さまざまな形がある「6筋位取り」の基本をプロの実戦から学ぼう!【玉の囲い方 第37回】

さまざまな形がある「6筋位取り」の基本をプロの実戦から学ぼう!【玉の囲い方 第37回】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2018年06月18日

前回のコラムまでは「5筋位取り」についてご紹介しました。今回はその1筋となりの、「6筋位取り」についてご紹介していきます。さて、こちらはどういう囲いなのか? まずはそちらを見ていきましょう。

囲いの特徴

第1図をご覧ください。

【第1図は▲6七銀まで】

平成28年10月27日、第58期王位戦予選、▲中川大輔八段ー△佐藤和俊六段戦です。5筋位取りでは、5五に歩を進めて5筋の位を取りました。6筋位取りもその名の通り6五へ歩を進めて6筋の位を取っていきます。

第1図の先手陣は角筋も通り、非常に伸び伸びとした形に見えませんか? 対して後手陣は6筋の歩が突けないので、ここから△5二金左と上がった後に、△6四歩~△6三金のように囲いを進展させていくことが難しいです。角筋が通り、伸び伸びとした陣形になるだけではなく、このように相手の駒組みを制限させているというメリットもあります。また、第2図をご覧ください。

【第2図は△4四銀まで】

平成14年5月16日、第28期棋王戦予選、▲鈴木大介七段ー△野月浩貴五段戦(肩書は当時)です。第1図では左銀を6七に配置していましたが、第2図では3一から動かさず、4三には右金を進めて囲いました。

第1図と比べると、玉が2二へ一つ深く囲っており、より堅陣になっていますね。先手陣は銀冠に囲っている途中ですが、▲3八金の次にやはり▲4六歩~▲4七金左と、さらに上部を厚くしていくことができません。続いては第3図です。

【第3図は▲7七桂まで】

平成20年2月21日、第58回NHK杯争奪戦予選、▲大内延介九段ー△高田尚平六段戦(肩書は当時)です。第3図も左銀は6七に配置しておりますが、今度は角を6六へ上がり穴熊の端もにらんでいます。また、6六へ角を移動したことにより、7七へ桂を跳ねても角筋が止まらず、とてもよい形で6五の位を安定させていますね。

このように、6筋位取りとはいってもさまざまな形があります。それでは、先手側の駒のみを配置して、6筋位取りを組むまでの手順を見ていきましょう。

囲いを組むまでの手順

初手から、▲7六歩、▲2六歩、▲4八銀、▲5六歩、▲6八玉、▲7八玉、▲5八金右、▲5七銀(第4図)。

【第4図は▲5七銀まで】

さまざまな形があり、どの形をご紹介してどこを完成形とするかは難しいのですが、今回は第1図の形を目標に駒を進めることにします。まずは、対振り飛車の基本形の舟囲いにします。第4図から、▲6六歩、▲6五歩、▲6八銀上、▲6七銀(第5図)。

【第5図は▲6七銀まで】

第5図を完成形と言ってよいかというと微妙なところですが、ここまで組めればすぐに戦いが始まってもしっかり対応していけますので、このコラムではひとまずは第5図を一応の完成形としておきます。もちろん、第4図から▲6六歩、▲6五歩と6筋の位を取った後に、▲6七金、▲7七角、▲8八玉、▲7八金、▲6六銀と第2図のように深く組んでいくほうが好みという方はそちらの手順で組んでいただいて構いません。

次回のコラムでは、6筋位取りに組む際の注意点と発展形をご紹介いたします。

玉の囲い方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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杉本和陽

監修杉本和陽四段

棋士・四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。
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