対局観戦からオリジナルグッズまで! 必見のリコー杯女流王座戦第2局の現地イベント、その内容とは?

対局観戦からオリジナルグッズまで! 必見のリコー杯女流王座戦第2局の現地イベント、その内容とは?

ライター: 山口絵美菜  更新: 2017年12月07日

10月26日に開幕した第7期リコー杯女流王座戦五番勝負。全部で6つある女流タイトルのうち、5つを保持する里見香奈女流王座に加藤桃子女王が挑戦する、まさに「頂上決戦」とも言える顔合わせ。加藤女王が緒戦に続き、第2局も制し、里見女流王座がカド番に追い込まれるという展開になりました。続く第3局では里見女流王座が一勝を返し、12月8日に東京将棋会館にて第4局を迎えます。加藤女王が3つ目の白星を飾り、昨年の雪辱を果たすのか?はたまた里見女流王座が星をタイに戻すのか?注目の第4局に先立ち、今回は11月11日に大阪市の料亭「芝苑(しえん)」を舞台に行われた第2局と、現地イベントの模様を詳しくご紹介したいと思います!

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撮影:諏訪景子

第3期以降毎年リコー杯女流王座戦の舞台となっている「芝苑」 では普及指導員の資格を持つ将棋愛好家の女将・久島眞知子さんのご協力のもと、関西若手棋士将棋ユニット「西遊棋」が実行委員を務め、現地イベントを行っています。

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撮影:山口絵美菜

今年は宮本広志五段と私、山口絵美菜が実行委員を務め、イベントプログラムの作成や西遊棋オリジナルグッズの企画、現地イベントの運営を行いました。

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撮影:山口絵美菜

「芝苑」を貸しきって行われる現地イベントは応募者多数で毎年抽選になるほどの大盛況。5回目の開催となる今年は糸谷哲郎八段、宮本広志五段、西田拓也四段、長谷川優貴女流二段、里見咲紀女流初段、山口絵美菜女流1級 という豪華メンバーでイベントを盛り上げました。

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撮影:諏訪景子

10時に対局が開始すると、イベント会場ではモニターに写し出される対局室の様子に視線が集まります。先手の加藤女王が居飛車に構え、後手の里見女流王座がゴキゲン中飛車に振るという第1局同様の戦型に進行し、淀みなく指し手が進んでいき、イベント開始に先立ち、糸谷八段が会場に登場。「いやぁ、指し手が早いですねぇ~。ここであまり詳しく解説すると大盤解説で話すことに困りますからねぇ~」と言いつつモニターを中心に両対局者の印象やエピソードなどをお話ししました。続いて宮本五段や西田四段も登場して 「イベントが始まる前に駒がぶつかるかもしれませんね」「研究会でこの局面を見たことがありますよ」と局面の進行にも触れつつトークが弾み会場は和やかな雰囲気に包まれていました。

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撮影:山口絵美菜

さくさくと駒組みが進み、加藤女王の玉が穴熊に潜ったところで、10時半になり、第2局の立会人・淡路仁茂九段の挨拶のもとイベントがスタート。糸谷八段の流れるような解説と里見女流王座の妹、里見(咲)女流初段の聞き手による大盤解説が始まりました。

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撮影:諏訪景子

そして別室の和室では厳かな雰囲気のなか宮本五段や西田四段らによる指導対局も。棋士や女流棋士と駒落ちで対局し、感想戦でアドバイスを受けられるというのはもちろんのこと、もれなく西遊棋オリジナルグッズをプレゼントというのも西遊棋コラボイベントの特長で、今年はオリジナル缶バッチ(菅井竜也王位・豊島将之八段の2種類)とポストカードをプレゼントしました。ポストカードは今回のイベントにむけて製作した新作で、雪景色を前にした糸谷八段、竹林にたたずむ和服姿の宮本五段、ケーキを手に微笑む西田四段、ふくろうカフェにいる長谷川女流二段という4種類があり、裏面にはツイッターにて募集した棋士への質問と回答が載っているという凝ったものになっています。ちなみに同じく西遊棋オリジナルグッズである参加賞は里見女流二段のイラストが表紙、裏表紙には私がデザインされているノートで、表紙裏にはポストカード同様、一問一答が掲載されています。今回手にされたかたは回答も併せてお楽しみください!

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上2つ共撮影:山口絵美菜

午前の部の指導対局がそろそろ終わりを迎えている頃、注目の女流王座戦は中盤戦に突入。加藤女王が穴熊に潜ったのに対して里見女流王座が厚く銀冠に構えると、加藤女王は飛車を7筋に転換し、金を繰り出して積極的な攻めの姿勢を見せます。49手目▲7五同金とした局面で時計の針が12時を回り、昼食休憩に。ご来場の方々には秋を彩る色鮮やかな芝苑特製の豪華弁当 とお出汁香る椀もの、食後には黒ごまアイスクリームという満腹間違いなしの昼食を楽しんでいただきました。

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上2つ共撮影:山口絵美菜

おなかが満たされたところで、午後から、さらなる注目プログラムが待っています! 13時になり対局が再開されると、「対局観戦」 の時間がやってきます。

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撮影:諏訪景子

実際に対局室に入室し、5分の間、タイトル戦の空気を肌で感じていただくというもので、対局者の着手の瞬間や思考に耽る様子はまさに「百聞は一見にしかず」。一度は体験していただきたい空間です。

「対局観戦」が終わったあとは宮本五段と私の実行委員コンビで大盤解説を再開。テンポよく指し手が進んだ午前中とはうってかわって、両対局者が一手一手に持ち時間を投入するじりじりとした展開をむかえた中盤戦の解説を進めていきます。

午後からは「サイン会」 も行いました。今年四段に昇段し、第7期加古川青流戦で優勝した西田四段 が「サイン会はじめてやわ~」と少々不安げに「青流」としたためる初々しい場面や、糸谷八段が流れるように「自由」「不屈」 と書き上げる光景をご覧いただけるというのがサイン会の醍醐味で、他にもコラボ色紙や直筆扇子などをリクエストいただきました。

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上2つ共撮影:山口絵美菜

さて、女流王座戦の対局の方は、里見女流王座が中段に手厚く金を据えたのに対し、加藤女王が角を活用し中央に睨みをきかせた中盤戦のさなか、両対局者には午後のおやつ「ゆずまんじゅう」が出されると、イベント会場にも「おやつの時間」 がやってきました。

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撮影:諏訪景子

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撮影:山口絵美菜

棋士や女流棋士と一緒に和菓子と抹茶を召し上がっていいただくという、本イベントの目玉のひとつです。今年のおやつはお饅頭で、ほんのりと甘く、しっとりした薄皮に優しい甘さのつぶあんがぎっしりと詰まっている、抹茶にぴったりの逸品でした。

まったりとしたおやつの時間の傍ら、盤上では戦いが進行していきます。「芝苑」は関西将棋会館から、さほど遠くないこともあり、控え室を訪れた棋士も多く、次々と大盤解説にゲスト出演して会場は大盛り上がり。

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撮影:山口絵美菜

立会人の淡路九段と西田四段のコンビでの解説 では加古川青流戦設立のいきさつが話にのぼり、新聞解説を務める山崎隆之八段が淡路九段とバトンタッチ して西田四段との森信雄七段門下のコンビに変わると同門ならではツッコミが光る解説に会場は笑いに包まれました。

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撮影:山口絵美菜

その後も脇謙二八段や安用寺孝功六段 、室田伊緒女流二段が登場し、盤上で繰り広げられる決死の攻防戦を解説していきます。

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撮影:山口絵美菜

加藤女王が大駒を最大限に活用して優位を築くと、一転して丁寧な指し回しで着実に勝利を引き寄せていく展開に。「気の早い人なら投了していてもおかしくない」という声が聞こえだしたところで解説は西田四段と里見(咲)女流初段に交代 し、里見女流王座がしのぐ手順を模索しました。

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撮影:山口絵美菜

しかし思わしい順は見つからず、加藤女王の無傷の穴熊を前に里見女流王座の投了 となりました。

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撮影:諏訪景子

終局後は両対局者が大盤解説会場に登場 し、一言ずつ感想を述べると両対局者に盛大な拍手が送られました。

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上2つ共撮影:山口絵美菜

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抽選会のプレゼント。撮影:諏訪景子

加藤女王が二連勝し、復位にあと一勝と迫った第7期リコー杯女流王座戦。里見女流王座が一気に勝負の流れを引き寄せるのか?リードする加藤女王が昨年の雪辱を果たすのか?熱戦間違いなしの第4局にご注目ください!

山口絵美菜

ライター山口絵美菜

1994年5月生まれ、宮崎県出身の女流棋士。2017年に京都大学文学部を卒業し、在学中に研究した『将棋の「読み」と熟達度』を足掛かりに、将棋の上達法を模索している。
将棋を覚えるのが遅かったため「体で覚えた将棋」ではなく「頭で覚えた将棋」が強くなるには?が永遠のテーマ。好きな勉強法は棋譜並べ。

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