。平成生まれの棋士同士でのタイトル戦も初めて。

現在、振り飛車党がプロ棋界で減っている中、タイトルホルダーが菅井と久保利明王将の二人いるのは特筆される。振り飛車党のタイトルホルダーが複数いたのは、2010年の広瀬章人王位(※現在は居飛車の採用率が高い)、久保二冠(棋王・王将)以来。振り飛車党のファンは多く、注目の七番勝負だ。

昨年の第58期王位戦七番勝負は鮮烈だった。挑戦者の菅井竜也七段が、第一人者の羽生善治王位を4勝1敗で圧倒したからだ。戦術面では、多彩な角交換振り飛車で独自色が濃かったのが印象的。決着局となった第5局では、阪田流向かい飛車の出だしと思いきや三間飛車に構えた。菅井と同じ岡山県出身の故・森安秀光九段が指したことのある作戦だが、意表を突いた。

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第5局対局前の菅井七段(当時)。撮影:八雲

また、時間の使い方も特徴的だった。王位戦七番勝負は8時間制。その中で菅井は、第1局そこ7時間弱の消費時間だったが、第2局以降は5時間使わず指していたのだ。特に第4局は半分以下の3時間50分の消費。2日制のタイトル戦で羽生竜王にこれだけ時間を残して勝った棋士は菅井しかいない。

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前期王位戦は、菅井七段(当時)の早指しも話題になった。決着局となった第5局も3時間半以上も持ち時間を残しての勝利となった。写真は、新王位誕生となった第5局終局後直後の模様。撮影:八雲

一方の豊島は2018年に入ってから王将戦、棋聖戦、王位戦の3棋戦でタイトル挑戦となった。通算では6回目のタイトル戦登場だ。そして、7割近い通算勝率を保持している。毎年、よく勝っているということは、技術の高さを物語っている。それだけにタイトルを期待する声は大きい。

王位戦挑戦者決定リーグは角換わり腰掛け銀を中心に展開。澤田真吾六段とのプレーオフを制し、挑戦者決定戦では棋聖戦五番勝負でも戦っている羽生善治竜王を破った。

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第59期王位戦挑戦者決定戦で豊島八段は、羽生善治竜王を下して挑戦権を獲得した。撮影:常盤秀樹

昨年10月からは対局の多い時期が続いている。特に今年3月は王将戦七番勝負とA級順位戦プレーオフで18日間に7局。移動を含めると休みもあまりない状況だった。王位戦七番勝負が開幕する7月は棋聖戦五番勝負と並行するが、3月の経験を生かしたいところ。

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今年に入ってから活躍が目立つ豊島八段。タイトル奪取の期待も大きい。撮影:常盤秀樹

2017年度の成績は菅井が31勝17敗、豊島は44勝18敗。ただし、菅井は王位獲得後の成績は5割台。棋戦優勝などの戦績を残せていないのは本人も不満だろう。「タイトルは防衛して一人前」という言葉もあるが、地盤を固めることで、さらなる活躍につなげやすくなる。初の防衛戦でどう立て直すか。

豊島は7割程度と高い勝率を挙げているが、王将戦挑戦失敗、A級順位戦プレーオフ敗退、JTプロ公式戦準優勝とあと一歩の戦績だった。そこから棋聖戦と王位戦で挑戦者になった復元力は見事。大きな結果を残すのみだ。

過去の対戦は7局あり、菅井の5勝、豊島の2勝。ただ、ほとんどが早指し棋戦なので、長時間制、特に2日制の七番勝負では未知数といえる。豊島としては、前述した2日制でも早指しだった、菅井独特のペースに巻き込まれないことが大事だろう。

冒頭で記したが、振り飛車党の棋士は少ないし、減っている。それは、居飛車党は振り飛車党との対戦が少ないともいえる。振り飛車党からすると、多勢に無勢のような苦しさや厳しさはあるが、経験値の高さを武器にできるかもしれない。

基本的に菅井は振り飛車党、豊島は居飛車党だが、何でも指しこなせるタイプだ。両者の対戦でこれまで指された戦型は、対抗形、相居飛車、相振り飛車とさまざま。菅井居飛車、豊島振り飛車のパターンがない程度だ。

菅井がどういう戦法を選ぶか一つの焦点となる。前期七番勝負のように目新しい戦法が出てくるかもしれない。また、菅井が振り飛車にしたときに豊島が居飛車で指すか、自身も飛車を振るか。

第67期王将戦七番勝負で、豊島は久保王将相手に相振り飛車中心で戦ったが、あまり振るわなかった。王位戦七番勝負ではどういう戦い方をするだろうか。駆け引き次第で菅井居飛車、豊島振り飛車という戦型になってもおかしくはない。毎局、出だしから注目したい七番勝負だ。

君島俊介

ライター君島俊介

2006年6月からネット中継のスタッフとして携わる。2016年現在は順位戦・棋王戦・棋聖戦などで観戦記を執筆。将棋連盟ライブ中継で棋譜中継を楽しむ日々。

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