いつか「自分はA級だ」と言える日を目指して【八代六段インタビュー】

いつか「自分はA級だ」と言える日を目指して【八代六段インタビュー】

ライター: 内田晶  更新: 2017年11月29日

最終回は、八代弥六段の趣味などプライベートなことを聞いてみました。八代六段の意外な一面もあるようです。

ーー趣味はダーツにカラオケと多彩ですね。いい気分転換になっているようですね。

「ダーツはいろいろな種目があって、どれも頭を使って攻略していきます。最後にどこを狙えば勝ちやすいかを考えて、その前の一打を放つときに狙いを定めます。棋士は負けず嫌いの人種ですから、熱い戦いが繰り広げられることになるのです。カラオケの選曲は周りに合わせて広く浅く、ですね。私は声が低く高音が苦手ですので、ロック系をよく歌います。高校時代によくカラオケボックスに通っていたのがいい思い出です。意外に思われるでしょうけど、浜崎あゆみさんや倖田來未さんなど女性ボーカルの曲も歌えますよ」

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ーー対局が終わると同世代の棋士とお酒を飲みにいくことも多いと聞きます。好きな銘柄はありますか。

「お酒が好きというのもありますが、それ以上にそういった場の雰囲気が好きなんです。ですので近所のバーに一人でいくこともありますよ。朝日杯で優勝してお祝いにお酒をいただくこともありました。日本酒は辛いのが好みで、最近の有名どころでは獺祭や土佐鶴が美味しいですね。福島の寫樂も好きです」

ーー出張先で地酒を楽しむのもいいですね。印象に残っているお酒があると聞きましたよ。

「愛媛に仕事でいったとき、地元の方が飲みに連れていってくださいました。吹毛剣(すいもうけん)という日本酒を用意していただいたのですが、これが実に美味しくて。すっかり気に入ってしまい、帰りに自分用のおみやげとして買ったほどです。愛媛とのご縁でお気に入りの日本酒がひとつ増えました(笑)」

ーー将棋の話に戻ります。将来は青野九段のように、静岡で弟子を取って後進の育成にも力を注ぐのでしょうか。

「まだそういった気持ちはないです。奨励会は学習塾と違って習い事でもなければ、皆を平等に強くする場所でもありません。自分も新幹線に乗って奨励会に通っていましたが、親の負担が大きいこともよくわかっているつもりです。それに弟子が胸を張って『八代門下です』といえる存在でありたいので、今はトーナメントプロとして頑張るだけです。ただ、地元の静岡を中心とした普及活動に関しては今後も続けていきたいと思っております」

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ーー最後に今後の目標を大いに語ってください。

「将来は師匠のようにA級棋士になるのが大きな目標で、憧れでもあります。A級はC級2組の私にはあまりにも遠い場所ですが、ライン上にいるのは間違いなく、自分が頑張れば到達することが可能です。将棋を知らない知り合いに順位戦の仕組みを説明するとき『八代はどこにいるの』と聞かれます。そのとき『自分はA級だよ』といいたいですから。A級棋士という響きもカッコイイですよね。朝日杯の優勝が大きな自信になったので、さらに精進を重ねていきます。ファンの皆さんに八代の将棋が見たいと思っていただけるような、誰からも愛される棋士になりたいですね」

今後の活躍が大いに期待される八代六段のインタビューでした。次回もこのシリーズにご期待ください。(撮影:内田晶)

八代弥六段インタビュー

内田晶

ライター内田晶

1974年、東京都の生まれ。小学生時代に将棋のルールを知るが、本格的に興味を持ったのは中学2年のとき。1998年春、週刊将棋の記者として活動し、2012年秋にフリーの観戦記者となる。現在は王位戦・棋王戦・NHK杯戦・女流名人戦で観戦記を執筆する。囲碁将棋チャンネル「将棋まるナビ」のキャスターを務める。

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