将棋コラム

羽生永世七冠の誕生なるか。羽生VS渡辺、竜王戦七番勝負の展望は?

羽生永世七冠の誕生なるか。羽生VS渡辺、竜王戦七番勝負の展望は?

更新: 2017年10月20日

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将棋界の最高位を争う第30期竜王戦七番勝負が開幕を目前に迎えている。

今期は渡辺明竜王に羽生善治棋聖が挑戦するシリーズで、竜王戦七番勝負における両者の激突は今期で3度目だ。1度目は2008年の第21期、渡辺・羽生のいずれにも「永世竜王」が懸かったシリーズであった。この時は挑戦者の羽生がいきなり3連勝し、奪取確実と思われたが、4局目で渡辺が打ち歩詰めによる奇跡的な自玉の不詰めで、土壇場で九死に一生を得る。これで流れが変わったか、以降は渡辺の連勝で3勝3敗のとなり、最終第7局は勝者が永世称号の資格を得る大一番となった。対局者双方に永世称号が懸かる番勝負は、前代未聞のことであり、ましてや「勝利した方が永世称号を獲得する対局」は空前絶後と言ってよいだろう。

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第21期竜王戦七番勝負第1局対局開始の模様。永世竜王を懸けた戦いは、フランス・パリで開幕した。撮影:常盤秀樹

この世紀の一戦を制したのは渡辺で、初の永世竜王に。羽生の「永世七冠」はお預けとなった。両者2度目の激突は2010年の第23期。挑戦者決定戦三番勝負では神懸かり的な指し回しをみせて久保利明王将を下した羽生に、今度こそとの声も高まったが、七番勝負では渡辺に一日の長があり、4勝2敗で再び渡辺が防衛。

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第23期竜王戦七番勝負第6局終局後。撮影:常盤秀樹

それ以降、竜王戦の羽生には毎年のように永世七冠の期待がかかっていたが、惜しいところで挑戦ならずという事態が続いていた。

3度目となる今期はどのような状況なのか。まず両者の直接対決は渡辺から見て34勝35敗とほぼ五分である。だが直近は、渡辺が4連敗中なのは気になるところか。しかし、両者のタイトル戦を見てみると、2015年の第40期棋王戦五番勝負で渡辺が3連勝で防衛している。その1つ前も14年の第63期王将戦七番勝負で、やはり渡辺が4勝3敗で防衛と、タイトル戦では渡辺のほうがよいとも言える。

では、開幕直前の両者をどう見るか。ハッキリ言ってしまえば両者ともに取り巻く状況は芳しくない。今期の渡辺はここまで9勝11敗と負け越しているし、羽生は18勝16敗と何とか勝ち越しているものの、直近のタイトル戦では王位戦で菅井竜也七段に、王座戦では中村太地六段に、どちらもタイトルを奪われている。羽生が一冠までタイトルを減らしたのは2004年以来のことだ。

とはいえ、渡辺が竜王戦七番勝負開始と同時に調子を上げてくるのは毎年のことと言われているし、今期の羽生は「竜王奪取に懸けている気迫をひしひしと感じる」と多くの棋士が口をそろえて、竜王戦の対局についての感想を述べている。お互いに気迫がこもった熱戦を見せてくれるだろう。

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第30期竜王戦挑戦者決定三番勝負第3局対局開始の模様。撮影:常盤秀樹

もう一つ、これまでのシリーズと比較して違うのは、将棋ソフトの発展だ。過去のシリーズでは矢倉や角換わりの定跡形が多かったが、最近の両者は将棋ソフトに由来する序盤戦術を取り入れて、独自に消化している。ソフトの発展で見直された雁木などの形が出現するかということにも注目したい。

10月16日付の読売新聞朝刊に掲載された展望記事には、どちらに転んでも4勝3敗になると予想されている。トップ同士による決戦を年末までお楽しみいただきたい。

相崎修司

ライター相崎修司

2000年から将棋専門誌・近代将棋の編集業務に従事、07年に独立しフリーライターとなる。2016年現在は竜王戦、王位戦・女流王位戦、叡王戦、女流名人戦で観戦記を執筆。将棋世界などにも寄稿。

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