後手は受けなし?組みやすく破壊力抜群の4六角を活かした攻め方【矢倉の崩し方】

後手は受けなし?組みやすく破壊力抜群の4六角を活かした攻め方【矢倉の崩し方】

ライター: 一瀬浩司  更新: 2018年03月07日

今回のコラムも、飛車角銀桂を理想的に配置した形から、矢倉を攻めていく指し方を見ていきましょう。それでは第1図です。

【第1図は▲2五同桂まで】

前回は第1図から△3五銀と角取りに打って受けてきましたが、▲3三歩△同桂▲1三桂成と攻めて先手がよくなることがわかりました。これで、第1図から△2四歩と△3五銀は、先手がよくなることがわかりました。

では、もう後手には受けはないのでしょうか? このままでは▲3三歩△同桂▲1三桂成と攻められてしまいますし、やはり4六の角筋を後手はなんとか止めなくてはなりません。では、第1図からじっと△2四銀(第2図)と受けてきたときを考えてみましょう。

【第2図は△2四銀まで】

△2四歩と桂取りに突かれたり、△3五銀と角取りに打たれたりしたときに比べると、駒取りにはなっていないので、先手側からすると楽な受け方に見えます。△2五銀と桂を取る手には、もちろん▲同飛で銀桂交換の駒得の先手がよいです。

ですので、ゆっくりしてもよさそうですが、△3五歩と角筋をさらに止められたり、△4五歩と角取りに突き出されて△5三銀と6二の銀を活用してこられる手もありますので、実はなかなか手ごわい受け方です。まずは、第2図から▲3三歩と打ってみましょう。△3三同桂に▲同桂成は△同金寄で歩切れのため後続手段が難しいです。

では△3三同桂のときに▲1三桂成はどうでしょうか? △1三同銀は▲1四歩△2四銀▲1三銀(第3図)と攻め込んでいくことができます。

【第3図は▲1三銀まで】

第3図で△1三同香▲同歩成△同銀は▲同角成で後手の駒が足りませんし、△3一玉と逃げても▲2四銀成△同歩▲1三歩成と端を破ることができます。では、これにて先手よしでよいでしょうか? ▲1三桂成のときに△同香と取る手もありますね。▲1四歩で香は取られてしまいますが、△同香▲同香に△1三歩(第4図)と打てば後手は香を取り返すことができます。

【第4図は△1三歩まで】

これはどうでしょうか? 第4図から、▲1三同香成は△同銀なら▲1一銀△1二玉▲1三角成△同玉▲2一銀のような攻め方があります。△1三同玉と強く取られた場合は? これも▲2一銀と打つ手が厳しい攻めになります。△2二金には▲1四歩△同玉▲2四角△同歩▲1五歩(第5図)で、△2三玉や△1三玉は▲1四銀までの詰みです。

【第5図は▲1五歩まで】

第5図から、△1五同玉は▲2六銀△1四玉(△1六玉は▲1七香まで)▲1八飛△2三玉▲1一飛成と飛車を成り込んでこれも先手優勢となります。また、▲2一銀に△2二玉なら、▲3二銀成△同玉▲2四角△同歩▲同飛△2三歩のとき、▲2一銀と打つ手があるので、これも攻めきれます。よって第1図から△2四銀と受ける手も、▲3三歩△同桂▲1三桂成と攻めて先手がよくなりました。

長くなりましたが、4六角、3六銀、3七桂の形から攻めていく指し方はいかがだったでしょうか? 2六角型もなかなかの破壊力がありますが、こちらの形も破壊力抜群な形です。2六角型よりも手数が掛からずに組みやすいので、ぜひ実戦で試してみてください。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。

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