駒の動かし方をうまく伝えるコツとは?【将棋の教え方】

駒の動かし方をうまく伝えるコツとは?【将棋の教え方】

ライター: 藤倉勇樹  更新: 2018年01月25日

第2回は「駒の動き」について触れていきたいと思います。

お子さんに将棋を教える際に課題となるのが、駒の動かし方です。将棋は全部で8種類の駒がありますが、全ての動きを覚えるのに、早いお子さんで15分、平均では30分程度かかります。幼稚園生などの場合、飽きてしまうことも考えられますので、飽きない工夫をする必要があります。

駒の動きを覚えさせるには、盤面にと金をたくさん用意し、それぞれの駒の動きに応じてと金を置いてもらう形にしています。なお、私の経験から、習得のし易さを◎(覚えるのが容易)、△(覚えにくい)としています。

まずは「歩兵・ふひょう(◎)」から。一般的には、「歩・ふ」と呼んでいます。歩は真っすぐ動くだけですので、誰でも簡単にわかります(図1)。

【図1】

図のように、駒が進むことができるマス目に「と金」を置かせてみると分かりやすいでしょう。

続いて「香車・きょうしゃ(◎)」です。「きょう」や「やり」と言うこともあります。

ひたすら真っすぐ進めるので、イノシシと説明しています。これも正解率は高いです。

【図2】

続いては「桂馬・けいま(△)」。単に「桂・けい」とも言います。これが第一の難関と言えるでしょう。特殊な動きをするため、なかなか覚えることができません。ウサギをイメージしてもらうと少し覚えるのが早くなる気がしますが、何回か復習をすることが大事です。

【図3】

桂の動きは、難易度が高いです。反復練習が必要です。

続いては「銀将・ぎんしょう(△)」「金将・きんしょう(△)」。一般的に「きん」「ぎん」と言っています。

動かし方で桂馬に続く難関が金と銀でしょう。駒を覚えた後でも一番間違えるのが金と銀の動きの違いです。銀は5箇所、金は6箇所動けるのが大きな違いですが、それだけで覚えることはできません。

そこで、金と銀の動きを作り、それぞれ好きな形をイメージしてもらうようにしています。銀の動きは「アメンボ」が不動の一番人気で伝わりやすいです。頭に点をつけると漢字の「六」にもなります。

【図4】

また、金の動きは「卓球のラケット」で教えていましたが、小学生に考えてもらったところ、色々な形が出てきました。「郵便ポスト」はうまいなと思いましたが、「ガリガリ君」と言われたときは、妙にしっくりきて感心してしまいました。

【図5】

ただ単に覚えるだけでは、刺激がありません。自分だけがイメージする形を考えてもらうのが、楽しみながら覚えるという意味でも良いのではないかと思います。

続いては「角行・かくぎょう(◎・一般的に角=かくと呼びます)」「飛車・ひしゃ(◎)」です。角は×(バッテン)、飛車は+(プラス)なので、覚えやすいでしょう。

【図6】

【図7】

最後は「玉将/王将・ぎょくしょう/おうしょう(◎・一般的に玉=ぎょく/王=おうと呼びます)」です。周辺全て動けるので、例える物がなくても覚えやすい駒です。

【図8】

以上で駒の動かし方は終了です。最初にも書きましたが、いかに飽きさせずに取り組んでもらえるかが重要です。桂、銀、金の動きが難しく、覚えるのは時間がかかりますので、何度も復習するようにして下さい。どうしてもわからない場合は、実際に対局をしていきながら、教えていくのも良いと思います。

次回は駒の成り方と価値について触れていきます。

将棋の教え方

藤倉勇樹

ライター藤倉勇樹

1979年10月23日生まれ。東京都新宿区出身。桜井昇八段門下。
日本将棋連盟の「子供将棋スクール」で長らく講師を務めた経験から、現在は志木こども将棋教室東新宿こども将棋教室で将棋教室を開講中。元々は振り飛車党だったが、最近では矢倉など居飛車も多く指している。映画「聖の青春」やTVドラマ「やすらぎの郷」で将棋監修として携わっている。

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