タイトル戦にも頻出!相手に攻められた時に覚えておきたい将棋の格言とは?【将棋の格言】

タイトル戦にも頻出!相手に攻められた時に覚えておきたい将棋の格言とは?【将棋の格言】

ライター: 渡部壮大  更新: 2018年05月26日

両取り逃げるべからず

今回も相手に攻められた時に覚えておきたい格言です。主に中盤の終わり~終盤における格言で、両取りを掛けられた局面では必ず駒損してしまうので、その手に対応するよりも駒を取らせている間に効果的な一手を指そうという考え方です。

【第1図】

たとえば第1図は△7七桂と両取りに打たれた局面です。これが序~中盤でしたら▲7九飛と寄って、△6九桂成▲同飛で金桂交換の駒損に押さえるのが正解となることが多いです。しかし、これが終盤の場合には話は別で、「終盤は駒の損得より速度」の考え方に沿って、飛や金を逃げるよりも敵玉への効果的な手を指した方が良い場合があります。攻め合いに持ち込めば後手の△7七桂と、もう一手△8九桂成(もしくは△6九桂成)と2手駒を取る手を掛けさせている間に有効な手を指すことができます。

【第2図は▲8六同銀まで】

第2図は相横歩取りから飛車角総交換になる激しい定跡形です。5五の角によって8二銀と1一香の両取りが掛かっています。銀を取られる方が駒損が大きいので△7三銀と受けると▲1一角成で純粋な香損になって先手大優勢です。ここは両取りに対する切り返しとして△2八歩が定跡となっています。▲2八同銀なら△2五飛が厳しい両取りになるため▲8二角成と取りますが、△2九歩成でと金を作りながら駒損を取り返し難しい形勢です。

【第3図△5五角まで】

第3図は横歩取り青野流の激しい変化。プロ間でも近年よく登場する局面で最新形の一つです。△5五角が△7七角成からの二枚換えと、△1九角成を見た両取り。先手が困ったようですが、▲2二歩が用意の切り返し。△2二同銀や△同金は3筋の駒が浮いてしまいますし、△同角も角の利きが逸れるので▲6八銀と受けて大丈夫です。これには△3三桂と逃げるのが定跡化されており、▲2一歩成△4二銀で難しい戦いです。こうした切り返しで一気に終盤戦に突入するのが横歩取りならではの変化です。

【第4図は△4五角まで】

続いてプロの実戦から見ていきます。第4図は第7期加古川青流戦決勝三番勝負第2局(▲西田拓也四段井出隼平四段)から。これも定跡形で、この△4五角が両取りで先手が困っているとされてきましたが、西田四段はあえてこの変化に誘導します。図からいったん▲6四飛と逃げます。△8九角成なら▲6一飛成が厳しいので、△6三銀と飛車当たりで受けて以前両取りの状態です。そこで▲7一銀と飛車取りで切り返すのが西田四段の狙いでした。飛車の取り合いは陣形の差で先手良し。実戦は△7二飛▲8四飛△7一飛▲6四歩△同銀▲同飛△8九角成▲6二銀で、駒損ながら手になり先手ペースとなりました。両取りを掛けさせても激しい流れに持ち込んで、駒を取る手を緩手にする狙いです。

【第5図は▲3二銀まで】

第5図は第67期王将戦七番勝負第1局(▲久保利明王将豊島将之八段)の中盤戦。▲2三歩△同飛▲3二銀と両取りを掛けた局面です。ここで△2四飛とかわすのは▲4三銀成△3七銀成▲同桂△2九飛成▲3九金打△1九竜▲5三成銀で先手ペース。実戦は△3七銀成と強く踏み込みました。こうなっては先手も▲2三銀成と取るよりなく、△3八成銀▲同玉△2五桂▲4一飛△2八歩と激しい展開になり、そのまま後手が押し切りました。

終盤において両取りを掛けられたら、反射的に駒を逃げる前に、より厳しい手で切り返せないかを考えてみましょう。

将棋の格言

渡部壮大

ライター渡部壮大

高校生でネット将棋にハマって以来、趣味も仕事も将棋な人。
将棋の月刊誌、週刊紙、書籍などの編集部に在籍経験あり。
アマチュア大会の最高成績は全国ベスト16だが、もう少し上に行けないかと日々努力中。

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高崎一生

監修高崎一生七段

棋士・七段
1987年生まれ、宮崎県日南市出身。2005年10月に四段。(故)米長邦雄永世棋聖門下。 攻める棋風を持ち味としている振り飛車党。

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