雀刺しで矢倉囲いを攻略、▲3五歩からどう攻める?

雀刺しで矢倉囲いを攻略、▲3五歩からどう攻める?

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年12月10日

今回のコラムも、雀刺しから矢倉を攻める指し方を見ていきましょう。これで、18回にわたる長丁場でしたが、雀刺しでの指し方は終了となります。それでは第1図です。

【第1図は▲3五歩まで】

先手がいま▲3五歩と突き出したところです。△3五同歩のときの攻め方、△3五同歩以外の応手を考えていただけましたでしょうか? それでは順に見ていきましょう。

まずは、平凡に△3五同歩と取ってきた場合です。これには、あいた空間に▲3四香と打つ手があります。次に▲3二香成と金を取れれば、△同玉▲1三飛成と突破することができますので、後手は金取りを防がなければなりません。

△3四同金には▲同飛で次に▲1一銀と打つ手が生じます。△1一同玉は▲3二飛成で受けなしですし、△3一玉も▲2二金と打てば同金は▲3一飛成と玉を取られてしまうので△4一玉しかなく、▲3二飛成と金を取りながら迫って必勝の流れとなります。

▲1一銀に△2一玉も▲1二金と打てば、△同玉は▲3二飛成△1一玉▲1二金までの詰みですし、△3一玉も▲2二金と寄れば、▲1一銀に△3一玉▲2二金と進んだ局面と同じになります。

そこで、▲3四香には△3三桂と受けてきますが、▲1九香が好手です。△1二歩で意味がなさそうですが、▲3三香成△同金上に▲2五桂(第2図)が狙いです。

【第2図は▲2五桂まで】

△2五同桂には▲1二飛成と1九に香を打った効果で成り込めますし、△2四金とかわしてきても、▲1三桂成△同歩▲同飛成と突破することができます。第2図での次の狙いは、▲3三桂成と金を取るよりも▲1三桂成から端を突破することです。こうなれば、先手優勢になりますので、第1図で後手は△3五同歩以外の応手を考えることになります。

第1図では△3六角(第3図)が後手用意の反撃です。

【第3図は△3六角まで】

▲1九飛には△3五歩と取られておいて、今度は▲3四香が打てませんし、△2七角成と馬を作る手や△6四角と飛車取りに出る手も残っていて、先手が芳しくありません。そこで、いったん▲2五歩(第4図)と突く手が好手となります。

【第4図は▲2五歩まで】

△2五同角で意味がなさそうに見えますが、そこで▲1九飛と引けば、△3五歩には▲2八香(第5図)と打って、△3四角には▲3七香、△3六角には▲3七銀と角を目標にして攻めていきます。

【第5図は▲2八香まで】

一例として、△3四角▲3七香△1六桂▲3五香△2八桂成▲1四飛△3三歩▲3四香△同歩となってこれはほぼ互角といってよい戦いでしょう。

相手がいることですので、正確に指されるともちろんあっさり優勢、というわけにはいきませんが、雀刺しも端に一点集中させた、なかなか破壊力がある戦法で、受け間違えると一気によくなることもできます。ぜひ一度試していただけたら、と思います。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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