雀刺しで矢倉囲いを攻略、▲1四歩以外の攻め方を考えよう

雀刺しで矢倉囲いを攻略、▲1四歩以外の攻め方を考えよう

ライター: 一瀬浩司  更新: 2017年10月01日

今回のコラムも、矢倉に対する雀刺しでの攻め方を見ていきます。それでは第1図をご覧ください。

【第1図】

前々回のコラム、第4図と同じ局面です。前回のコラムでは、ここから▲1四歩と突いて攻めていきました。以下、△1四同歩▲同香△同香▲同飛と進んで香交換には成功しましたが、△1一香(第2図)と打たれると、▲同飛成は△同玉で飛車と香の交換、▲1三歩としても△同香▲同角成△同桂で角・歩と香の交換となってしまいます。

【第2図は△1一香まで】

いずれも香と大駒の交換になって大損となり、うまくいきませんでした。ということで、今回は▲1四歩以外の攻め方を見ていきます。▲1四歩以外の攻め方はあるの?と、思われる方もいらっしゃるとは思います。それでは順を追って見ていきましょう。

まずはドカンと▲1三角成と切り込んでいくのはどうでしょう? 角をいきなり切り込む、非常にインパクトのある手ですね。果たしてうまくいくのでしょうか? 対して、△1三同桂なら▲1四歩と突き、後手は△1二歩と受ける歩がありません。次に▲1三歩成とされると、△同香と取っても▲同香成で1筋を破られてしまいますね。△2四銀と受ければ、▲1三歩成△同香▲同香成とされても△同銀で受け止められます。ですが、先手にも工夫の攻めがありますので、後ほどそれは見ていきましょう。

次に、△1三同香と取ってみた場合です。これにも▲1四歩と突き出します。△同香▲同香△1三歩▲同香成△同桂▲1四歩と、先手はしつように端を攻めていきます。ここで、△1一香と受けるのは当然に見えますが、▲1三歩成△同香▲1四歩△同香▲同飛△1三歩▲1九飛と進んで、先手は桂香をたくさん持ったので、▲1七香~▲1六香打と猛烈な足し算攻撃を繰り出して端を破ることができます。そこで、▲1四歩と桂取りに打たれた手に対しては、△2四銀と上がり、▲1七香△1一香(第3図)と進みます。あれ? この局面はどこかで見覚えがありませんか?

【第3図は△1一香まで】

局面は割愛させていただきましたが、▲1三角成に△同桂▲1四歩となった局面と合流しましたね。第3図から、▲2五歩は△同桂▲同桂△1五歩で受け止められます。よって、△1一香には▲1三歩成からばらして攻めていきます。△1三同香に▲同香成ではなく、▲1四歩と打って攻めていくのがひとつのテクニックです。△1四同香▲同香△1三歩▲2五歩(第4図)と進んだ局面はどうでしょう。

【第4図は▲2五歩まで】

そこそこ攻められていますよね。第4図から、△3三銀は▲1三香成と端を破れますし、△1四歩と香を取られても▲2四歩と銀を取ることができます。しかし、△2四同歩(第5図)ともう一手進めた局面は、▲1四飛には△1一香で飛車が死んでしまいますし、先手は歩切れなので、△1五香と打たれる手が厳しく残っています。

【第5図は△2四同歩まで】

△1五香を防ぎつつ、▲1七香と端に香を足しても、△2七角▲1九飛△3六角成とされておいて、馬の力が強く、攻めが続きません。以下▲1四香と走っても△1八歩▲2九飛に△1四馬と香と取られてしまいます。ということで、第1図から、ドカンと▲1三角成と切り込んでいくのは、非常にインパクトはありますが、さすがに無理攻めとなりました。

ですが、一見無理気味な手でも、読み進めてみるとうまくいく場合もまれにあります。いろんな手を読むことも上達につながりますし、攻めの幅も広がっていきますので、とりあえず数手だけでもどう進むのかを読んでみる、ということも大切です。

それでは、次回のコラムでは、第1図からの別の攻め方をみていきましょう。

矢倉の崩し方

一瀬浩司

ライター一瀬浩司

元奨励会三段の将棋ライター。ライター業のほか、毎月1回の加瀬教室や個人指導など、指導将棋も行なっている。主なアマチュア戦の棋歴としては、第34期朝日アマチュア将棋名人戦全国大会優勝、第63回都名人戦優勝などがある。

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阿部光瑠

監修阿部光瑠六段

棋士・六段
1994年生まれ、青森県弘前市出身。2011年4月に四段。2013年に第2回電王戦でコンピュータソフト・習甦(しゅうそ)と対局し、快勝。 2014年の第45期新人王戦で優勝。居飛車、振り飛車ともに指すオールラウンドプレイヤー。
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