☗3六歩のタイミングに要注意!相振り飛車で矢倉に組むときの注意点

☗3六歩のタイミングに要注意!相振り飛車で矢倉に組むときの注意点

ライター: 一瀬浩司  更新: 2018年03月27日

前回のコラムでは、相振り飛車での「矢倉囲い」についての組み方をご紹介しました。今回は、組む際の注意点などを見ていきましょう。それでは、相振り飛車においての、矢倉に組むまでの手順の復習です。

初手から、▲7六歩、▲6六歩、▲6八銀、▲6七銀、▲7七角、▲8八飛、▲4八玉、▲3八銀、▲3六歩、▲3七銀、▲3八金、▲5八金、▲3九玉、▲4六歩、▲4七金左、▲2八玉(第1図)。

【第1図は▲2八玉まで】

それでは、後手の駒を配置して、組む際の注意点を解説していきます。

組む際の注意点

第2図をご覧ください。

【第2図は▲3八銀まで】

なんの変哲もない序盤戦のようですが、ここで後手に△3五歩と突かれると、矢倉に組むことはできなくなってしまいます。もちろん、美濃囲いに組んで一局なのですが、どうしても矢倉に組みたい場合は、第2図の▲3八銀の代わりに▲3六歩と先に突いてしまうのがよいでしょう。それから▲3八銀~▲3七銀とすれば矢倉に組むことができます。

ただし、先に▲3六歩を突いてしまうと、△2四角~△3五歩など、後手に動く手を与えてしまいますので、そこには注意が必要です。第3図は三間飛車に対して矢倉に組んだ局面です。

【第3図は△4四歩まで】

ここで▲3九玉と引くのは△4五桂▲4六銀△3六飛と3六の歩を取られてしまいます。また、▲4六歩と突いても△4五歩と仕掛けられてしまいますし、▲4六銀と飛車を目標に銀を進出しても△3六飛と歩をタダ取りされてしまいます。このように、矢倉は完成まで手数がかかってしまいますので、後手が速い動きを見せてきた場合は、このように中途半端な形となってしまうことがあります。

では、どうすればよかったのかといいますと、先手が8筋の掛けた▲8六歩~▲8五歩~▲8四歩(△同歩▲同飛△8三歩▲8八飛)の三手を▲4六歩~▲4七金左~▲6五歩などに回していれば問題はありませんでした。

それでは、組む際の注意点はこれくらいにして、前回ご紹介しました組み方とは別の手順をご紹介していきます。

相手が三間飛車の場合の囲いの組み方

相振り飛車での矢倉も、あまり発展形というものはありません。ですので、発展形ではなく、三間飛車にされたときの組み方をご紹介していきます。初手から▲7六歩△3四歩▲6六歩△3二飛▲6八銀△6二玉▲6七銀△7二銀▲7七角△7一玉▲8八飛△3五歩▲4八玉△3六歩▲同歩△同飛(第4図)。

【第4図は△3六同飛まで】

後手は美濃囲いに組み、3筋を交換してきました。ここで、反射的に▲3七歩と打ってしまいたくなりますが、矢倉に組むのでしたら、ここで打ってはいけません。

第4図以下の指し手:▲2八銀△4二銀▲5八金左△5二金左▲3七銀△3四飛▲3六歩△4四歩▲4六歩△4三銀▲4七金△2四歩▲3八金△2五歩▲3九玉△3三桂▲2八玉(第5図)。

【第5図は▲2八玉まで】

後手が3六飛のままで駒組みを進めてきた場合は、▲3七銀で飛車を追って▲3六歩と打ちます。もし、▲3七銀の前に△3四飛と引いてきましたら、▲4六歩~▲4七金~▲3六歩としてから▲3七銀と上がるのが安全です。こうすれば▲3七銀のときに、△3六歩と打たれることはありません。

第5図までは、必ずしもこう進むということではなく、もちろん一例としてあげた手順です。後手は石田流の形に組みましたが、先手の矢倉は手厚く、なかなか攻めるのは大変そうに見えませんか?

このように、相振り飛車での矢倉もなかなか優秀な囲いです。

玉の囲い方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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杉本和陽

監修杉本和陽四段

棋士・四段
1991年生まれ、東京都大田区出身。2017年4月に四段。師匠は(故)米長邦雄永世棋聖。バスケットボールを趣味とする。ゴキゲン中飛車を得意戦法とする振り飛車党。

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